JK_Tomorrow-Maker’s blog

ビジネスや経済などのニュースや日常の気づきを出発点に、「科学(技術)、心(アート)、モノ(サービス)、デザイン」という4象限を操りながら、自由に発想していきます。発想や着眼の手助けや、思考の自由度拡大の糧になれば、何よりです。

「ガム市場縮小」から

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3点に注目したい。
 1.ガムの意義を「健康」面で再定義する
 2.消費者が理想の噛み方をしてしまう(したくなる)ガム
 3.セグメントを絞った、エビデンス採りが重要

関連代表記事 東洋経済 2018/12/30 5:10
https://toyokeizai.net/articles/-/257884
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A 決定因子がないと言っている時点で、もう勝てない。当初のガムの意義に対する代替手段が充実した現代において、「ちょっとした美味しさを味わい、噛み、出す」というガムは、正直、必要性がない。


B 重要なことは、消費者が「必要だ!」と思う事である。「あったらいい」ではない。「なくてはならない!」と思うかどうかが重要であり、そう思う消費者セグメントを炙り出すことが重要となる。


A ガムマーケットは、2004年の1881億円から、2017年の1005億円へと、40%以上も縮小しているとのこと。

 

B 口臭対策、虫歯対策、或いはリラックス効果の享受などが、今までのガムの利用方法の主たるものであると思う。これらに対しては代替手段が非常に豊富であり、専門性~簡便性まで、多くの自由度の中で「ガムに匹敵する/を超える」手段が揃っている。これが現状である。わざわざ、ガムを買って、噛みますか?


A ガムを再定義するにあたり注目すべきは「口」である。「口の健康、口からの健康」は強い注目を受けている分野である。まさに「健康」にかかわるテーマであり、消費価値観が変化している現在や、今後のさらなる高齢化現象を考えれば、ガムを「健康分野」にフォーカスして再定義するのは面白い。


B 歯は健康に対して重要であり、8020(ハチマルニイマル)運動*1なども有名である。この中で、歯の健康について訴求しており、「噛む重要性」について説いている*2。
 
 ◇ガムの推奨利用方法
 ・プラーク歯垢)の観点から、歯磨きを前提としてガムを併用
 ・ガム併用の方法
  ・1日3回。1回5分以上。
  ・1粒ずつ、毎食後にかむ
   ⇒唾液による歯の再石灰化効果を高めるため
  ・就寝前にかむ
   ⇒就寝中に減る唾液効果をカバーし、口腔内細菌を減らす。

 


A 市販のガムとしては、キシリトールやリカルデントなどがあり推奨されているが、これは「良成分」である。この成分は既に一般認知域に近くなっているだろう。では何が抜けているか? 「歯の健康」を考えた時の、「理想の噛むという現象を導くこと」ではないだろうか?

 

B 8020運動にて、「5分噛む」と言っていたり、その理由を「唾液」と言っていたりする。では、どうやって噛み、どのように唾液がでてくると「ベスト」なのだろうか? この人依存性はチャンスではないだろうか。

 

A 噛み方を文言(取説のようなもの)で推奨しても、守る人はわずかであろう。であれば「ガムの性能」として、「消費者が理想の噛み方をしてしまう(したくなる)ガム」を開発してはどうだろうか?


B 歯科医師や歯科学会などと提携して、ガムのスペックと健康について検討していく。そこから、例えば、時間と共に弾性、粒感、成分のプロファイルを変化させる。ある時は奥歯で噛みたくなる状態を創出し、時間と共に前歯で噛みたくなるように仕向け、時には舌と上顎ですり潰したくなるようにする。成分プロファイルを利用して、長時間噛みたくなる状態や理想の唾液分泌を実現していく。


A ガム市場が減る中でも、健康への増える欲求や高齢化社会、そして予防の重要性を考えれば、「ガムの意義」は再定義できるし、そこに対して革新的な新製品を導入できるのではないだろうか。


B 技術的には、弾性、粒感(微粒子感)、或いは成分をサイン波のように変化させたりすることはできる。エビデンスという観点での実証が肝であり、万人を対象とせずに、身的特徴などでセグメント化した対象に絞り、脳科学・行動心理学などと併用しながら、確実な科学実証を行うことが重要となる。

 

A ここで「消費者が理想の噛み方をしてしまう(したくなる)ガム」を実現し、それをプロダクトとしてそのまま売るのでは能がない。消費者が求めているのは、「歯を起点にした健康」であることを忘れてはいけない。この目的に対するソリューションとしてのプロダクトとして考えねばならない。


B ソリューションとして考えれば、広げるべくエコシステムの範囲であったり、理想的アライアンス先、或いは課金モデルなども、単なるプロダクト売りの範疇を大きく超えることとなり、これが、事業としての競争力に紐づくことになる。

 

*1 日本歯科医師学会 https://www.jda.or.jp/enlightenment/8020/
*2 東洋経済 「35歳からガムを噛め」と医師が勧める理由
  https://toyokeizai.net/articles/-/256209

 

/2018.12.31 JK