JK_Tomorrow-Maker’s blog

ビジネスや経済などのニュースや日常の気づきを出発点に、「科学(技術)、心(アート)、モノ(サービス)、デザイン」という4象限を操りながら、自由に発想していきます。発想や着眼の手助けや、思考の自由度拡大の糧になれば、何よりです。

「多忙な現代人と創造性」から

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三点に注目したい。
 1.効率と絶対量
 2.美しいということ
 3.戦略的に創造性を高める

関連代表記事 The Economist Why is everyone so busy?
https://www.economist.com/christmas-specials/2014/12/20/why-is-everyone-so-busy

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A  時は金なり。格言であるが、「時」を「金銭」としてカウントする(考える)ようになることで、経済成長が進むほどに、時間当たりのアウトプット量を増やせるようになるほどに、実際は忙しくなくても、多忙であると感じてしまうことになる。

 

B デジタル化の威力はすさまじく、いつでもどこでも働けるようになっているし、これはもっと加速する。本来であれば、時間当たりの出力をどんどん大きくしパフォーマンスを出しながら、ワーク/ライフのバランスをとり、心的にも深く豊かな生活を手に入れるように利用していくべき。しかし、time is moneyの観点が強く作用すれば、時間あたりの出力が大きくなった分、時間価値があがり、空いた時間で他の仕事を次々とこなすようになり、余計に窮屈に感じるようになっていく。

 

A 人の仕事の代替。これはBPOのような仕組みから、ロボットやAIによる代替などがあり、もはや止まらない事象であると思われる。よく言われるように、機械にはできないバリューを発揮できるように、人間は自己研鑽に励むべきである。分野は多岐にわたるが、見逃したくない領域は創造性であり、「美的」部分である。

 

B 美しいとは何か? これは芸術領域だけでなく、プロダクトの外観、コードの並び、製造業の動線、マニュアルの表現、プレゼンの立ち居振る舞い、経営戦略の立案…と多くの分野に重要な問いかけである。戦略にしても、「美しい」戦略というものが存在する。数学家が、数式をみて「美しい」というのに似ている。美しい戦略は、競合優位性が高く、戦略の実行実現性が高い。

 

A 美的な体験には欲がない。つまり、ある欲求を伴う「美しい」という状態は、人工的に作られる感覚である。可憐な一凛の花を見た時に、美しいという思いと同時に「彼女にプレゼントしようか」と思うのは、欲を伴っている。そうではなく、純粋に無垢に直感的に「美しい」と感じられる状態が、美的な体験であろう。ありきたりな表現では、心をノックする状況が生まれる。

 

B 脳的に神経美学的には、DMN(Default mode network)状態の脳との呼応とも呼べそうである。意識世界での蓄積される経験がトリガーとなり、内在側の世界であるDMN状態になることで、通常とはまったくことなる経験を生み出す。これが美の呼応であり、クリエイティビティに強く連結する部分なのかと思う。重要になってくるのは、概念的情報・感情的リアクション。美しい出力は創造性の賜物である。

 

A 問題解決に視点を移動させてみる。やるべきことは、まず、現状認識。つまり、ファクトを収集し、整理し、現状を把握する。問題点を複数抽出し、ここから、本質的な問題を炙り出す。そして、これを本質的課題へと昇華させる。次に、この本質的課題を解決できる戦略案をうみだすわけだが、ここはロジックだけでは達成できず、脳の非線形的な処理にも頼ることになる。出てきた戦略案を、事業性や実行性といった形で検証し、最終案へと導いていく。

 

B 一番クリエイティビティが必用であり、独自性が反映されるのが、本質課題から戦略案を導出する部分。ここに人間的性質が利用されており、出てきた戦略案を、他人がみて「美しい」と感じる場合がある。この美しさは、直感的に顧客の喜ぶ姿を想起させたり、自社社員が生き生きと戦略を実行している姿を想像させる。つまり、競合優位性が高く、実行し実現しやすい。絵に描いた餅にはなりにくい。

 

A 人によっては、ひらめきといった表現をすることもある。閃きは概して、複雑怪奇ではなく、シンプルでいて納得感が高い灯台下暗し的なアイディアである。このような発想が生まれるためには、4段階のフェーズが必用ともいわれる。つまり、準備期間・熟成期間・アハ体験(Aha-Erlebnis)・検証である。

 

B これは理解しやすい。まず、自分を武装させる必要がある。基本技能や情報のインプットである。愚直な努力や長い経験、或いは多くの分野での体験などがいきてくる。そして、問題に対して意識的に対峙するのではなく、無意識的に脳がバックグランド処理をするように対峙する熟成のフェーズを経る。この熟成フェーズでも無意識/意識が行き来することで、徐々に閃くべきアイディアの外観が定まってくる。まだボヤボヤとっとしているが、霧の向こうの電球のように、何かが見えているのは間違いがない。そして、あるタイミングで突然、その像が鮮明化する。

 

A つまるところ、自分のことを多忙だと感じていては、美しい発案はまず出来ない。人間としての最高のバリューを発揮するのであれば、創造性を前面に出すのであれば、セルフコントロールし、熟成期間を戦略的に設けることが必要になってくる。そして、効率的な仕事により、ライフ面の時間を十分に取り、多くの体験をすることで、よりクリエイティブな発想をしやすくなっていく。

 

B 創造性という意味でいいパフォーマンスを出し続けるためには、多忙と距離を置くということ。ゆったりしているように見えて、次々と、クリエイティブな解をだす人は存在する。