JK_Tomorrow-Maker’s blog

ビジネスや経済などのニュースや日常の気づきを出発点に、「科学(技術)、心(アート)、モノ(サービス)、デザイン」という4象限を操りながら、自由に発想していきます。発想や着眼の手助けや、思考の自由度拡大の糧になれば、何よりです。

「自己浄化・自己成長する組織」から

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3点に注目したい。
 1.新型の世界観や組織構造は旧型のそれを内包するが、逆は成立しない。
 2.新しい世界観が「優勢」になるかどうか。
 3.組織構成員の世界観と組織構造を整合させる

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A 高速で量子的に市場が世界が変化する。顧客がみえない。誰が競合かわからない。顧客の嗜好が変化している。モノよりもコト。実利よりも意義…。多くの変化が観察されているが、これを「自分の組織」に対して照らし合わせるケースは少ないように感じる。

 

B 組織というのは人類の歴史とワンセットである。人類のもつ優勢な「世界観」が、人々の集合形式(組織)へと反映され、これが人類を大きく進化させてきた。


A 人々の持つ「世界観」は非常に重要であり、この「変遷」は組織の好適な体制に強い影響力を及ぼす。

 

B 既存の組織を運営しそれに慣れている方々からすれば、自分達のやり方・居心地の良い環境に対する異分子として感じられることになる。頭でわかったふりをして、新しい組織モデルを導入しても、それは浸透しない。

 

A 新しい「世界観」を誰が導いてくるのか?が重要になる。平均的には若い世代かもしれない。しかし、熟練した方であっても、いち早く、次の世界観を有する方もいる。このような、新しい次世代の世界観を有する人が、何を思うか?という観点に立つことが重要になる。


B 最近よく言うティール組織もそうである。口でティール組織といって、そのモデルをインストールしようとしても、無理である。重要なのは世界観が組織になじむか、その世界観が組織で優勢となり自己浄化機能を発揮するかどうかである。


A 組織形態というのは手段であるが、目標を実現するための「実運営」を担うものであり、非常に重要である。同時に、組織形態は優勢な世界観と紐づくことから、これは組織文化にも強く影響する。組織文化は戦略を制限することから、目標そのものの設定レベルにも影響を及ぼすことになる。


B 社会課題を重視する傾向。互いを尊重し合う風潮。利益よりもESGを志向する。…。大きな変化というのは既に起こっている。これらは世界観の変化であるものの、多くの企業の組織形態は、従来型組織を踏襲し、修復・修繕を繰り返す程度である。


A 新しい世界感が、その組織構成員にとって優勢となるのであれば、組織体制そのものを組み直す必要がある。逆に、優勢にならない(優勢にできない)のであれば、無理に転換してはならない。転換は非常に重い負担を産む。しかし、新しい世界観を有する人々がイキイキと働き、そこから持続的なバリューを発揮することに繋がるため、必要な改革である。


B 自己浄化しながら、自己成長していくというのは理想形である。これを無理と考えるのか、新しい世界観に基づき、その世界観ベースで組織を改めて構築しようとするのか。後者が望ましい。このときに、今の組織ベースで思考したり、テストしてはダメである。


A 新しい世界観や組織形態は旧型モデルを内包するが、その逆は成立しない。組織構成員の世界観と組織構造を整合させることが、重要である。

 


/2018.01.26 JK

「PDCA→ OODA」から

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3点に注目したい。
 1.クロスPDCAで仮説をドライブし、ファクトに照らして検証・学習する形態は可能
 2.PDCAのような手段を「使いこなす」HRM・組織構造的な仕掛けは必須
 3.手段を最高率にするには、どうしたらいいか?

関連代表記事 ZUU Online https://zuuonline.com/archives/193619
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A 目まぐるしく変わる事業環境という理由で、日々、新しい手法がでてきている。最近では、「PDCAからOODAへ」という言葉も聞かれるようになってきた。しかし、暗にPDCAから乗り換える企業は、まず失敗する。これらは独立した運営方法ではないし、何を目的に手段を使いこなすかで大きく結果がかわる。

 

B PDCAは、「PLAN→DO→CHECK→ACTION」。OODAは、「OBSERVE→ ORIENT→ DECIDE→ ACT」。OODAは戦場産まれで機動性が高いといわれる。機動性に富むから、変化の激しい時代に合うという主張が多い。

 

A このように考えることもできるが、機動性に富み変化に対応できるかは「運用方法」で大きくかわるわけであり、OODAにしたからついてくるオマケではない。

 

B PDCAであっても高速に回転させることはできるし、その過程で変化に対応することも当然可能である。

 

A 私の理解するPDCAは「クロス型」である。即ち、「PLANとDO」を共に「CHECK」し、そこからそれぞれへの「ACTION」をつくる。マトリクス表記をすれば、「PLAN+DO」×「CHECK+ACTION」として考え、使っている。

 

B その理解に立つと、CHECKにて「学習すべき」ことは、PLANする工程とDOした結果の両方になる。これらの段階で、OBSERVE(観察)し、ORIENT(状況を改めて確認、判断)し、反省と学びを経て、新たな行動指針(ACTION)を打ち立て(DECIDE)、実行していく(ACT)。


A PDCAをOODAにしたからといって、何が変わるというわけではない。これらを自組織の抱える問題点や目標に対して整合するようにモディファイし、組織として使いこなすことが重要である。


B PDCAの場合でも、常に、PLANとDOの両方から学びを得て進化すべきである。このときの、学習効率であったり速度を考えれば、状況を見つめ判断していくというOODA的な行為は必須となる。ファクト主義に立ち仮説ベースで検証・学習するという工程(サイクル)を、PDCAの中に採り込めばよい。


A PDCAを高速に効果的に回し、非線形で量子的な環境に対処するために、仮説をドライブし、ファクトで検証・学習する姿勢が必用となる。この時に、常にファクトを見つめ意思決定していくという習慣づけにOODAという視点をいれるのは効果的だろう。3現主義でも5現主義(現場、現実、現物、原則、原理)でもいいが、組織が当たり前のように使いこなさねば、まったく意味はない。そう考えれば、「どのような組織構造とHRMシステムが必用か」という疑問がおのずと湧いてくる。ここまで踏み込んで初めて、自然進化する組織や自己浄化する組織になりうる。


B 手段に踊らされては負けである。当たり前であるが、手段に踊る企業は多い。なんのための手段か。なぜ必要か。何がしたいのか。そのポテンシャルを引き出すには、どのような仕組みが必用なのか。それは、HRMシステムや組織構造として対応できる範囲なのか…。流行りに踊らされてはいけないが、既存システムからの変化に憶病になってはいけない。

 

/2018.01.25 JK

「XR(X=A,M,V)の用途」から

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3点に注目したい。
 1.ニッチ側、XR以外のデバイスを無視しやすい状況
 2.本質は、行動変容。これにより、新たな市場が湧き出る。
 3.怪我を刺激的にも視覚的にも、リアルに。
   DIYを、誰でも簡単にハイスペックに。

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A VR, AR, MRなどのXRは、消費者の行動様式を変容させることが可能である。EVも同様であり、単なる電動化や自動化ではなく、消費行動そのものの変容が本質である。スマホ前と後を考え見てほしい。XRはそれと同じようなインパクトを持つ。


B グローバルAR/VR市場(ハードウェア、ソフトウェア、関連サービスの合計)は、2017年の140億ドルから2018年の270億ドル、2022年の2,087億ドルへと、CAGR71.6%で高成長すると予想されている*1。2022年予想でみると、最大の領域は一般消費者向けであり、530億ドルと予想されている。続くのが、小売業、組立製造業、輸送運輸業であり、これらの合計が560億ドルと予想されている*1。


A XRが当然化した世界を構想し、そこに向けて戦略的に製品を投入し、エコシステムを作り上げることは重要である。一方、巨大市場への欲が出てくるのも当然であり、ニッチ側が無視されやすい状況でもある。また、XRデバイスやシステムという手段が目的化し、本来必要な他の機能やプロダクトに目がいかないという現象も起こるだろう。

 

B 私が面白いと思っているのは、労災防止である。モノづくり企業にとって労災防止は超のつく重要テーマである。熟練工が減り、自動化が進む中で、ピンチポイントや危険源を本当に把握している者が減っていくという未来がある。ここに対して、XRを利用した体験やマニュアルなどを導入する試みは既にある。私が目指すと面白いと思っているのは「仮想での怪我の体験」である。XRでリアリティある「怪我」をし、「別途構築する刺激システム」により怪我はしないがしっかりと記憶に焼き付く痛みなどを与えていく。


A 痛みや恐怖感をリアルに把握している人は、安全感度が飛躍的に上がる。XRに加えて、刺激や風、音などの五感をさらに刺激するデバイスを併用することで、リアルと仮想の境目がぼやけてくる。ここまでやると、「恐怖感」がうえつき、安全感度が上がり、抑えるべきポイントを押さえ、抑えなくてもいいポイントが主観としても明確化し、効率の高い安全維持が可能となるだろう。

 

B もう一つ思うのは、「裁縫」のような分野である。もっと大きく「DIY」でもいい。例えば、日本のクラフト市場(編・織物、趣味工芸、洋・和裁、日曜大工、書道など)の規模は約8,500憶円とされる*2 。DIYは盛んであり、これにより客層も大きく変わってきている。ホームセンターの売上高は4兆円弱で2004年頃より横ばいだが、ホームセンター数は2009年頃より上昇に転じ、2017年には4,760店舗に到達している*3


A 家のリフォームでも、洋服のお直しや手作りでも、「解説困難」である分野である。文字や図を駆使し分かりやすくなっているのだが、消費者層がDIYのように大きく変わっているフェーズを考えれば、「誰でもわかる」「より専門的にわかる」状況を簡単に作り上げることには、大きな価値がある。これはXRの得意技である。

 

B 実際の作業者目線であったり、感覚的に指でなぞってプロが把握している裏側の映像などを、XRで体験できるようにするのは、有効だろう。特に、リアルと仮想を重ね合わせながら作業するとか、所定の瞬きに応じて映像が切り替わるとか、実際の使用環境に応じたユーザビリティが重要になってくる。当然、作業性に影響を与えないような軽さや装着性が必要になる。


A 労災防止目的の怪我の体験というのは、安全活動の結果を良好にし且つコストを下げられる。利用者の目線や筋肉の動きをモニターすれば、その体験者が何を感じているかといった情報も取得できる。感覚から情報ベースの安全活動へとシフト可能であり、訴求度は高い。

 

B 一方の裁縫やDIYというのは、「深く好きな人」がいる分野であると同時に、幼稚園で使う手提げ袋を自作するといった「半強制で必要性に迫られる人」のいる分野である。アーリーアダプターの把握と、彼ら・彼女らとの改善学習プロセスを高速で回しやすいという特徴がある。難しいと思っていたことが簡単にできるようになると、人の行動は大きく変わる。素人が第一歩を踏み出すのもそうであるし、慣れた人がプロ・職人に近づくのもそうである。DIYを加速させるというのは、市場を形成している作業である。また、壊れたら捨てる世界とは路線が異なり、地球環境的な意義も大きい。


A ゲーム、不動産、エンタメ、ファッション、マニュアル・・・などにXRを利用するケースが非常に多い。XRというのは人の行動を変容させるものであり、この行動変容により「新たな市場が湧き出る」分野である。人の行動がどうかわるのかをしっかりと考えていく必要がある。現在ニッチに見えても、行動変容により「化ける」市場も多数あると考えられる。 

 


*1 IDC Worldwide Semiannual Augmented and Virtual Reality Spending Guide
  https://www.idc.com/tracker/showproductinfo.jsp?prod_id=1381

*2 ホビー白書、一般社団法人日本ホビー協会
*3 日本DIY協会 http://www.diy.or.jp/i-information/association/jigyo/transition.html

 


/2018.01.24 JK

「クッキング」から

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3点に注目したい。
 1.プラットフォームは、情報を与え行動を促すのが、主体
 2.デジタルプラットフォームの顧客は、リアルでの不満を持つケースが多い
 3.諦めている課題は、絶好のチャンス

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A デジタルプラットフォームの進化はとまらない。参画者の規模を価値に転換する形式もあれば、規模により固定費を希釈する方式なども存在する。動画の進化も止まらず、例えば、「料理」に対してレシピプラットフォームに留まらず、「わかりやすく、簡便な」動画が大きく入ってきている。

 

B 「料理」というのは面白い。クックパッドやクラシルなどのプラットフォームがあり、多くの方が利用している。私も料理が好きであり、たまにアイディアの参考にと、これらのプラットフォーム内を徘徊しているが、常に気になっていることがある。それは「調味料」。

 

A デジタルプラットフォームは基本的に、情報を提供し行動を促すという役割を果たす。一方、実際の消費者の行動に対して、リアルな現場にまで踏み込むケースは非常に少ない。


B 私の言う「調味料」というのは、「計量行為」である。クックパッドなどを利用する消費者層から考えれば、レシピに「大さじ1/2」と記載があれば、人数調整(作る料理のボリュームでの補正)はするにしても、基本的にはこれを守る方が多いのかと推察する。


A 醤油:大さじ2、ナンプラー:大さじ1/2、バター:11g、牛乳:60cc、オリーブオイル:30cc、塩コショウ:少々…。これを逐一軽量しているわけだが、行為としては非効率であり、無駄である。よくマーケティングの教科書に、「ドリルではなく、穴」とか、「速い馬では意味がない」といった類のフレーズがかかれているが、まさにこれらに該当する。消費者は、「調味料を計量したいのではない、適量の調味料を欲している」ということである。


B 料理行為のフェーズを進めて同様に考えれば、1から料理⇒ カット済み野菜⇒ 献立と適量の素材⇒ 調理済み料理のデリバリーや冷凍食品など…と記載できる。クックパッドのような料理レシピのプラットフォームで考えれば、「自分で料理をすること」に価値や意義を見出す層が顧客に該当する。


A 顧客層を、自分で料理をやることに強く前向きで熱心な層。レシピサイト自体への不満は当然存在するが、仮に、「調味料の測定が面倒と潜在的に思っている(調味料を測るのは当たり前だと、疑っていない。調味料は自分で測るものだと諦めている)」という未決課題が存在すると考えてみる。さて、何ができるか?


B 私であれば、メーカー種を問わずに利用できる「自動計量器」を作る。例えば、醤油のヘッドに、直径30㎜・高さ40㎜程度の円柱状のデバイスを付ける。これを利用することで、消費者は、所望の量の醤油(例えば、大さじ1、25㏄、1滴など)を面倒くささなく手に入れることができる。このようなデバイスを調味料の種類ごとに作っていく。「さしすせそ」+「XXオイル」+「XX醤」+・・・。


A 便利な状態というのは、例えば、クックパッドを見ているのであれば、そのレシピに記載の調味料分量が自動で該デバイスに反映される状態であろう。当然、「レシピが2人前」に対して「3.5人前欲しい」というのであれば、これは自動で調整される。「ちょっと薄味」といか「濃い味」なども出来てもいいだろう。


B 細かいことを言えば、液だれしないであったり、洗わなくても清潔、といった状態を実現することも必要になる。これらも「諦めている課題」として存在しているハズであり、リーンで回転学習させる時に、すぐに明確になるだろう。最低限必要なこれらの機能候補の外側に、限りなく電池交換の手間がないこと、といった要素が入ってくると思われる。


A このようなビジネスをやる場合、立場(クックパッドのようなデジタルプラットフォーマー、第三者など)によって事業性や交渉力が大きくかわるが、UVP(Unique Value Proposition)に該当してくる機能部分を権利化できると非常に強いことはいうまでもない。


B モノづくりとデジタル企業とは、その事業構造が大きくことなる。デジタルプラットフォーマが「モノ」へと進出するのは、想像以上に困難な点が多い。ものづくり企業がこのようなデバイスを着想し作り上げ、多くのデジタルプラットフォーマと連携させるといったやり方をとるのは、事業的にも交渉力推移としても面白い。

 

/2018.01.23 JK

「宅配寿司」から

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3点に注目したい。
 1.顧客の顔がみえなくなっている。
 2.提供プロダクトが中途半端で、一貫性がない
 3.セグメントを明瞭かし、「やらないこと」を明確にする

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A 飲食物のデリバリーは増加していきているが、「不整合」であるケースをよく見る。整合というのは非常に重要であり、例えば、経営理念と組織体制・運営との整合性もあれば、事業内での整合性なども存在している。

 

B デリバリーで考えるのであれば、ある店Xからしか注文を採れないというのは、消費者からみると不便になる。それは、メニュー数が極端に制限された状態であり、リアルと何ら変わらないためである。

 

A 出前館が急伸しているが、出前館のようなプラットフォームがあると、プラットフォームにのる飲食店を跨いで、消費者は好きなメニューを頼むことができてくる。

 

B 宅配寿司を頼んだときに、ふと思ったことがある。ニギリがあり、丼がある。そして単品でもセレクトできる。サイドメニューもあるが、某大手宅配寿司のそれは「茶碗蒸し、鳥料理(揚げ物)」がほとんどである。デザートは、「わらびもち、フォンダンショコラ」である。

 

A 回転ずしについては、サイドメニューの進化が消費者心理と呼応しているため、不思議なメニュー含めた多様的メニューがあっても何ら不思議ではない。

 

B 宅配寿司はどうなのだろうか。例えばニギリの桶を一人前で頼むと、2,000円程度の予算がかかる。一般的消費者の食への支出額から考えれば、日常の出費ではなく、特別な日などに利用するケースに相当すると考えるのが妥当と思われる。

 

A 「特別な日」に自宅に寿司をとろう!というケースを考えた場合、寿司のサイドメニューが「鳥の揚げ物」でいいのだろうか。寿司コースであったり、日本料理(コース)を考えてみればわかるが、「鳥の揚げ物」「フォンダンショコラ」ではないだろう。需要がないといっているのではない。鳥の揚げ物でもいいが、頼める料理種を考えた時に、バランスが非常に悪いと感じる。「寿司(特別な日)」という軸を考えた時に、サイドメニューとの整合性が悪い。


B サイドメニューを、「特別な日・寿司を自宅に」という軸で考えて、日本料理や寿司コースを参考に充実化させてもよいかと思う。ここで、「自前でやる必要はない」ということが重要。これだけの料理を揃えると、オペレーションも含めて、コスト構造が大きく変わってしまう。出来る部分は自前化してもよいが、他社提携は初めから摸索したい。


A 同様の不整合を考えると、「飲み物」がある。寿司屋に行ったときに、「何をどう」呑むかを考えてみればいい。宅配寿司のサイトから、料理にあう「適温の」飲料を提供するという方法もあるはずである。自宅で「適温」にするのは、実は、面倒である。


B このような考え方は、セグメントをより明瞭にする。宅配寿司をとる層にも複数のレイヤーが存在しており、どこのレイヤーを主たる顧客層として捉え、彼らの効用をいかに最大化するかを考えねばならない。

 

A 宅配寿司として回転ずしのようにセグメントをデザインするのであれば、「鳥の揚げ物」「フォンダンショコラ」では不十分であるし、値段も高い。主たる顧客層がみえていない。何でも採りにかかるという戦略になっていない戦略を採用しているようにも見える。セグメントを明確にし顧客の顔を見えるようにするということは、明確に「やらないこと」がわかるということでもある。

 

 

/2018.01.22 JK

 

「テーマパークと昼食」から

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3点に注目したい。
 1.「仕方がない」と思い込んでいる未決改題はチャンス
 2. ある業界での気づき⇒ 解消策⇒ 他業界への展開・応用
 3. 顧客の顔をぼかすべきではない。

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A 遊園地と呼ばれるようなテーマパークは多く存在するが、これらのテーマパークは問題山積であるといつも感じる。駐車場で稼がねばやっていけない状態になっているテーマパークも多く存在しており、なさけない限りである。

 

B テーマパークであるが、コンセプト不明瞭であることが非常に多い。お子様をメインに据えて、両親や祖父母を呼び込みたいのか。或いは、恋人などのカップルを対象にしたいのか。そうではなく、何かしらのキャラクターやアニメなどのファンを対象にしたいのか。運動系アクティビティに魅力を覚える方々をメインに据えたいのか…etc.これらが混在しており、なかば、ヤケクソの企画をしばし目にする。

 

A テーマパークに思うことは非常に多いが、その中の1つは「昼食」である。フードコートや軽食を揃えるテーマパークが多くあると思うが、その料理の内容に満足している消費者は、いかほどいるのだろうか?「テーマパークだし、こんなものだろう」という消費者の「当たり前」に甘えているとしか、おもえない。


B テーマパーク運営を考えた時に、誰にどのような独特な価値をどのように提供するのか?という部分がまず曖昧であり、その上で、どこで稼ぐか、即ちどこでは稼がないかというコントラストが非常に弱いという問題がある。

 

A 料理を強化すること自体は簡単であるが、消費者個々の要望は非常に幅広い。私の子供など、フードコートに入った時に「しょっぱいパンが食べたい!」などという注文を、先日してきた。カレー、ラーメン、パスタ、フライドポテト…といった、よくあるメニューは揃っていたが、「しょっぱいパン」は土産屋を覗いてもなかった。このような可能性を考慮し、提供する料理として揃えるのは非現実である。


B 視野にいれたいのは、デリバリーではないだろうか。近隣の飲食店と連携して、好みの料理を好みの時間に提供可能にしていく。物流などの共通化できる部分はコンパクトに効率化し、参画店の種類の多さで、料理の多様性をカバーしていく。


A 物流×デジタルの影響で飲食店のデリバリー強化が強まると同時に、ゴーストレストランなども増加していく(参考 https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/12/02/054252 )。このような流れの中で、デリバリーに乗り遅れる(=自社では出来ない、気が付かない等)飲食店も多数存在している。


B 例えば、テーマパークからの移動距離30分をデリバリー領域として設定し、このテリトリー内の飲食店(特に、個人経営点)に参画提案をしていく。このデリバリー領域内に、複数の「集荷場」のような場を設定する。集荷場はアイドルエコノミー的に調達してもよい。各飲食店から集荷場までの移動時間距離が10分以内になるような、最適配置を考えていく。こうすれば、参画する飲食店のデリバリー負荷は一気にさがる。そして、集荷場から「まとめて」テーマパークへと飲食物を運ぶことができる。プラットフォーム上からは、事業者として物流コスト等を解決しながら、消費者に対して参画店のメニューを任意に選択できるという価値を提供できる。消費者は、希望時間に確保された座席と指定した料理の両方に出会うことができる。


A 消費者のオーダーは、60分前までの予約制として、HPや入場ゲートでしっかりとPRしておく。各消費者がオーダーする飲食物は、デリバリープラットフォーム上でまとめて管理する。こうすれば、複数の消費者オーダーを集荷場でまとめることが可能となる。


B このような仕組みを構築する場合、「誰の立場でやるか?(構築するか)」で、ビジネス性が大きく変わる。1テーマパークで考えるのか、複数のテーマパークを運営しているグループで捉えるのか、そうではなく第三者の立場でシステムを作り、それを売り込むのか。


A  第三者の道がもっとも魅力的であるが、この場合も、システムを売るだけなのか、参画者呼び込み/管理まで担うのか、実際の物流オペレーションまで担うのかで、交渉力や粘着性、そして収益性まで大きく変わってくる。テーマパーク自体が離散した存在であるため、物流は第三者とのアライアンスでコナスのが妥当だろう。


B 当然のことだが、このシステムをもって昼食だけ改善しても効果は薄い。顧客の顔を見えるようにして、彼ら/彼女らの感じる効用を最大化することが先である。


A テーマパークなどで昼食への不満を感じることは実は多いのだと思うが、みな、それを「当然(仕方がない)」と思っているように思う。このような「仕方がない」と消費者が諦めているような領域に対して、「いいんですよ、我慢しなくて」という気づきを与えることは非常に重要であり、商売としての旨味もでてくる。


B テーマパークでは、そもそものセグメント明瞭かが先であるが、この発想がテーマパークに限らないのはいうまでもない。発想の広げ方には色々あるが、例えば、テーマ―パークでの昼食の不満⇒ こんなモデルで解消できないか? ⇒ 他業界でも同じような問題がある⇒ 冷静に考えれば、より導入しやすそう、といった流れは採りやすい。

 

/2018.01.21 JK

「美容室」から

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3点に注目したい。
 1.情報非対称性が大きい
 2.属人性を小さくし、人の技がいきる領域を強化する
 3.科学ベースの施術により、品位が安定化し、安心感が高まる。

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A 美容室というのは属人性が高い。また、消費者が自宅で実施可能なものまでパッケージされていたのが今までである。最近の早い・安いカットは、消費者が自宅で出来る部分を切り離し、最小限の操作(カット)を提供することにフォーカスしている。これにより、提供価格は下がり、品位は安定化し、属人性からも解放されやすくなる。

 

B 美容室に行くたびに思うことが2つある。
 
 1.カット「以外」への特化モデル
 2.カラー・パーマに対する品位を科学的に安定化させる

 


A 髪を切った後の「洗浄(シャンプー等)」は自宅でも可能であり、ここを削ぎおとしたり、オプション化する店が増えた。しかしながら、「髪の洗浄が自宅でできないケース」が存在する。例えば、真夏の営業外回りで汗が噴き出したときに、顔・頭が気持ち悪い。自宅に帰って洗う人は、まず、いないだろう。

 

B 営業にかぎらずだが、仕事で汗をかいた後にデートがあるとか、外回りの後にピシッと決めたい商談があるとか、「せめて、首より上はすっきりしたい」という需要は存在するのではないだろうか。このセグメントに対して、「短時間低価格で、スッキリと頭を洗い髪をセットしなおす」という価値を提供できないものか。カットなどはしない。首より上を短時間低価格でスッキリさせることのみを、志向していく。


A カラーやパーマは非常に属人性が高い。問題なのは、消費者が美容師に伝えるイメージが曖昧であり、曖昧同士のコミュニケーションを介すこと。そして、髪質や選択する薬剤、そして処理方法により仕上がりが大きくかわること。

 

B 伝達イメージについては、色見本などの小さいものでは、まだまだ曖昧である。消費者のその日の顔を写真でとりこみ、タブレット上で、消費者の顔を操作し、仕上がりを見えるようにしていくことが重要である。細かい部分も消費者といっしょに、あーでもない、もっとこー・・・と修正していき、最終的に実現したい像(カット後の髪型)を明確に共有する。


A パーマもカラーも、原理的にはそこまで複雑ではない。消費者の髪情報(太さ、硬度、弾性、色調、表面ラフネス、組成分…等)と施術(パーマやカラー)条件の与える、最終結果(どんな色、どんなウェーブになったか…など)への影響をデータベース化すれば、共有した明確な感性像と消費者の髪の毛情報とから、施術方法を逆算できる。消費者の髪情報はすぐにその場で解析可能である。


B 消費者からみれば、あらかじめ「こんな髪型にする」という明確な映像を共有しており、それを実現できる理屈も明確であるため、安心感がある。


A このような科学ベースの方法を採り入れると、属人性が小さくなるため、美容師の意義が薄まるという反論が直ぐにでるが、それは間違っており、逆である。属人性を開放できる部分は開放すべきである。即ち、人の技がでる部分に対してより多くの時間をとり、より集中できるようにしていく必要がある。これにより、消費効用があがり、効率化する。


B またこのようなデータに基づく施術を実施していくと、消費者の髪質の変化もモニターしやすくなる。「ちょっと痛んでいますね。ヘアケア(+3,500円)した方がいいと思いますが、いかがいたしましょうか?」。美容室にいくとわかるが、情報の非対称性が非常に大きい。パーマAとパーマBの価格差が3000円あって、パーマ液がどうのこうのと理由をいわれても、消費者からみればどっちがいいかなんてわからない。納得できるようなできないような説明に頷き、推奨される方を選択する方が多いものだと思う。


A 情報非対称性に対して、データベースの操作をいれ属人性を薄めていくと、消費者の不利益が小さくなっていく。これは安心感にも繋がってくる。「どれだけ痛んでいるから、薬液Aを用いたケアがいい」「結果は、XXだけ変わる」「薬液Bの場合、3,000円安くなるが、その効果が弱く、このように数日で元に戻ってしまう(というデータがある。とデータから予測できる)」。


B 多くの業界で自動化が進んでいるが、自動化の一面は、属人性を薄める作業である。これの意味するのは、属人性の高い領域に対して、より集中して時間をかけ効用をあげるということである。日常生活をみわたせば、開放可能な人依存領域が沢山ある。

 


/2018.01.20 JK