JK_Tomorrow-Maker’s blog

ビジネスや経済などのニュースや日常の気づきを出発点に、「科学(技術)、心(アート)、モノ(サービス)、デザイン」という4象限を操りながら、自由に発想していきます。発想や着眼の手助けや、思考の自由度拡大の糧になれば、何よりです。

「葬儀ビジネスの拡大」から

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3点に注目したい。
 1.本人と親族などの関係者に対する、人生の充実化
 2.死生観の変化が起こる
 3.確度の高い未来
代表関連記事 NEWSPOST 2019.02.03 16:00
https://www.news-postseven.com/archives/20190203_854146.html
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A 人口減少については、既に誰もが「知っている」ことだと思うが、これを本当にリアルな危機感として感じている人は、まだまだ少ないように思う。ビジネスに身を置く者としては、確度の高い未来であり、確度の高いビジネスを構築できる機会でもある。

 

B 日本の人口推移を簡単にまとめると、次のようになる*1。

  ◆人口
  2015年 1億2,709万人 (起点)
  2040年 1億1,092万人 (87.3%)
  2053年 9,924万人  (78.1%)
  2065年 8,808万人  (69.3%)

 

A 更に重要なことは、年少人口が減り、老齢人口が増えていくということである*1。

 

B これの意味するのは、あと40年ちょっとで人口が3割減ると同時に、高齢者が溢れかえるという事である。これをご近所さんに当て嵌めてみるといい。人口が三割減るとどうなるか?そして、高齢者が40%近くに到達するとどうなるかを。

 

A 一方で、デジタルテクノロジーにより、従来の医療・医薬領域の進化速度も劇的に改善しており、今後も、その進化の速度は早まると考えられる。健康寿命が延び、死に至るまでの期間が長くなる。

 

B 他の側面では、物質的・サービス的に豊かになっており、満足レベルは高まっている。これにより、満足と幸福の乖離が進んでおり、心的充足度を満たすために、心への訴えかけを重視するようになっている。これは更に、加速する。


A 高齢者本人は当然であるが、そうでなくとも、これらの現象を総合的に捉えれば「死生観」はまず変わるだろう。

 

B 健康でいられる期間が長くなる。高齢者としても働く必要がでてくる。中堅や若者として、高齢者を強固に支える必要がでてくる。自分の人生を心から豊かにするという欲求が強くなる。同時に、相手(人、環境、動物…等)を思いやる気持ちも、今より強まっていく。

 

A このように考えれば、「死」に対するビジネスが伸び行く*2と考えるのは、自然である。現代用語でいえば、葬儀ビジネスであるが、「葬儀」という点ではなく、「死に向かい、死んだあと」を線として捉えるようなビジネス領域である。

 

B 分かりやすい部分でいえば、葬儀というのは自分の死んだ後のイベントであり、自分の子供や親族などに負担を強いるイベントでもある。そして、この葬儀(四十九日なども総合的に含むが、表現上、葬儀とする)とうのは、情報非対称性が非常に強い領域であり、同時に非効率な領域である。

 

A 何にいくらかかるのか。相場感。手続きの順番。参列者への連絡。当日の運営と事後処理…。この情報非対称性は崩せるし、非効率性も簡単に破壊できる。例えば、葬儀関連情報をプラットフォームでクリアにすればいいし、生前から葬儀を本人で考え、参列者等の名前を全てリストアップしておけばよい。そんな総合的なサービスを構築すればいい。

 

B 情報非対称性が改善され、非効率性がなくなっていくというのは、死に行く本人にとっても価値がある。即ち、心的に「楽」になる。「死」に対するビジネス領域が今後急成長すると予想されているが、重要な観点は「心的な効用」である。


A 自分の死んだ後に迷惑をかけたくない。これを解消する。自分が死ぬまでの人生を、しっかりと充実化させたい。これを解消する。


B 後者としては、例えば、早い段階から、お世話になった方々との思い出をまとめたり、家族との向き合い方を改めてみるということができる。仕事仕事で歩み、息子や娘との距離があると感じている現在でも、徐々に死生観が変わる中で、残りの人生を充実化させるために、家族との対峙の仕方を変えていく。このキッカケや過程に対してサービスを導入していく。


A いくらでもサービスは考えられるが、重要なことは、透明性である。本人だけでなく、家族などからみても、信頼できる透明な企業であることを示し続ける必要がある。単なる情報プラットフォームではダメである。


B 人生という流れの中で、本人の人生後期と死後を充実化させ、関連する家族や親族などの負担を減らし人生の充実に貢献する。主眼は、本人と親族などの関係者に対する、人生の充実化である。「死」ビジネスというとダークなイメージや情報非対称性を利用しきるというイメージが強いが、部ブランディングすべきは「明るい透明な」企業である。

 

A 人生の充実化を目指し、終活・葬儀関連の非効率・情報非対称性を破壊し負担を減らす。自分を振り返り、家族や友人たちとの関係を見直し、新しい付き合いや、新しい思い出をドンドン作っていく。予想されている市場規模*2があるが、これの1.5~2倍程度には膨らむのではないだろうか。それくらいのマクロ環境の変化がある。

 

 

*1 国立社会保障・人口問題研究所
  http://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp_zenkoku2017.asp

*2  矢野経済研究所 
  https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/1765

 


/2018.02.09 JK

「弱まるトランプ氏の威勢」から

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3点に注目したい。
 1.ネジレの影響は大きく、内政的派手さはなくなる。
 2.外交、特に中国対応に集中する
 3.確かな点数稼ぎを、中国にテック覇権を獲らせないことへと接続させる。
代表関連記事 NHK NEWS WEB 2月6日公開
https://www3.nhk.or.jp/news/special/45th_president/articles2/special/the-state-of-the-union-address/index.html
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A ド派手に動いていたトランプさんの勢いが弱まっている。強気のオーラ(雰囲気)も弱まって見える。

 

B 一般教書演説が行われたが、その内容は、「拍子抜け」と言わざるを得ない。

 

A ねじれた議会の構造に直面し、2020年の再選を至上命題に据える中で、トランプさんの威勢の良さを封印せざるを得なくなっている。

 

B 一般教書演説に向けた活動の中で、今までとは異なり、下院多数党としての共和党という座を失った影響がもろにでている。例えば、政府機関の閉鎖。民主党ペロシ下院議長の壁を破壊することはできず、2月15日までの閉鎖解除に応じざるをえなかった。

 

A 内政を強引に懐柔するのは非現実であり、再選に向けたアクション(点数稼ぎ)は、外交側に傾いていく。

 

B 重要な外交先は複数ある。中国、北朝鮮、ロシア・・・。

 

A 中国については、習近平が譲歩案を繰り出してくるのが自然である。貿易戦争での体力勝負では中国は勝てない。中国の最大の弱点である「蓋」もはずれようとしている。貿易戦争を激しくすることなく、適度に譲歩して引き下がりながら、民衆へのPRを強化し「蓋」を強固にする。そのうえで、テックと軍事の覇権は別ベクトルで採りに来ると考えるのが妥当だろう。(参考:過去記事*0)

 

B トランプさんとしては、貿易戦争はアメリカ有利な条件を飲ませたという「成果」を確実に引き出せる。それとは別に、一帯一路含めた中国の実効支配に対して、対策を強化していくことになる。

 

A このときに、ロシアが生きてくる。プーチンさんは聡明だ。一方で、嘗ての栄光を取り戻したいという焦りも見え隠れしている。この状況をトランプさんが利用しない手はない。利用を利用できるのがプーチンさんである。

 

B トランプさんが最大のアピールを国内に発し再選するためには、確実な成果が必要になってくる。中国に対する貿易戦争の勝利だけでは不安。そこで、中国のテック・軍事覇権を抑え込むための同胞が必用になる。その役割を担うのは、ロシアであろう。

 

A 私がトランプさんであれば、プーチンさんとの水面下での連携を強化する。いかにして、中国を封じ込めるのかを画策する。ロシアとの間にも多数の問題が存在しているが、表面上は適度に対応(制裁など)を繰り出しておくが、本腰は入れない。ヤルベキは、中国を落とすことである。

 

B 追い込まれる中国はどうするか。同胞(反米国)集めに走るのは間違いないだろう。その過程で、北朝鮮への水面下支援を強化して、北朝鮮の対米圧力(わがまま、傍若無人な行動)を高めていくようにコントロールする可能性はある。

 

A 中国の抱える問題は多い。しかも、どれも巨大な爆弾のような破壊力を持つ。格差問題、不動産価格と空き家問題、蓋、ゾンビ企業、民間債務、テック・モノヅクリバブルの崩壊、人民元安定性。これらは全てトランプさんからみれば、「攻撃していいの?」という弱点であり、アメリカの戦略自由度をあげる要素になっている。

 

B トランプさんは、中国のこのような状況をみながら、的確に複数の攻撃を繰り出し、再選への確かなポイントを稼ぐことができる。そして中長期的に、世界を支配するハイテク覇権(含、軍事覇権)を中国に獲らせないことを実現できる立場に、ある。

 

*0
「米中貿易戦争加速」から
 https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/10/13/091500

「JHICCへの製品輸出制限」から
https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/11/06/063030

「中国膨れる負債総額」から
https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/11/18/075137

「華為製品の不使用を要求」から
https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/11/30/074921


/2018.02.08 JK

「報酬が内発的動機を奪う」から

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3点に注目したい。
 1.人間的な不合理をフル活用する
 2.内発的動機を活かすように、報酬系を組み立てる
 3.経営戦略も組織構造もHRMも、全てが整合する。
代表関連記事 ―――
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A 組織が変化している。これについては、何度か述べた*0。

 

B 組織の変化は必然である。それは、人々の意思や有する世界観が変わってきているため。

 

A モノやサービスが充足している。満足は一定レベルに達し、そこでアンカーをかけている。腐らぬように、新しい満足を追い求める。このような中で、満足感と生きる意味が、解離し出している。人々の心を正しく満たすのは、よくいう「こと」である。

 

B 企業活動でみれば、自動化が進み、人工知能が革命的な成長をとげている。意味するのは、定型型に近似できる仕事は機械代替可能と捉えれ、人がやる意味がうすくなる。つまり、よりクリエイティブな作業が必要で、そこへの欲求も高まる。

 

A 言い換えれば、これも「こと」の追求と言えなくもない。

 

B クリエイティビティや「こと」への欲求が高まり、そこに対峙していくのが、これからの世界であり、いまはその起点にいる。

 

A これを受け、組織が進化するのは自然である。人というものは、組織という大きな仕組を介して、集団としてのバリューを発揮する。組織は、アウトプットを大きく左右する手段である。

 

B 複数の現場にいると気がつくことがある。組織を新しいものへと進化させるように取り組んでいるが、周辺の仕掛けとの整合性がとれていない。

 

A 今までの時代が、科学的で合理的な人間の管理であれば、これからは、予想通りに不合理*1な人間らしさそのものをコントロールしていくことになる。

 

B 外部環境、経営戦略、人事戦略、そしてHRM戦略に組織構造。これらは整合する必要があるが、現実には、チグハグであったり、部分最適なケースが多い。

 

A 最近特に感じるのは、報酬系。最低限の満足を作るための、必要な報酬はある。しかし、報酬はベースラインであり、長期の競争力は生まない。


B 交換条件として提示されるif then型の報酬は、特にクリエイティビティの必要な場面で、ヒトのヤル気を削ぐことが証明されている*2。内発的動機が外部からの報酬により取って代わられてしまう。

 

A 全てが悪いとは言わない。例えば、短期的にギュット成果を作る必要があるのであれば、これを達成したらX円という交換条件を設計するのは効果的である。

 

B 或いは、バラバラのチームをまとめるための刺激材として、チームをグループにわけて、特別報奨をつけて競わせるのは効果的だ。

 

A ただし、目の前に人参をぶら下げる戦法に依存してはいけない。長期的な総戦力が低下する。

 

B ヒトの価値観が外部環境とセットで変わるいま、内面的報酬に焦点をあて、これでパフォーマンスをドライブさせることが、重要。

 

A それは、個人の価値観、社会的意義、自発的目的、自律性、尊重し尊重しあえるチーム関係、或いは成長の実感であったりする。報酬についても、不満足を生まない合理的な額面を個々に設定しベースを作りながら、内面的動機を打ち消さないように、現金以外のコトへと変えていくことも効果的だ*3*1。

 

B 外部環境、経営戦略、人事戦略、そしてHRM戦略に組織構造。これらの整合は本当に重要であるが、部分最適になっていケースが大半ではないだろうか。「今がいい」と言い訳するのは、ゴーイングコンサーンに対する責任放棄でもある。

 

*0 「自己浄化・自己成長する組織」から
   https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2019/01/27/064728

 「ベンチャー大企業病」から
  https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2019/02/02/140916

 「ゴーンとホリエモンと善悪の区別」から
  https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/12/16/070655

 「PDCA→ OODA」から
  https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2019/01/26/064322
 「昭文社の不調」から

  https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/12/20/072950

*1 Predictably Irrational , Dan Ariely

*2 Drive: The Surprising Truth About What Motivate..., Daniel H. Pink

*3 Work Rules!: Insights from Inside Google That Will Transform How You Live and Lead, Laszlo Bock


/2018.02.08 JK

 

「献立を考える=クリエイティブな行為」から

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3点に注目したい。
 1.セグメントにより「重さ」を感じる工程が異なる
 2.セグメントをボヤカス行為は基本的には行わない
 3.「やる気がある」中でのため息が出る行為は、チャンス
代表関連記事 ―――
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A 「コンダッテ」や「メニューズ」のような「献立アプリ」が伸びているが、「献立」については、まだまだ改善の余地、言い換えれば「不満」が多い。


B 献立アプリを見るということは、自分で料理をするということである。献立アプリさえ億劫と感じたり、その時間を他のことに使いたいと思うのであれば、ミールキットを利用したり、外食や宅配で済ませればよい。


A 料理をしているとわかるが、特に「自分だけではない場合」に、献立を考えるというのは非常に重い行為であるとわかる。毎日毎日、献立を考える。考えて、部材を調達し、調理し、提供していく。最もクリエイティブな行為が「献立を考える」という部分である。


B 栄養バランスや嗜好を加味して、一週間分の献立を提供してくれたり、それに必要な食材(使い切り)をリスト化してくれるものは既にある。

 

A 「献立アプリを使う」と一言でいっても、多くのケースが存在する。例えば、夕食全てをそのアプリに頼る場合がある。或いは、1品や2品くらいは自分で食べたいものを決め、残りの周辺を、冷蔵庫の残りなどを加味しながら、栄養バランスを考えて、提案してくれるような機能を求める場合もある。

 

B よく料理をする中で、私が思うのは、後者の機能が欲しいということである。今日のメインは何にしようか?この部分は、自力で道を拓く。その日の気分もあるし、家族の体調もある。冷蔵庫の残りもあれば、お買い得品に出会うかもしれない。基本的には自分で献立を考えるが、「あと、1品2品どうしよう…」というケースで頼りたい。

 

A 何気ない日常だが、手料理でしっかりと対応するという前提での「あと1品…」という状態は、思考的に非常に負荷が高い。やる気はあるのだが、ため息が出る状態である。この負荷が取れた場合に実感するスッキリ度も、非常に大きくなるだろう。

 

B 冷蔵庫内の食材と調味料については常に、アプリ内にデータを持っておく必要がある。逐一手で更新するのは余りに億劫であるため、買い物行為と連動して自動更新される必用がある。

 

A 自分の決めたメニューを入力すると、このアプリに限らずクックパッドなどからもレシピが出てくる。気に入ったモノ(作るもの)を登録する。自分で決めるメニューは1品でもN品でもいい。仮に「鰯の梅・酢煮」と「大根と豚ひき肉のトロトロ煮込み」という2品を検索し、気に入ったレシピをそれぞれ登録すれば、栄養バランスや冷蔵庫の中身などを加味して、小鉢や汁物などを数パターン提案してくれる。


B 作ったモノは全て、献立として登録される。改めて例えば「鰯、酢、煮」といったキーワードで自分のアプリ内を検索すると、このキーワードメニューが入った過去の献立を見せてくれる。

 

A かゆいところに手が届く部類では、参照したレシピを「いじった部分」を簡単にメモできるようにしておくとよい。「粒マスタードを規定量の1.5倍にした」とか、「3倍濃縮を4倍濃縮で対応した」とか。


B このような仮想アプリを想定した場合に重要なことは、ミールキットなどに浮気しないことである。セグメントをボヤカス行為は、基本的には行わない方がよい。食材の自宅配送までで留めるべきである。


A むしろスーパーで「本日大特価、鯵、一尾、45円!!」に遭遇したときに、すぐにアプリに「鯵、メイン」などと打ち込み、冷蔵庫の残りなども含めて、買増も含めて、本日の晩御飯に対応できるかを直ぐに提案してくれるといった方向性にドンドン深く入っていく方がよいだろう。

 

 

/2018.02.06 JK

 

「個別最適化と実地試験」から

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3点に注目したい。
 1.平均的環境に不具合を感じる人を対象に
 2.ソフトとハードと個別最適化の幅
 3.実地試験
代表関連記事 ―――
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A データドリブンでの個別最適化は、これからさらに加速していく。この流れの中にビジネスの形態として、XaaSが深く入ってくることになる。

 

B 個別最適化に関しては、ソフトとハードでビジネス構造が大きく変わってくる。ソフト(デジタル)の良いところは無形的であり、個別対応の最適化コストが低いということ。ハードについては、そうはいかない。

A ハードの場合、個別最適化の「幅」が重要になってくる。セミオーダーとフルオーダーの違いとして、考えてみるとわかりやすい。データドリブンで「最適な個別スペック」を見極めることはできるが、それを「作ることができる」とは言えない。ここには当然、納期や価格の概念も入ってくる。

 

B この個別最適化だが、個人(や組織)を取り巻く蓄積された情報から、その個人(や組織)に最適な提案をすると解釈されるのが、ほとんどである。一方、視点をずらすと、平均的な環境に対して特に不具合を感じる個人(群)に対して、都度、その不具合を取り除くことで、価値を提供することもできるだろう。

 

A 春の陽気になったかと思うと、極寒が待ち受けている。「しまった、あと一枚羽織ってくればよかった。」このような経験は誰にでもあるのかと、思う。


B 「まじか、天気予報で晴れって言ってたじゃん。濡れちゃったよ」。こんなパターンもよくある現象だろう。商談などの重要なイベントの前に、白いシャツにシミが付いた…なんていうケースも、あるだろう。


A このような現象というのは、1個人でみると「頻度は低い」わけだが、母数を大きくすれば日々発生するイベントとなる。このような現象に対して、「カーディガンを1日、1,500円で貸します。輸送で返してください」とか、「替えのYシャツを800円で貸します」といった形式は考えられないのか。

 

B 消費者から見たときに、自分に不幸が訪れているわけだが、ここで「新しいものを買ってまでは対策したくない」という領域が存在する。いくばくかの値段で、不都合なく対処できるのであれば、ビジネスの可能性が出てくる。

 

A 天候因子など、当然考慮する必要があるが、「当日の不幸を、すぐさま解消できる」というモデルは一考の余地がある。この場合、「どこでも簡単に代替手段を入手可能」であることが、肝になる。

 

B 都心から派生させていくとして、「替わりとなる衣類などを入手できる場所」をとにかく増やす必要がある。これを自前店舗でやってしまっては、固定費を支えきれない。他人様の軒先や店舗内スペースを借りるのが妥当だろう。

 

A 何かが起きたときにスマホから代替案を選択し、それを入手したい場所・時間を入れる。そこで入手し、着替えなどが出来る。代替案としてのプロダクトも即時で動かす。プロダクト自体は、許容可能な1つ前の型のようなものでも、今回の目的からしてみれば、十二分にことたりる。その場の不幸を取り去り、買い取らないのだから。

 

B 場合によっては、「タクシー」との相性もよさそうである。

 

A あるいは、駅などのロッカー。時間にいくとモノがはいっており、交換したものをいれると、それを自宅に移動させてくれる。

 

B 季節性をなくすために、春夏秋冬のイベントを考慮する必要がある。また、「汚れ付着と重要なイベント」といった季節性にあまり影響されないモノを、しっかりと確保していく必要がある。


A 実際のやるのであれば、例えば、人であふれかえっている都心の1店舗(の一部)を借りて、実験してみればいい。どれだけの不幸が存在して、それをどれだけの人が解消したがっているかを確認できる。そこから、本質的課題を炙り出し、明確なポジショニング(UVP)へと繋げていくことが可能か、判断できる。


B このような実験をすることができれば、例えば、都心へとやってくる若者(旅行者)向けに、「田舎臭さを手頃価格で排除する」という価値を、当然表現はマイルドにして提供できるかどうかも、分かってくる。


A 似たようなモデルはいくらでも考え付く。アンケートやインタビューも重要だが、実地試験での生情報から確からしさを推定していく方が、よほど確かだし、なにせ早い。

 

/2018.02.05 JK

 

「転職と賃金増減」から

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3点に注目したい。
 1.日本の状況を考える必要がある
 2.マスを見るな
 3.クリエイティブクラスをみろ
代表関連記事 日本経済新聞 2019/1/29 https://www.nikkei.com/article/DGXKZO40590560Y9A120C1EE8000/
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A 転職市場を見る時に、転職による賃金上昇度合を示すことが非常に多いが、どうなのだろう。


B 私の身の回りには、世にいう「出来る人」が多くいるが、転職する場合、「賃金増加」の優先度を非常に低く設定している。逆に、自身のキャリア感や「やりたいこと(及び環境)」に対する優先度を引き上げている。


A 日本の平均年収は非常に低く、450万円程度である*1。また世帯当たりの純金融資産高で見たときに、3,000万円にみたないマス層は全体の80%弱存在している*2。


B 日本の人口動態を考えた時に、移民の議論も出るが、日本人の意識しがちなのは「労働力としての移民」である。しかし、重要なことは「クリエイティブクラスとしての移民」を日本へと呼び込むことである。


A ロボット、IoT、AI…という世界の行く末を考えた時に、単純労働力を人で補うという発想をすること自体が、非効率である。


B AIにより仕事を奪われる*3…と騒ぐケースも多いが、「奪われる」と騒ぐこと自体がナンセンスである。AIが入ってくる世界において、人として何ができるか?を考え、その力を身に着ける必要がある。


A 転職市場が活況になったとしても、「言ってしまえば、単純労働に近似できる人々」の流動性が上がっても、本質的ではない。今後の日本の置かれる状況を考えれば、重要なことは、クリエイティブクラスの流動性をあげることである。


B クリエイティブクラスの流動性を考えた場合、転職により賃金が上がるかどうかに注目することは、あまり意味がないと考えられる。本人の希望するキャリア感や「やりたいこと」、或いは「好適な環境」に対する優先度が上がってくる。一時的に収入が減ったとしても、すぐに元に戻りそれを追い越していく。それがキャリアである。

 

A 例えば、収入を犠牲にしてでも「やりたいことと、その環境」を手に入れたクリエイティブクラスの人財が、数年後にどれだけの収入を得ているのか。このようなデータをみることは意義がある。

 

B 同様に考えれば、現状よくあるように「転職により賃金X%増加傾向」で止めてはあまり意味がない。やるのであれば、その増加が数年後で見たときにどうなのか?という部分にまで食い込みたい。一時的な労働力不足で賃金増を獲得しても、本人の能力が不足していれば、収入増加率は制限される。

 

A どうしても「マス」をみる風潮やマスを見たくなる傾向があるのだろうが、日本の置かれる環境を考えれば、べき乗分布のハイエンド側に属する人々に目を向けることが重要になる。それは日本人でもそうであるし、移民でもそうである。

 


*1  国税庁 民間給与実態統計調査 https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/top.htm  
*2 NRI https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/news/newsrelease/cc/2018/181218_1.pdf
*3 現代ビジネス 2014.11.08 https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/news/newsrelease/cc/2018/181218_1.pdf


/2018.02.04 JK

「消費増税とFINTECH」から

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3点に注目したい。
 1.Fintechの本質
 2.消費税は手段に過ぎない
 3.ストック税×VATのコンビネーション
代表関連記事 DIAMOND 2019.2.3
 https://diamond.jp/articles/-/192864
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A 消費税の10%への増税に関し、消費減を抑えるという名目でポイント還元を効果的に実施すべく、キャッシュレスを推進している。

 

B 日本の場合、税収構造にメスをいれる必要があるが、いつまでも「消費税」という既存のツールに頼り、そのデメリットを場当たり的対策でしのぐという風習から抜け出せないでいる。

 

A ポイント還元などその好例である。10%にする影響力については、関連記事内で述べられているが、そもそも、消費税増税という方策により「消費が落ち込む」という負の未来を予想可能で、これに対してポイント還元などという場当たり的対策を持ってくることが間違っている。

 

B 行いたいことは、現状と未来に向けた人口構造などを捉えたときに、税収構造をより強固にしたいということである。その為には、キャッシュ(デジタル通貨含む)が世の中に勢いよく流れる状態を作る必要がある。キャッシュがいま(及び今後)どこにあるのか?と考えれば、消費税というツールに頼るという現状に疑問を抱き、そこにメスをいれる必要があるとわかる。

 

A 私たちは、消費税などの現状の税収構造を完全に破壊し、「ストック税×VATのコンビネーション」で、シンプルかつ的確に運用可能な仕組への変化が必用であると述べてきた*1。

 

B 要は、フロー税からストック税へと視線をずらす必要がある。また消費ではなく、付加価値の創出側に視点をずらし、経済活動のステップに対して税を課す(VAT:付加価値税必用がある。このメリットは大きく2つある。即ち、キャッシュが出てくることと、税収構造がシンプルになるということ。

 

A Fintechの本質は信用定義が変わることであって、これに伴い「お金」の見方も当然変わってくる。キャッシュレスというのは、リアルマネーを利用することの非効率さを排除するという分かりやすい側面だけでなく、個人や組織とキャッシュの関連性をより明確にするための手段であり、Fintechワールドを構築するための重要な要素である。デジタル政府のようなデジタル-XXやe-XXも同様である。


B 現状分析に関しよくPESTというが、これの本質は、未来への強烈な動きを大きな外部環境として認識することにある。過去からの延長で消費税云々と議論している場合ではなく、主にテクノロジーにより急激に変化している現状と未来への道筋を見据える必要がある。


A 消費税にもどれば、消費税という手段を固定してはいけない。構築したい税収構造とキャッシュの流れを考えた時に、+10年や15年したときの世界の状況と照らして、今から新しい構造を考えて一手を打っていく必要がある。

 

B テクノロジーの進化によるFINTECHワールド、日本という人口動態の行きつく先、富裕層の増加という傾向…これらを加味したときに、ストック税×VATのコンビネーションに現状の税制構造をシフトさせる意義は大きい。

 


*1 「消費税、増税」から
  https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/10/24/063200

 「消費増税世論調査」から
  https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/12/04/063839

 

/2018.02.03 JK