JK_Tomorrow-Maker’s blog

ビジネスや経済などのニュースや日常の気づきを出発点に、「科学(技術)、心(アート)、モノ(サービス)、デザイン」という4象限を操りながら、自由に発想していきます。発想や着眼の手助けや、思考の自由度拡大の糧になれば、何よりです。

「葬儀ビジネスの拡大」から

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3点に注目したい。
 1.本人と親族などの関係者に対する、人生の充実化
 2.死生観の変化が起こる
 3.確度の高い未来
代表関連記事 NEWSPOST 2019.02.03 16:00
https://www.news-postseven.com/archives/20190203_854146.html
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A 人口減少については、既に誰もが「知っている」ことだと思うが、これを本当にリアルな危機感として感じている人は、まだまだ少ないように思う。ビジネスに身を置く者としては、確度の高い未来であり、確度の高いビジネスを構築できる機会でもある。

 

B 日本の人口推移を簡単にまとめると、次のようになる*1。

  ◆人口
  2015年 1億2,709万人 (起点)
  2040年 1億1,092万人 (87.3%)
  2053年 9,924万人  (78.1%)
  2065年 8,808万人  (69.3%)

 

A 更に重要なことは、年少人口が減り、老齢人口が増えていくということである*1。

 

B これの意味するのは、あと40年ちょっとで人口が3割減ると同時に、高齢者が溢れかえるという事である。これをご近所さんに当て嵌めてみるといい。人口が三割減るとどうなるか?そして、高齢者が40%近くに到達するとどうなるかを。

 

A 一方で、デジタルテクノロジーにより、従来の医療・医薬領域の進化速度も劇的に改善しており、今後も、その進化の速度は早まると考えられる。健康寿命が延び、死に至るまでの期間が長くなる。

 

B 他の側面では、物質的・サービス的に豊かになっており、満足レベルは高まっている。これにより、満足と幸福の乖離が進んでおり、心的充足度を満たすために、心への訴えかけを重視するようになっている。これは更に、加速する。


A 高齢者本人は当然であるが、そうでなくとも、これらの現象を総合的に捉えれば「死生観」はまず変わるだろう。

 

B 健康でいられる期間が長くなる。高齢者としても働く必要がでてくる。中堅や若者として、高齢者を強固に支える必要がでてくる。自分の人生を心から豊かにするという欲求が強くなる。同時に、相手(人、環境、動物…等)を思いやる気持ちも、今より強まっていく。

 

A このように考えれば、「死」に対するビジネスが伸び行く*2と考えるのは、自然である。現代用語でいえば、葬儀ビジネスであるが、「葬儀」という点ではなく、「死に向かい、死んだあと」を線として捉えるようなビジネス領域である。

 

B 分かりやすい部分でいえば、葬儀というのは自分の死んだ後のイベントであり、自分の子供や親族などに負担を強いるイベントでもある。そして、この葬儀(四十九日なども総合的に含むが、表現上、葬儀とする)とうのは、情報非対称性が非常に強い領域であり、同時に非効率な領域である。

 

A 何にいくらかかるのか。相場感。手続きの順番。参列者への連絡。当日の運営と事後処理…。この情報非対称性は崩せるし、非効率性も簡単に破壊できる。例えば、葬儀関連情報をプラットフォームでクリアにすればいいし、生前から葬儀を本人で考え、参列者等の名前を全てリストアップしておけばよい。そんな総合的なサービスを構築すればいい。

 

B 情報非対称性が改善され、非効率性がなくなっていくというのは、死に行く本人にとっても価値がある。即ち、心的に「楽」になる。「死」に対するビジネス領域が今後急成長すると予想されているが、重要な観点は「心的な効用」である。


A 自分の死んだ後に迷惑をかけたくない。これを解消する。自分が死ぬまでの人生を、しっかりと充実化させたい。これを解消する。


B 後者としては、例えば、早い段階から、お世話になった方々との思い出をまとめたり、家族との向き合い方を改めてみるということができる。仕事仕事で歩み、息子や娘との距離があると感じている現在でも、徐々に死生観が変わる中で、残りの人生を充実化させるために、家族との対峙の仕方を変えていく。このキッカケや過程に対してサービスを導入していく。


A いくらでもサービスは考えられるが、重要なことは、透明性である。本人だけでなく、家族などからみても、信頼できる透明な企業であることを示し続ける必要がある。単なる情報プラットフォームではダメである。


B 人生という流れの中で、本人の人生後期と死後を充実化させ、関連する家族や親族などの負担を減らし人生の充実に貢献する。主眼は、本人と親族などの関係者に対する、人生の充実化である。「死」ビジネスというとダークなイメージや情報非対称性を利用しきるというイメージが強いが、部ブランディングすべきは「明るい透明な」企業である。

 

A 人生の充実化を目指し、終活・葬儀関連の非効率・情報非対称性を破壊し負担を減らす。自分を振り返り、家族や友人たちとの関係を見直し、新しい付き合いや、新しい思い出をドンドン作っていく。予想されている市場規模*2があるが、これの1.5~2倍程度には膨らむのではないだろうか。それくらいのマクロ環境の変化がある。

 

 

*1 国立社会保障・人口問題研究所
  http://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp_zenkoku2017.asp

*2  矢野経済研究所 
  https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/1765

 


/2018.02.09 JK