JK_Tomorrow-Maker’s blog

ビジネスや経済などのニュースや日常の気づきを出発点に、「科学(技術)、心(アート)、モノ(サービス)、デザイン」という4象限を操りながら、自由に発想していきます。発想や着眼の手助けや、思考の自由度拡大の糧になれば、何よりです。

「消費増税、世論調査」から

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三点に注目したい 
 1.ストック×VAT
 2.消費と心理
 3.継続性のある策


関連代表記事 日本経済新聞 2018/11/26 朝刊
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO3816188025112018PE8000/
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A 消費税が10%に上がる。2018年11月23日~25日の区間で実施された日本経済新聞テレビ東京世論調査*1がある。部分抜粋する。

 

 Q1 安倍内閣を支持するか: する 51%/しない 38%
    支持する理由: 安定感 40%> 国際感覚 35%> 指導力 22%…
 Q3  安倍首相に期待する政策:
    社会保障 48%> 景気回復 41%> 教育 30%=外交・安全保障 30%…
 Q4 消費税率を10%を支持するか: 賛成 46%/反対 47%
 Q5 「プレミアム付き商品券」の導入を支持するか: 賛成 33%/反対 56%


 なお、Q5の「プレミアム商品券」は消費喚起を目的とし、住民税非課税世帯と2歳以下の子どもを持つ世帯が対象となっている。年代別にみると、39歳以下は賛成54%/反対38%である一方、40歳以上では反対が60%以上と強く、40歳代と50歳代の賛成が32%、60歳代と70歳以上の賛成が25%になっている。
 

 

B 大きな流れとして消費税増税については賛成と反対が拮抗しており、景気対策社会保障・教育などを安倍政権に望むという回答に対して大きな矛盾はない。一方、プレミアム商品券については平均で反対が賛成を大きく上回っている。プレミアム商品券の場合、対象が「住民税非課税世帯と2歳以下の子どもを持つ世帯」と限定されており、逆進性対策といっても不平等感を感じる消費者が多いということと推察される。或いは、過去の大して効果を奏さなかった「実感」経験のあるばら撒きと対比し、繰り返しても意味がないという反対なのかもしれない。


A 消費増税については賛成/反対、多くの意見があるが、私は反対である。別の記事( 

「消費税、増税」から - JK_Tomorrow-Maker’s blog )でも述べたが、私は、フロー税からストック税へと視線をずらす必要があると考える。また、消費ではなく、付加価値の創出側に視点をずらし、経済活動のステップに対して税を課す(VAT:付加価値税必用があると考えている。長期的には、ストック税×VATのコンビネーションで、シンプルかつ的確に対応する仕組みへの変化が必用である。それまでの検討・移行期間については、現状のシステム上で、対策をとる必要がある。

 

B 現状の消費税で考えるのであれば、私であれば「減税による増収」の方向性を検討する。増税による税収が上がると考えるのはあまりに単調である。1997年の消費増税の際には2.6兆円程度の税収が減ったともいわれる*2。2016年の際も自然増収にブレーキをかけたとも分析されている。また重要なのは、悲壮感というのか、日本の未来に対する(個々人の気持ちとしての)希望的側面が薄れていると実感できること。このような状況でのフローに対する増税は、財布の口を縫合する方向に、消費者の精神を向かわせる可能性が高い。


A 総務省及び金融広報中央委員会の統計データ*3,4,5を元にすると、平均貯蓄額が約1,800万円なのに対して、各年代層の平均貯蓄額と厚みは次のようになっている。

  ・70代以上 2,385万円 (内負債 120万円)  ×2,420万人
  ・60代   2,382万円 (内負債 205万円)  ×1,830万人
  ・50代   1,700万円 (内負債 620万円)  ×1,520万人
  ・40代   1,070万円 (内負債 1,055万円) ×1,870万人
  ・20,30代  600万円  (内負債 1,123万円) ×2,700万人

  急激に負債が減り貯蓄が増加する60代以降の世代が、人数的にも厚みを持っていることが一目でわかる。


B 単純に高齢者がため込んでいると責めることはできない。今の日本を形作るように努力してきた人生において、寿命の延びといた点も含め、当初の老後計画が大きくずれてきている。一方、自分の老後を責任もち面倒みてくれる信頼のおけるプレイヤーもいない。このような状況で自身のストックを切り崩し消費に回すとは、心理的に思えない。「目途」がついてきた段階で、ありあまった資産を消費に回すわけだが、それが、大胆な消費行動として顕在化してくることになる。高級列車の旅などいい事例である。中身を冷静に分析すれば、どうみても相当な割高である。

 

A 日本において消費を喚起しキャッシュを回転させる根源にあるのは、人間の心理的問題であると思われる。「消費したくなる」、「消費という選択が自然の」、「消費という選択に抵抗を産まない」…ような環境が重要であり、それは決して、増税であったり、駆け込み需要・逆進性対策では達成されない。別の記事( 

「国際博覧会、2025大阪誘致」から - JK_Tomorrow-Maker’s blog )でも述べたが、場当たり的なパルス的施策に頼ってはいけない。根源を治癒する必要があり、それは効果に継続性の現れる施策である。


B 心理面というのは蔑ろにされがち。極端な例では、我が国の総理が国民に向かって、どうどうと誠実に「我が国の未来は明るい」と公言するだけでも、流れは変わりうる。その上で、労働人口減少・高齢化という先進国の未来は、AI、IoT、ロボ…といったテクノロジーにより莫大な付加価値を創出するポテンシャルを秘めており、人口は減り高齢者がより増加しても日本は上向くというSTORYを構想し、それをビジョン化して国民に見せるとよい。次にやることは、生活の保障である。フローからストック×VATへと転換し、富裕層が資産の一部をキャッシュとして消費していくようにする。そして厚みがある高齢層については、老後生活を「保障」する。保障に対する交換条件は、資産の75%といった方式をとる。


A その場合、下剋上的なストーリー、即ち新しい勢力が今までの政権・歴史の非や嘘を全て認めたうえで、実行する方が効果は大きい。必須ではない。政府自体も電子化し国民直接投票の形式をとり、「ロジックの部分」も明快に見えるようにしていく。単なる利権追求や感情論はこれで排除されることとなる一方、国民全体の基礎的思考力がより重要になる。このような流れを構築できれば、日本は大きくかわる。そして何より、消費税だ〇〇税だ…還付だ、弱者保護だ…と、各論に引きずられ全体が見えなくなることはなくなる。

 

*1 世論調査データベース FC2 2018年11月23-25日 日本経済新聞テレビ東京世論調査 http://yoronpoll.blog.fc2.com/
*2  藤井 聡  プライマリー・バランス亡国論 2017/5/14 扶桑社
*3 総務省 家計調査 https://www.stat.go.jp/data/kakei/
*4 総務省 人口推計 www.stat.go.jp/data/jinsui/2016np/
*5 金融広報中央委員会 知るぽると https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari/2017/