JK_Tomorrow-Maker’s blog

ビジネスや経済などのニュースや日常の気づきを出発点に、「科学(技術)、心(アート)、モノ(サービス)、デザイン」という4象限を操りながら、自由に発想していきます。発想や着眼の手助けや、思考の自由度拡大の糧になれば、何よりです。

「国際博覧会、2025大阪誘致」から

f:id:JK_Tomorrow-Maker:20181119122156j:plain

----------
三点に注目したい 
 1.万博はパルス的
 2.大阪のもつ底力
 3.都市開発の視点


関連代表記事 日本経済新聞 2018/11/16 11:29
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37819840V11C18A1N13100/
----------

 

A 「万博誘致の理由」が1つ重要。政府ぐるみで、日本の2020年以降の景気下降を支えるために万博を誘致し「盛り上げる」ことを狙っているようだが、これは全く意味がない。確かにパルス的に好景気になるかもしれないが、本質的な対策の「ほ」の字もなく、直ぐに尻すぼみになることが目に見えている。


B 関西の経済が衰退していることはよく言われる*1。また、その原因についても種々考察があるが、私は、交通インフラの整備と産業シフトにあったと考えている。即ち、東京オリンピックに間に合うように1964年に開通した新幹線。これを皮切りに関西圏を中心にすれば、東西へと新幹線インフラが整い、更に飛行機という空輸も加わることとなった。関西といえば繊維業であるが、時代の流れは重工業へとシフトしていた。この産業シフトが間に合わず交通インフラが整備された状態は、関西を「飛ばす」という経済圏が創出させることを意味し、減衰への歯車を進めることになった、と。


A 歴史を振り返ると、確かに、1970年の大阪万博は活況であったと思う。しかし、その「活況」と「継続性」は別物である。むしろ、この活況で頭が麻痺し、重工業へのシフトや整備された交通インフラの与える影響を見て見ぬふりしたようにも、感じてしまう。


B 今回の大阪万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」であり、世界的に直面する課題との整合性や、日本で開催することの意義との整合などは、比較的良好である。なお、過去の日本開催の国際博覧会としては、次のようなものがある。

  ・2005年 愛知万博/愛地球博 テーマ:自然の叡智
  ・1990年 花の万博/国際花と緑の博覧会 テーマ:自然と人間との共生
  ・1985年 つくば科学万博 テーマ:人間・居住・環境と科学技術
  ・1975年 海洋博/沖縄国際海洋博覧会 テーマ:海-その望ましい未来
  ・1970年 大阪万博/日本万国博覧会 テーマ:人類の進歩と調和


A なぜ、わざわざ万博を誘致しないといけないのか。繰り返しになるが、オリンピックの次の起爆剤と考えているのであれば、どれだけ能天気なのかと指摘したくなる。パルス的な盛り上がりは実現できても、日本の景気を底支えできるような変貌は、万博のような「お祭り」では無理である。経済が循環する土壌を整えるのが前提であり、その土壌の上に、「お祭り」がアクセンとでのることには意味がある。


B 活性し持続成長する可能性のある「都市型の場」には、「情報」「人」「企業」「お金」の4つのリソースが流れ込み循環し、外部と交流する仕組が必用である。その上で、世界的企業にっとて当然である「環境」を把握し、それを実現していく必要がある。世界から企業を人を呼び込み、常に人・情報・企業・金が循環する場にする必要がある。大阪には、これを実現するポテンシャルがあると考えるが、ほぼ無視され、「祭り」でのパルス的刺激を追い求める癖があるように見受けられる。重要なことは、世界から一流企業(及びその社員・家族等)を呼び込むことが必用であるため、「彼らから見て」何が魅力的かを考える必要があるということである。


A 私であれば、例えば、「淀屋橋~本町」・「京橋~天満橋」辺りを、地下/地上一体で開発する。「淀屋橋~本町」や「城址公園周辺」は高級住宅地化のポテンシャルが非常に高く、西の港区を目指すことが可能である。通勤に1.5時間などありえない。グローバルなビジネス環境でみれば、仕事場と住居は近いことがよく、住居についてはパートナや子供に対しての環境がよいことが重要。京橋/天満橋区間について、長堀鶴見緑地線谷町線とを接続させるといった投資判断も必要になってこよう。


B 創出するのは「知」を武器にした企業で栄える街。地下/地上一体開発において、地上については例えば、ビル上層階の住居利用を可能にするといった規制再整備も当然必要になる。屋上緑地化や壁面緑化、或いは街路緑化などの比率を上げ、計画的で整った都市開発が望まれる。よくよく考えてみるといい。大阪万博を実現した後に、「海外の一流企業の方々が」、「では大阪に支店をだそう・大阪に引っ越そう」と思うかどうかである。現在の大阪経済動向をみればそこに大きな魅力がないのは明白であり、経済基盤を整える仕掛けを先に作らねば、万博は一瞬の盛り上がりをうむ「祭り」的成果しか上げないことは想像にたやすい。


A 希望的観測や楽観視は時に必要であるが、それは大きな構想が存在し、それがビジョンとして見えており、目指す方向が明確な場合であろう。そして、自分たちの土地への愛着や風習も重要であるが、そこに固執しその地が廃れればそれは本末転倒である。海外の一流企業とその家族などを呼び込むための仕掛を描き、大阪市民が実現にむけて動いていけば、大阪は次世代Cityとしてまだまだ活性化する。


*1 経産省 関西経済の現状と今後の見通し  www.kansai.meti.go.jp/E_Kansai/page/201801/02.html
 経産省 工業統計 http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kougyo/result-2.html