JK_Tomorrow-Maker’s blog

ビジネスや経済などのニュースや日常の気づきを出発点に、「科学(技術)、心(アート)、モノ(サービス)、デザイン」という4象限を操りながら、自由に発想していきます。発想や着眼の手助けや、思考の自由度拡大の糧になれば、何よりです。

「マネジメントの進化」から

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3点に注目したい。
 1.「思い込み」を排除せよ。マネジメントは必要?
 2.人間の本来的な性質とは何か?
 3.自律性
代表関連記事 DiamondONLINE 2019.2.4
 https://diamond.jp/articles/-/192702
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A ビジネスを行う上で最も重要なことは、何か。私はそれを、「課題の設定」として捉えている。本当に意味のある真の課題を設定することが最も難しい。

 

B 課題さえ設定できれば、ビジネスモデル、収益原理、4P(C)…といった重要な手段に対して、確度の高い手法を選択し、それを最適化していけばよい。運用を見据え制約条件を排除すればいい。

 

A 課題というのは非常に重要であるが、ここについて、多くの混同が起こっている。
 
  ・現象と(本質的)問題は異なる
  ・本質的問題と本質的課題は異なる。
 
 にも関わらず、現象を問題と混同し、そのまま課題として捉えるケースが後を絶たない。これでは、課題に優先順位を付けても団栗の背比べであり、効果は薄い。


B 課題を見抜くには、現状をきっちりと捉える必要がある。確度のある未来への動向と不確定性の高いそれをわける必要がある。脳の非線形的作用である「インスピレーション」も重要であるが、これは「思い込み」とは異なる。思い込みは排除する必要がある。仮説を検証(反証)サイクルに乗せて、仮説の純度を高める必要がある。


A 問題分析についてここで議論するつもりはない。よく、多くのことに「疑問」を持つべきという。「なぜ?」と問えという。思い込みを捨てろ!という。言うは易しであり、意識して習慣になるまで自分に、このような思考形態を落とし込む必要がある。

 

B 例えば、今から述べるのは「超」のつく重要な問いかけであるが、どれ程の人が、冷静に改めて考えたことがあるだろうか。
 
 「マネジメントが必要な理由は何か?」

 


A 思い込んではいないだろうか? 部下をマネジメントするのは当然であると。一度立ち止まって、考えてみるといい。非常に有用な問いである。
 
 ・なぜ、マネジメントが必用か?
 ・マネジメントとは何か?
 ・マネジメントをなくすとどうなるか?
 

 

B マネジメントというのは、人間の考え出した成果物の一つに過ぎない。「(やるのが)当たり前」のことがらではない。マネジメントすることの弊害があるのも事実であり、この「弊害」に目を向けることで、(今でいう)マネジメントよりも優れた手段に到達できることになる。


A マネジメントは、少なくとも「管理ではない」という人々は増えた。部下が力を発揮するための土壌を整えるのがマネジメントの本質であると。


B しかし、この言い分には、結局、人間にはコントールが必用であるという、長らく変わっていない仮定が含まれている。進捗を得るためには、後押しが必用。時には、罰や報酬が必用。的確な指示で方向性を制御することが必用…と。

 

A 人間の本来的な性質とは何だろうか。受動的なのか、能動的なのか。企業経営に目を向けると、なぜに、こうも行動理論に基づき科学的アプローチで人を管理する傾向が強いのだろうか。すでに学問分野では自己決定理論(SDT: Self Determination Theory)の重要性が強調され、その有用性が証明されている。このSDTに基づく人の能力開花を実践している企業も存在しているのに。

 

B 行動理論として人間の行動特性(傾向)を中心に捉えるのか。一方、SDTとして、人間の本来の願望を中心に据えるのか。これにより、共に働く人々との対峙の仕方が大きく変わってくる。当然、マネジメントの原理も変わってくる。

 

A SDTでいえば、有能感・自律性・関係性という三つの心理欲求を持つことになる。特に、現在のマネジメントと大きく対立するのは、自律性(autonomy)の項目である。

 

B 従業員の自律性を最大限に尊重し、それに基づきパフォーマンスを最大にさせる仕組みは何か?この捉え方は、従業員の行動をある程度の自由度の中でコントロールしていくという現在のマネジメントとは、大きく乖離する。

 

A SDT前提で考えるというのは、人とは「本来的に、興味を持ち、能動的に、自発的に行動するという性質が備わっている」と考え、これに基づいた組織の運営を考えるということである。指示を出す必要があるとか、報酬でやる気を出す必要があるとかではない。

 

B マネジメントという科学的組織管理の創造物の影響で、企業内で働く従業員からSDTの特性が薄れたと考えることもできるかもしれない。

 

A 20%ルールを導入するもうまく機能しない。これはよく聞く。当然である。従来のマネジメント環境の中に、20%ルールを導入しても管理色がにじんでくるため、自律性を打ち消すこととなり、従業員の創造性は発揮されない。


B 新事業を自由に発案していい場所を設定したが、うまく運用されない。当然である、従来のマネジメント環境の中にいれこんでも、審査や手続きなどの管理色がにじんでくるため、自律性を打ち消すこととなり、従業員の創造性は発揮されない。高いやる気も持続しない。

 

A  繰り返し組織について議論してきているが*1、組織体系を変える必要がある時代に突入しているのは、確かなのかと思われる。

 

B このときに、単に組織の仕組みだけ変えても、失敗するのは言うまでもない。科学管理の「改良」でなく、まったく新し組織体への変異が必要になっている。そのためには、「マネジメントとはなにか?」「従業員とは何か?」「従業員の有する性質をどう定義するか?」といった思い込みで進めている部分に、改めて思考を巡らし、メスを入れる必要がある。 

 


*1 
 「報酬が内発的動機を奪う」から
  https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2019/02/08/073446


  「自己浄化・自己成長する組織」から
   https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2019/01/27/064728

 「ベンチャー大企業病」から
  https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2019/02/02/140916


 「ゴーンとホリエモンと善悪の区別」から
  https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/12/16/070655


 「PDCA→ OODA」から
  https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2019/01/26/064322

 「昭文社の不調」から

  https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/12/20/072950

 

*参照情報
・Drive: The Surprising Truth About What Motivates Us, Daniel H. Pink
・Work Rules!: Insights from Inside Google That Will Transform How You Live and Lead, Laszlo Bock
・Reinventing Organizations: An Illustrated Invitation to Join the Conversation on Next-Stage Organizations, Frederic Laloux

 


/2018.02.10 JK