JK_Tomorrow-Maker’s blog

ビジネスや経済などのニュースや日常の気づきを出発点に、「科学(技術)、心(アート)、モノ(サービス)、デザイン」という4象限を操りながら、自由に発想していきます。発想や着眼の手助けや、思考の自由度拡大の糧になれば、何よりです。

「食品ロス、削減」から

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三点に注目したい。
 1.全体像
 2.価値の対価
 3.裾野と川上/川下

関連代表記事 日本経済新聞 2018/9/30
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35884120Y8A920C1FFR000/
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A 食品ロスは、先進国~発展途上国まで、グローバルにどの国でも直面している課題である。食品そのものとしてカウントしても、バーチャルウォータとしてカウントしても、投下資本換算でカウントしてもよい。

 

B 国や直面している環境により、ロスの支配ポイントが変わってくる。日本においては物流ロスはまだ少ないが、途上国であれば、小売店に並ぶ前や加工される前の段階でも多量にロスしたりする。食品エコシステム全体の流れとして見えるようにし、即効性のある部分から、長期的本質的な部分にまで、しっかりと打ち手をとる必要がある。

 

A 日本では、2015年度/農林水産省調査によれば、年間の食品ロスが646万tであり、メーカー/物流/小売・外食などでのロスが357万t(58%)。同年の年間食糧援助量w/wが320万tであることから、日本では世界の食糧支援量の2倍強を廃棄しているとわかる。

 

B 日本において気にしたいのは、売れ残り(+流通在庫)、食品流通慣習としての1/3ルール、消費者の嗜好…などがある。

 

A よく単純に、IoT、AI、或いはビッグデータなどで、需給マッチングすればよい。という。しかし、言うは易しという分野である。仮に、小売店での需給マッチングが100%の理想形になったとしても、小売店で販売する玉蜀黍や鰯の総量にぴったり合うだけのそれらを生産・捕獲することは困難である。生産と小売は時間軸がずれている。視点は常にSC/VCを俯瞰する位置に置く必要がある。部分最適に走らずに、生産~加工~小売と物流といった一連のストック・フローに目を向け構想する必要がある。

 

B 廃棄農作物を売ります、余った惣菜を売ります、食材を余らせない調理方法の提供!…など、これらはこれらで有意義であるし、意識改革という面も含めれば、多くの打ち手が世の中に出てくることは歓迎すべき。一方で経営者として考えるのであれば、全体俯瞰した構想を練り上げ、それを絵にし、必要なパーツを見極め、戦略的優先順を決め、1つ或いは複数で実行していく態度が必用になる。単にアプリを創ればいいというものではない。

 

A 小売と消費者の関係性を見た場合、食材や加工品の宅配サービスは、ロスという面からは優秀なプレイヤーである。例えば、一週間後の必要な食材・加工品を発注する場合、そこにリードタイムが生まれる。このような仕組みは重要であり、これをリアル店舗に展開することもできるだろう。

 

B システムがあっても、消費者が利用しなければ意味がないし、社会課題として認識されているから…と消費者の行動に賭けるようでは、打ち手としては弱い。もっと積極的に消費者の行動にアクセスしたい。例えば、日本の文化にもなっている強大な経済圏、ポイントを利用するとか。

 

A ポイント経済圏は国内で1.8兆円*1ほどの規模に膨らんでおり、覇権争いの真っ最中である。キャッシュレス化にも影響を与える因子であり、今後の10兆ドル超のSDGs(Sustainable Development Goals)*2への対峙についても、ポイントをうまく活用しながらドライブすることは考えたい。特に、社会性が強くなる領域の場合、価値と対価の変換については、しっかりと設計する必要がある。

 

B 次の一週間分の献立に必要な食材を登録することで、ポイント還元率が+10%になるとか。宅配の場合は別途、宅配料を徴収するか、会費制にしてCCCを小さくしながら対応するか。リアル店に買い物に行く場合でも、来週一週間分の打診した食材が既に籠にもってあれば非常に楽。不要なモノは籠からだしてもいいが、ペナルティがかかるようにすればよい。

 

A そうであれば、一週間分の献立を簡単に決められるサービスがあると便利。家族構成であったり、気分や体調、出張などを簡単に登録すると、一週間分の推奨レシピがパシッとでる。当然、予算も設定可能。変えたい部分はマニュアルで献立を変更する。最終確定すると、そこに必要な食材がリスト化され、行きつけのスーパーに依頼される。設定によっては、移動時間20分内で複数スーパーをまわれば最安値でそろうようになってもよい。 

 

B 予定はかならずずれる。余った料理や食材のアレンジは、同システムで対応可能にしてしまえばいい。

 

A 一週間前までに依頼すればよいという形式をとると、その地域に住む人々からの食材オファーが溜まることになる。この内容から、可能である場合はボリュームディスカウントするのもサービス粘着性を上げることになる。実行しながら会員数を増やし、該スーパーあたりの利用率が高まってくれば、一部の生産者にはその情報を流し、生産に反映させることもできてくる。

 

B 方策は種々存在するが、エコシステムの中のどこに軸足をおいて、誰に価値を届け、どうやってすそ野を広げるのか。どうやって、上流/下流との関係性を深めるのか。そして、いかに持続成長モデルに仕上げるのかを予めデザインしないといけない。繰り返しになるが、単に廃棄農作物を売ったり、単に余った食材・食料品をシェアするだけであれば、直ぐに過当競争に巻き込まれ、より利便性高いサービスの台頭によりアービトラージされて終わる未来が待ち受ける。

 

A 際立った特徴がないのであれば、爆発普及させてデファクト的位置をとる戦略を採用するのも手だが、当分野には不向きである。

 

*1 矢野経済 https://www.yano.co.jp/market_reports/C60101800
*2 United Nations https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/000101401.pdf