JK_Tomorrow-Maker’s blog

特長的肩書は、4象限で武装した参謀長。科学、心、モノ、デザインを操ります。科学者として、戦略コンサルとして、経営者として、イノベーターとして、過ごしてきました。注目のニュースや企業に対し、自由気ままにコメントします。発想や着眼の手助けや、思考の自由度拡大の糧になれば、何よりです

「DeNA、0円タクシー」から

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三点に注目したい 
 1.当たりクジ
 2.ナロー・ポイントキャスティング化
 3.広告自由度の拡張

関連代表記事 産経ニュース 2018.12.5 18:03
https://www.sankei.com/economy/news/181205/ecn1812050028-n1.html
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A 率直な感想は、「発想がありきたり」ということ。しかし、「あたりクジ」的観点とナロー/ポイントキャスティング的観点でみると、非常に面白い。

 

B 無料化すれば消費者(タクシー利用者)にとっては、非常にありがたい。広告モデルでの収益を持ってくることで、国交省の声で決まるタクシー料金(コスト)という呪縛から解放されるわけであり、消費者にとっては本当にありがたい。


A 少し時間を進めてみると、料金を気にしないでタクシーを利用するようになる世界に、たどり着く。このことから、全数無料化は非現実。

 「100m歩くのが面倒だな。寒いし。そうだ、タクシーだ。」

 「終電が…名古屋/東京だけど、タクシー呼んで寝ながら移動しよう。」

 収支は、まず合わない。「ルールでガンジガラメ」にして対応してもいいが、細かい使用ルールは不透明性を産む。


B 0円タクシー第1弾取組として、日清食品を広告主とし、「どん兵衛」化したタクシーを50台解き放つとのこと。タクシーの売上が都心の1日で4万~7万円/台程度とすると、解き放つ50台×1か月で、6,000万~10.500万円/月。全額広告費でカバーされるとすると、ブロードキャストの広告モデルを前提にすれば、非効率な数字である。


A 狙いは、報道にある通り「認知拡大⇒利用者増」であり、これにより通常のDeNAのMOVプラットフォームからの手数料収入を増加させていくこと。つまり、タクシー配車という大きなプラットフォームがあって、その中の幾ばくかの割合が「無料タクシー」であるという状況を「継続的」に生み出すのかと思われる。これは、「当たりクジ的要素」が含まれるため面白い。呼び出したタクシーが「無料」であれば非常にうれしいし、「通常」であっても損した気分にはならない。


B 「あたりクジ的」にプロモーションをかけるのは面白いと思う。通常タクシー配車プラットフォームと、「あたりクジ(無料配車)」を含むプラットフォームがあれば、後者の魅力は圧倒的に大きい。ちょっとした「おまけ」や「福引券」に群れを成す国民性と時代であり、これはマッチしている。


A これを実現させるためには、広告主が継続的に存在すること(お金を投下し続けること)が重要となる。そのためには、プラットフォームの規模を大きくし、高い広告効果を実現する必要がある。プラットフォームの規模を大きくするには、「あたりクジ的」な無料配車枠の、不公平性をなくすことが重要。MOVとして事前にタクシーを呼ぶ際に、当然、目的地も入力する。この段階で、無料配車の可能性については連絡すべき。区間や時間帯による制約を公明正大に表示し、この部分を徐々に改善して、枠を広げていく。


B 規模を大きくしてもそれが、急激に縮小するようでは意味がない。つまり、安定性が必須。そのためには、ハードユーザが必用。例えば、MOVプラットフォーム利用頻度と連動して、無料配車ヒット率を可変にすればいい。使うほど当たりやすくなるのは、ポイントカードが埋まっていく感覚や、お得意様には福引券をプラス数枚プレゼント、といった感覚に近い。


A 広告効果の点に注目すると、キャスト域には注目したい。たとえばタクシーの外観を「どん兵衛」化した場合、町を走る中で不特定多数の人々にPRすることになる。このブロードキャスト要素を少しでもナローキャスティングに近づけていく。タクシー配車プラットフォームの場合、利用者が配車「依頼」した段階で、目的地並びに移動経路を把握できる。清閑な高級住宅街を走行するよりも、「どん兵衛」タクシーにとってより適した経路があることは言うまでもない。配車マッチングの際に、広告効果を上昇させるために、よりベターな経路を通過する配車依頼にマッチングさせることはできる。

 

B 街中を走行していた「どん兵衛」化タクシーを「見た」人が、MOVを使うと割引になる。実際に「どん兵衛」を購入した人へのインセンティブ。系が複雑化するが、広告効果の定量という側面とユーザ数をさらに増やす施策という面では、長期的に検討すべき。


A ブロードキャストを出来るだけナロー化させながら、車内広告や「行先指定」を組み合わせて、ポイントキャスティングに寄せていく工夫を、更に取りたい。車内広告としては、前席背面などに設置されたディスプレイやユーザのスマホそのものを利用でき、登録ユーザ情報や配車依頼内容に適した広告を打つことができる。更に、プラットフォーム側からの提案として、「本日21時までに、戸越銀座に向かうお客様は無料」といったPRもとれる。この場合、広告基本料だけでなく、利用者が戸越銀座で実際に食事や買い物をした結果を受け、そこからマージンを抜くこともできる。


B 無料化するのは非常に簡単であるが、事業収益を上げる原理が不明確の場合、実施すべきでない。急ぎ無料でローンチし、業界をユーザーをひっかきまわし、採算合わずに撤退というのは、甚だ迷惑であ。DeNAの取り組みは、「0円タクシーそのもので利益を出す予定はない」と明言しており、通常MOV側での収益を伸ばすための仕掛けとして、0円タクシーを利用していくと思われる。


A 「あたりクジ」的要素が存分に含まれるため、何%を無料化するか?という経験が強いノウハウになり、この無料率をバリアブル・ダイナミックに変化させ、都度最適化することができてくる。また広告に対する自由度を大きくし、広告に対する費用対効果を上げ続けることで、広告主を安定的に獲得でき、これがユーザ増加・つなぎ止めに影響を及ぼす、正の循環を作ることができる。


/ 18.12.10 JK

「DeNA、健康サポート」から

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三点に注目したい 
 1.「安心してイキイキと送れる健康生活」
 2.「ゆりかごから、ゆりかごまで」
 3. 構想⇒ビジョン⇒主要素・KFS⇒打ち手の順番

関連代表記事 ITメディアニュース 2018年03月20日 17時33分
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1803/20/news107.html
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A DeNA、Yahoo、ジェネシスヘルスケアをメインに、遺伝子検査・解析サービスが展開されてきた。主に、採取した唾液をベースにして、病気などの遺伝的リスクを調べる遺伝子検査であり、350項目近い病気リスクを3万円程で検査できる。これにより、がんや肥満、糖尿病、高血圧…などに対して、遺伝的特徴に見合う方法で予防できるメリットがある(とされる)。


B ヘルスケア関連の消費者ターゲットにした事業が、次々と誕生している。日常の高度を記録し解析できるFitbitのようなデバイスや、スリープテックを駆使し睡眠状態を定量するもの…など。また、健康食や運動なども、次々とブームを呼んでおり、健康生活という固い地盤がますます厚みを増している。消費者の視点に立てば、これらをバラバラに扱うのは面倒でしかない。決して、Fitbitが欲しいわけではなく、MyCode(DeNAの遺伝子検査)で遺伝子解析がしたいのではない。次々と提示される健康法や食品を手当たり次第に試したいわけでも、ない。例えば「気軽に健康を維持したい」わけである。


A 事業により目指す方向はかわるが、私であれば、「安心してイキイキと送れる健康生活」を目指す。即ち、無理なく手軽に適確に健康を維持し、病気になれば悪化する前に的確に低負荷で処置し、無理なくリハビリや再発防止ができる。何も心配はいらない。我慢も最小化する。楽しく健康ライフを続けていく。


B 「安心してイキイキと送れる健康生活」を指針とするのであれば、「遺伝子解析をする/データを提供する」という行為はほぼ無価値といえる。ガンのリスクが平均に比べ10倍です、と言われても、困るだけである。不安になるだけである。「どうすればいいか」…という提案・助言に価値があり、それを自分で選択し「難なく実行できる」ことに価値があり、「どうなったのか」という経過・変化に価値がある。


A 重要になるのは、無数にある健康情報の中で、科学的エビデンスに基づいた情報を利用すること。そして、消費者の「負担」を最小化し、生活の「豊かさ」を最大化する提案を可能にすること。私であれば、いくら遺伝子解析的結果と健康科学エビデンスに基づいていても、「毎食XXを食すこと。塩分量はYY以下。一食にかける時間は…」と制約されたら、食事がつまらなくなり、人生の魅力が低下し、ストレスが溜まる。

 

B 最低でも「どこの飲食店に、全て適う定食があるか」であったり、「全て適うミールキット」にまで繋げるべき。当然、このような制約を制約とも思わない人々もいるわけであり、個人ごとに適した制約状況を設定し、個別最適化することが重要になるのは言うまでもない。

 

A そして、これらを実行することで、「どれだけリスクが減ったか」を把握できるようにすべき。方向性が明確であり、進捗を管理することが、やる気・満足・充足感に重要である。

 

B より長い人生という枠でとらえれば、遺伝子解析というのは「土台」であると言える。そして人間は生きる。生きてきた過程が蓄積していく。よって、定期的な健康診断情報をトレースできるようにする必要がある。遺伝子からみた先天的個性を把握し、生きてきた過程・蓄積を反映した現状を認識することで、より本質的に「注意すべき項目」がわかる。そして、提案の適確性を強め、進捗管理の妥当性を高めるために、日常の行動情報が必用になる。


A 先天的個性・土台を遺伝子解析で、後天性が繁栄される現状を定期健康診断で把握し、本質的な危険を察知する。そして、日常行動記録を利用して原因側を補完し、現地点を明確にし、提案力と進捗管理力を高める。これらの3要素の情報源は、個人に紐づくべきであり、事業者ごとに分断されるべきものではない。1つの個人に紐づく健康プラットフォームとして、管理されるべきである。


B 「安心してイキイキと送れる健康生活」。私であれば、「ゆりかごから、ゆりかごまで」というコンセプトを加える。即ち、妊娠段階からの情報を、1つのアプリで管理・記録し続ける。初めは、親が、子・胎児の検診結果を「子供の健康のためのアプリ」に手入力してもいいだろう。いずれ、エコシステムを広げ各機関と連動させ、オートメーション化すればよい。おなかの中にいる段階から、幼児を通過し、小学生へと大きくなっていく。成長過程で経験する各検診や通院・入院、アレルギー…育った環境などを全て記録していく。子供の自立や成人といったタイミングをみて、親から子へと継承してはどうか。思い出アルバム的な側面ももつため、親子関係さえ良好になる可能性もある。これを使い続け、「安心してイキイキと送れる健康生活」を実現し、自分の子供にも同様のことを行っていく。

 

A 連動・連結させる組織・サービスを増やしながら、面倒くささを限りなく小さくする改良を常に続け、エコシステムを拡大・深耕し、デファクトへと向かう。

 

B 面倒というのは相対的概念であるため、UI/UXを的確に設計するだけでなく、例えば、アルバムであったり子育て日記的なサービスと連動させて「ぼかす」といった戦術も、効果は大きいだろう。

 

A アプリは無償化し、広げ深めるエコシステムからの課金モデルを最適化し、アプリに入力した内容の充実度合いにより消費者にポイント付与するという手もある。無償アプリに健康情報を蓄積する程、ポイントが溜まる状態である。

 

B 消費者調査が非常に重要。無償化アプリでポイントすら付与するのか、あえて有償にすることで「本気度、のめり込み度」を高めるのか。私であれば、極低料金での有償モデルにする。


A このように構想を先に描き、ビジョン化して可視化し、必要なパーツやKFSを見極め戦略化していく。その上で、「まずは、遺伝子解析から」とか、「母子手帳電子化から」といった判断をするのが理想だ。また、どこまで「手を出すか」は重要なデザイン要素である。即ち、自社が担う部分と、他企業等と連結・連携・協力する部分との、切り分け方である。このデザイン1つで競争力・成長速度が大きく変わる。

 

/2018.12.06 JK

「7-11, 完全制御型・野菜工場開設」から

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三点に注目したい 
 1.フードセキュリティ
 2.食糧の未来とマクロ環境
 3.Agri-tech関連のベクトル合わせ

 

関連代表記事 財経新聞 2018年11月29日 12:22
https://www.zaikei.co.jp/article/20181129/480466.html
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A プリマハム子会社のプライムデリカセブンイレブンジャパンが共同で、2019年1月より野菜工場を稼働させる。2020年にはサラダ7万食分のレタスを生産する計画であり、神奈川県相模原市プライムデリカ敷地内に「Sagamihara Vegetable Plant」というセブンイレブン専用工場として稼働し、オペレーションはプライムデリカが担う。

 

B 機械制御であり、供給安定性が向上するとともに、計画生産管理効率が飛躍的に向上していく。また、SPA(speciality store retailer of private label apparel)の食版に近づく行動でもある。


A 植物工場の歴史は古いが、夢が潰えそうになる危機を乗り越え、事業収支をとれるまでに進化してきた。小国ながら農産物の輸出で世界2位のポジションを確立しているオランダは、古くからスマート農業への道を突き進み、植物栽培というフィールドでの生産性を飛躍的に高めてきた。

 

B FAO(Food and Agriculture Organization of the United Nations)*1の2013年調査によると、農産物輸出のトップはアメリカで約16.5兆円。これに次ぐのがオランダであり約10兆円もの輸出を行っている。日本は約3,500憶円(世界60位)である。オランダの国土は九州と同程度であり、人口は1,700万人程度。GDPは約7,800億USD(日本:約43,400憶USD)、農林水産業GDPは約130億USD(日本:約530憶USD)、一人当たりのGDPは約45,800USD(日本:約38,600 USD)*2。オランダが土地面積に対して限りなく多くの農産物を産み、それを輸出できている理由はICTであり、Agritechである。


A 植物工場の場合、完全オート式もあれば、セミマニュアルもある。例えば、完全LED化せずに、自然光をフル活用してLEDを補助的に機能させることもできる。太陽光・熱で発・蓄電し、それを空調や光、水、システム全体の管理に回すこともできる。人の労働を限りなく抑制し、農業という重労働を軽作業へと変貌させる。そして、何より、従来の農作物のKFSを打ち壊すのが、この植物工場という考え方である。即ち、2Dが3Dにシフトする。


B 歴史的に見れば、少量高付加価値の農産物を除けば、大規模生産できるかいなかが勝敗を決める因子になっている。大規模生産により固定費を分配し、単位野菜に係るコストを低下させてきた。ここで制約となっているのは、物理的フィールドであり、今後のアマゾン伐採といった行動を伏せれば、地球上における農地利用可能な土地はほぼ開拓済といってもいいのかと思う。このような制約条件のために、食料自給率の低下であったり、企業体としての調達リスクの増加という状況に直面してきた。このような中で、立体方向(z軸側)を有効活用できるのが植物工場であり、換言すれば無駄になっていた空間の有効活用を可能にする。アイドルエコノミーに属す。


A マクロ環境をみてみる。国連の世界の人口推計(2015改訂版)によると、世界の人口は76億人程度の現在から、2050年には100憶人を突破すると予想されている。2018年時点では55%が都市部に暮らすが、これが2050年には68%にまで高まり、都市局在化が進む*3。

 

B 人口が30%増加する未来に向けて、食糧生産量を+30%にすればいいのかというとそうではない。人々の生活が豊かになり、肉や乳製品などへの嗜好が強まる。当然だが、肉を作るためにはその餌となる穀物必用であり、それを栽培する必要がある。

 

A ミネソタ大の研究によれば、農地作物(農業)が生産するカロリーの36%、作物が生産するたんぱく質の53%が、が家畜に与えられている。そして、作物を乳製品、卵、鶏肉、豚肉、牛肉へと転換する効率(カロリーベース)は、それぞれ40%、22%、12%、10%、3%に過ぎず、非常に非生産的であるとわかっている。これらのことから、現在の「豊かな生活水準の概念」を崩さないとした場合、+30%の人口増に対して+60%を優に超える穀物生産が必用になると言われてる*4、5。


B 既存の方法を延長してみると、土地という物理的制約があり、新しい土地がほぼ存在しない。この状態で収率を上げようとすれば、おのずと、農薬や遺伝子改良等の方向に動くこととなる。このような行動の全てが悪いわけではないが、土地を枯らしたり、蓄積して将来の人体へのダメージを産むという可能性もあるわけであり、安易にとるべき行動ではない。

 

A 更に、よく叫ばれる水不足も農産物生産に強い影響を及ぼす。2016年にScience Advancesに報告された情報では*8、世界人口の約66%(約40億人)が、1年間のうち1カ月以上も適切な真水の供給を得られずに生活しているとのこと。この現象は今後加速していく。2050年に向けて100億人にむかう人口増加に対して、UNESCOの報告による「人口増よりも早いペースで水消費が進んでいる」という現象が相乗することになる*9。グローバルな水不足は、水の獲得競争(戦争)を起こし、「水というもの」だけでなく、バーチャルウォータにもその矛先が向かい、貿易構造を変えると考えられる。

 

B このようなマクロ環境を総体的に捉えれば、フードセキュリティへと視点が向く。植物工場はAgri-Techの一つの形であり、ICTを利用した単位生産性の向上と、無駄であった空間利用という点で魅力的である。植物工場に限らず、ドローン・IR・AI…などを駆使したスマート農業や、FBN(Farmers Business Network)*6のような仕組みも含め、企業のゴーイングコンサーンや持続的社会という観点でのフードセキュリティに大きく貢献する。


A FAOによるとフードセキュリティは次の4要素のどれか1つでもかけた場合に、発現する*7。
  ・Availability (食料の入手可能性)
  ・Access (食料へのアクセス)
  ・Utilization (食料や資源の活用)
  ・Stability (安定性)


B フードセキュリティの危機感をもっている国としては、例えばシンガポールがある。食料の90%以上を輸入に頼る国であるが、干ばつや原油価格高騰の影響、卵とサルモネラ菌問題…などの現実を経験するなかで、自国でのフードセキュリティの積極的対応をとるように舵を切り、スマート農業(ハイテク農業)を推し進めている*10。


A フードセキュリティは日本国として重要な視点である。日本において、植物工場が事業に乗り始め、スマート農業や革新型農産物管理などが始まっている。しかし、それぞれのベクトルはバラバラであり、中小企業者が雨後の竹の子の如く存在する程度である。植物工場検討の中で、所定赤外線による農作物の鮮度維持検討なども進んだ。ドローン・AI・IRなどを組み合わせた、効率的農薬散布も進んだ。非効率なフローであった農業を工業化する取り組みがすすみ、多くの管理システムが生まれてきた。よき技術が散在している。フードセキュリティという観点でビジョンを示し、ロードマップ化させ、有能な企業・個人の力のベクトルを揃えたいところ。いつまでも、植物やバーチャルウォータを輸入できると思っていてはいけない。

 


*1  FAO http://www.fao.org/home/en/
*2 国連統計 www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/economic_development/globalstats/
*3 United Nations 2017 Revision of World Population Prospects https://population.un.org/wpp/
*4 Emily Cassidy et al,Redefining agricultural yields:from tonnes to peaple nourished per Hectare,Environmental Research Letters ,8(2013)
*5 National Geographic 2014年6月号 シリーズ 90億人の食 食を支える未来の養殖
*6 Farmers Business Network https://www.fbn.com/
*7 FAO Food security www.fao.org/state-of-food-security-nutrition/en/
*8 Science advances Four billion people facing severe water scarcity, 12 Feb 2016:
*9 UNESCO World Water Resources at the Beginning of the 21st Century (2003)
*10 植物工場農業ビジネスONLINE http://innoplex.org/archives/34972

 

/18.12.03 JK

「高速炉ASTRID、凍結」から

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三点に注目したい 
 1.本音と建前
 2.READYという牽制力
 3.公言の可能性


関連代表記事 日本経済新聞 2018/11/28 19:01
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3828678028112018000000/
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A 高速炉ASTRIDの凍結は、日本にとっては非常に痛手。表面側はエネルギー政策としての原子炉戦略をパーにするリスクが飛躍的に高まったということであり、裏側としては核準備国としての土台が崩壊する、即ち安全保障的に譲れないリスクが急浮上したということである。2018年6月には、米政府から、「日本が保有するプルトニウムの削減要求」*1があり、非核三原則や核準備国としての安全保障のあり方に、危険信号がともっている。

 

B 2017年3月20日、安倍さんが、(仏)旧オランド大統領とパリで会談し、日仏両政府として原子力分野での共同研究の推進などを柱とする合意文書に署名した。この中で、次世代型原子炉としてフランスに建設予定であった高速実証炉:ASTRIDの実用化に向け、日本もコミットすることとなった*2。この「高速炉」というのは、日本にとっては核燃料サイクルを回転させるためのKFS(Key Factors for Success)であり、「もんじゅ廃炉が決定した状況の当時の日本において、もんじゅ後継炉としてASTRIDに目を付けたものと推察される。

 

A 原子炉周辺や複雑な言葉が多いが、実験炉⇒原型炉⇒実証炉⇒実用炉へと続いていく。またシミュレーションに支えられた業界であり、高度なシミュレーションと実検討を合わせながら、炉としての性能や安全性を追求していく。
  
・実験炉:技術の基礎を確認。新型原子炉の炉建設・開発のためのデータを得る。
・原型炉:発電技術を確立。最終目的が達成できるかどうかを確認する。
・実証炉:経済性を見通す。実用規模での技術実証や経済性の見通しなどを把握。

 


B 日本側としては、核燃料サイクル検討という名目を掲げることが、プルトニウム備蓄の正当性を強くサポートするために必要である。一方のフランスは、実験炉としてラプソディ、原型炉としてフェニックス、実証炉としてスーパーフェニックスを成功させ、それらの技術・ノウハウを保存した実績がある*3。即ち、世界で最も早く高速増殖炉を成功させた国がフランスであり、あえてアストリッドへと手を伸ばす必要性が不明確である。フランスが、東日本大震災の影響を冷静に分析し、高速炉開発や使用済核燃料の再処理に対する日本の自国依存度を高める戦略を、当初よりとっていたのであれば、アッパレ、としか言いようがない。


A 使用済みの核燃料は環境的にも、処理負担的にも、他国依存や責任転嫁という点でも、問題が大きい。そこで、使用済み核燃料からプルトニウムを抽出し、これを循環させる核燃料サイクルを、日本国として推進してきている。この循環が生まれれば日本はボトルネックの1つでもあるエネルギー問題から解放される。この大義を実現させるために、高速増殖炉プルサーマルの開発に多額の国費と時間を費やしてきている。なお、プルサーマルは、使用済燃料を再処理して取り出したプルトニウムとウランを混ぜた燃料(MOX燃料)を、現在の原発軽水炉)で使う方法のことであり、「プル」トニウムを「サーマル」リアクターで利用することから命名された和製英語である*4。


B 表向きの大義としてエネルギー問題を挙げられるのは重要。裏側にあるのが、高速増殖炉プルサーマルで使うことになるプルトニウム。これを転用することで、数か月で核武装を可能にしていく。力によるけん制効果は、実物不在であっても発現する。いつでも「核武装できまっせ」というREADY状態をとるのは強烈なけん制効果を持つ。特に、日本の戦時的「狂気」は有名であり、日本的狂気と核武装の両方を同時に背負う状態は、どの国も許容不可能なリスクであろう。


A 原子炉由来のプルトニウムを、核兵器に転用できるのかどうか。日本のプルトニウム保有量は次の通り*5であり、時系列的にイギリス・フランスに大きく依存している。
  ・合計 47t
   ・内国内 10.5t
   ・内英国 21t
   ・内仏  15.5t


B 核爆弾の場合、未発では済まされない。所望の殺傷規模を確実に発現する必要があり、高い信頼性が必用である。この場合、プルトニウムとしてはPu239が主に利用される。しかし、軽水炉原発で生成するプルトニウムについては、Pu240等の高次同位体が相対的に増加し、Pu239が~60%と減少する。このような同位体については、自発核分裂半減期が奇数番のそれより極端に大きく、Fizzle収率を低下させ、原爆の核分裂が不完全になるとされる*6。


A 科学的見地に立てば、使用済み燃料から抽出されたプルトニウムから核爆弾という実弾への展開は不可能であり、常識ともいわれる。この見解自体が妥当なのかどうかは考える余地がある。即ち、仮に「核爆弾への転用可能」という状況であった場合でも、それを公言することはまずない。原発推進派の立場に立てば、仮に転用可能であっても、「転用不可能」と主張するのが理に適っている。即ち、事実はどうであれ、表面上に浮上する情報としては、日本のプルトニウムはエネルギー政策の中で再処理権を活用し、核燃料サイクルを回転させるという明快で意義ある目的のために存在している、となる。


B 日本には大手はもとより秀でた技術を有する中小企業も存在する。プルトニウムのスペックが悪くとも、殺傷能力を落とした状態であれば、核武装可能ではないか。また、スパコンなどの大規模高速計算も可能であり、モノづくり(核武装)のデザインの大半を精緻なsimulationに委ねることもできる。デザインのしっかりした設計図があれば、作る部分は問題はない。いつでも核武装可能であるという準備状態にしておくことは、強力な軍事的牽制力になる。一方、建前として日本の現状では、それを公言できないのも事実である。


A 作らない。持たない。持ち込まない。とはよく言ったものである。原子力潜水艦を筆頭に、契約規定上は持ち込まれていないと主張するが、そこにメスをいれることは絶対にできない。持ち込まれているだろう。持たず作らずとも、いつでも作ることができれば、これは解消する。そのためには、原料を保持する必要がある。武装以外の名目でプルトニウム保有する必要があり、見事な理由として核燃料サイクルという国家的エネルギー政策を貼り付けている。このようなストーリを仮定すれば、核サイクルの要となっているASTRIDが凍結されるのは、国家的軍事戦略の危機を招くこととなる。

 

B 日産・ルノーの件に国が首を突っ込み、日産経営陣のおくびを差し出すなど愚の骨頂であるが、日本には東芝周辺での実績がある。軍事戦略の重要要素をフランスに人質にとられたと仮定すると、日本政府は慌てふためき、嘗ての愚行を日産に当てはめるかもしれない。

 

 

*1 日本経済新聞 2018/6/10 2:00 米、プルトニウム削減を日本に要求
  https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31583890Z00C18A6MM8000/
*2 核情報 高速炉希望の星、仏高速炉ASTRID http://kakujoho.net/npp/ASTRID.html
*3 RIST(高度情報科学技術研究機構) 高速増殖炉スーパーフェニックスの即時閉鎖
www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=14-05-02-12
*4 日本原子力発電会社 www.japc.co.jp/index.html
*5 核情報 日本のプルトニウム保有量 
  http://www.kakujoho.net/ndata/pu_jp.html
*6 The Radiance of France: Nuclear Power and National Identity after World War II

 

「逆イールド、破滅の前兆」から

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三点に注目したい
 1.相場は心。群集心理のコントロール
 2.ロジカルな判断と心情的判断の関係
 3.現実的想像は、現実として創造される。

関連代表記事 Bloomberg 2018年12月5日 11:52 JST https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-05/PJ8PAU6KLVR801
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A 2018年12月03日、米金融市場において、3年債と5年債の利回り格差、即ちスプレッドがマイナスに転じた。「逆イールド」生成である。


B 金融に疎い人でも、「逆イールド」がおかしいということは理解できると思う。単純に言えば、短期金利長期金利よりも高くなった状態である。


A 時間差、という概念は重要である。或いは、バッファーでもいい。即ち、入出力間にタイムラグが発生する。例えば、重要な政策目標にインフレ率・雇用安定化があるが、これらは景気の変化に対して感度が鈍く、時間をおいてから変化を始める。ここで起きることは、金融政策としての打ち手が後手に回るということである。


B 好景気時に金融引き締め策をとったとしても、その効果は、遅延して現れる。よって、心情的に理解しやすいが、過度な引き締めを行ってしまうことがある。これが逆イールドカーブを産む。

 

A FRB(Federal Reserve Board, 連邦準備制度理事会)は、政策金利としてFF(フェデラルファンド金利を採用している。FF金利短期金利指標であり、短期金利政策金利に収斂する。一方、長期金利を形成する基本因子は、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)にある。つまり、ファンダメンタルズを上回るような利上げにより、逆イールドが生成してくる。

 

B 将来的に景気が悪化するから、長期金利が上がらない。このような解釈も成立する。


A 一般論として、国債利回は、国債価格と反対に動く。価格が上がれば、利回りは低下する。そして一般的に、「未来は明るいぜ!」という未来景気に楽観的な投資家が増えると、長期国債を売却して株式を買う傾向が強まるため、長期国債の利回りが上昇してくると考えられる。短期金利が一定であれば、イールドカーブの勾配が大きくなっていく。


B 逆もまた然り。「いや、もう無理でしょ。」と景気先行に悲壮感を抱く投資家が増えると、株式を売却し長期国債を買う傾向が強まるため、長期国債の利回りが低下すると考えらる。短期金利一定であれば、イールドカーブがフラット化していく。


A 歴史的にみると、逆イールドを、バブル崩壊のサインとして読みたくなる気持ちもわかる。グローバルな上昇相場が急転換した1980年、1990年、2000年、2007年について、アメリカの逆イールドという状況が共通しており、FRBの利上げが存在している。


B 解釈として、銀行からみた貸出利鞘が長期・短期の間で縮小するために、貸出が抑制されるとも考えられるが、あくまでも1解釈でり、理論的根拠には乏しい。


A また、逆イールド現象については多くの議論が重ねられているが、FRBから2018年6月に(Don’t Fear) The Yield Curve*1というレポートが発行されている。これによれば、長短金利差に複数のノイズが盛り込まれ、縮小しやすくなっているという。ノイズは、市場参加者心理で決定される中立金利の低下、 長期インフレ期待の低下、タームプレミアム(FRBの金融政策に由 来)の低下である。即ち、景気の先行予想が困難になっており、イールドカーブと景気の関連性について、信憑性や精度が下がっているという。


B 過去の傾向がそのまま当てはまるほど単純ではないが、相場は心、であることを考えると危険信号が灯っていることは否めない。即ち、イールドカーブの逆転劇自体は原因ではなく、それは群集心理のベクトルを合わせるトリガーとして機能する。直接的に景気後退を引き起こすのは、群集心理(群としての主観的事実)であり、逆イールド生成により景気後退懸念が喚起されることが、現実の景気後退を呼び起こすと解釈する。


A 注意したいのは、「過去の傾向」が強く広く繰り返し主張されるほど、それが心理的に蓄積され、少しの変動に対しても敏感になってしまうということ。そして、群としての潮流は、人の数ではなく、そこで動くMONEYの量に多分に依存しているということ。


B 「いつまでも好景気は続かない」というのは、ほぼ常識として人々の頭に刷り込まれている。よって、上昇相場が長引くほどに、「そろそろ…」という警戒感が産まれてくる。最近の株価不安定な状況やIT企業を筆頭にした業績不振は、警戒感を高めてきた。


A 2018年12月04日には、逆イールドを起点にして、株式の強制アンダーウェイトという流れが生成され、売注文が急激に膨らむことで、米株急落を招いた。重要なことは、この現象がプログラミング的流れを汲んだものであっても、「逆イールド発生により株価が下落した」という事実に多くの人々が直面し、逆イールドと景気後退という関係性を強く意識し、本格的な景気後退へと自ら(群衆として)突き進んでいく可能性が高まったということである。


A 換言すると、「逆イールドは破滅の前兆」と騒げば騒ぐほど、破滅が現実化する確率が高まっていくことになる。現実的に想像したことが、現実として創造されることになる。


B アメリカと中国の関係に代表されるイザコザに明るい見通しが立つだけで、「逆イールドは破滅の前兆」と騒いだのが恥ずかしくなるような未来が有望になる可能性も高い。現在のアメリカの金融的指標(強い成長、インフレ率、失業率など)が全て良好であることをベースに、逆イールド現象は1つのリスク因にすぎず、マークすべき指標の1つに過ぎないと考え、市場を注視するのが無難である。


A 相場に限らないが、合理的かどうか、理論的かどうか、科学的かどうか・・・とは別に、「群集心理の動き」に作用する主要因子をマークしておくことが、非常に重要である。当然、利用することもできる。

 

 

*1 FEDs NOTE June 28, 2018  (Don't Fear) The Yield Curve    https://www.federalreserve.gov/econres/notes/feds-notes/dont-fear-the-yield-curve-20180628.htm

 

/2018.12.06 JK

「地球温暖化、米で影響拡大」から

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三点に注目したい 
 1.人間としての価値基準の再設定
 2.GDP追求という宗教的側面
 3.概念導入、による市場創出


関連代表記事 日本経済新聞 2018/11/30 朝刊
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO38359340Z21C18A1TJ1000/
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A 反環境路線のトランプさんであるが、米政府公式報告書に該当するNational Climate Assessment(NCA4)*1を全否定するとは思わなかった。トランプさんのバックにいる石炭・石油軍勢との関係性など、調べ考えたくなることは多いが、環境問題そのものについて、その良し悪しや意義を探ってみたくもなる。


B NCA4は、米連邦政府の下に設置された地球変動研究プログラム(USGCRP)による報告書であり、USGCRPによる気候変動に対する政策提言が盛り込まれている*1。1,500ページを超えるものでるが、読む価値ある文献である。今回のNCA4の特徴は、環境状態の指摘に留まらず、気候変動による経済的実害について触れていることにある。ヒートウェーブや海水面の上昇により、どの程度の経済損失が生じるかを、定量的に多くの人にとってわかりやすく予測している。


A 地球環境にはマクロな異変が起きており、異常と「主観的に感じる」天候等との整合も実感するため、環境にやさしいアクションを起こすのが現代社会的な基本路線とされているだろう。NCA4のレポートにおいても、気候変動が社会に及ぼす影響と経済に与える影響を、次のように指摘している。

 ◆新しいリスクが発生する。(全米)コミュニティをさらに脆弱にする。健康、安全、生活の質、経済成長率に関する課題を増幅させる


 ◆(米国の)インフラと不動産に対する損失を拡大する原因となり、今世紀の経済成長率を下げることになる

 


B 考えたいのは、環境問題に対して語られる地球温暖化といった情報の真実度合である。どちら路線を支援するどうのこうのではなく、一般に流布している情報の真実度合をまず確認する必要がある。また、そもそも、なぜ環境問題という方向性が発生したのか、というその起源や原因についても模索する価値がある。これらをクリアにすることで、本当の、自身の見解を有すことができる。


A 地球温暖化を事実として、これを支援する言論は非常に多いので割愛する。一方、モノゴトはバランスされるので、反対意見があるのも事実である。例えば、「地球温暖化は起こっていない。現在は氷河期の間氷期に相当。100年間での自然温度上昇0.3℃の中に、CO2増加由来とされる0.2℃が包含される。IPCCでは気温上がっている部分を観測。」といった意見もある。取得するデータのボリュームや、現象を説明するデータ群数などを踏まえると、人間による温暖化は事実であると捉えるのが、基本的には優勢になる。部分的なファクトを持ってきてそれで全体を説明するのは、むしろ非科学的であり、温暖化は問題ない(そんなものはない)派は、この点で、ロジックに破たんを起こしているのが現状だろう。


B 温暖化懐疑論が、メディア的にであったり予算的に制限されてきた可能性は否めない。温暖化懐疑論者を排除するような風潮が存在したり、研究資金を得ずらい状況が存在しているのは事実だろう。現状ではESG投資といった流れも存在し、企業活動としても、「地球環境等に優しい方が妥当」という状況である。しかし、ネットが普及した現在において、今後、懐疑論が表面に浮上してくる頻度はあがる。ロジックの信憑性を欠如させているパーツを、デジタルネットワークを通じて群で解消する流れがでてきても、おかしくはない。


A 一方、何もない場所に「環境問題」という概念を立ち上げることで何が起こるか。言うまでもないが、巨大な市場創出であり、経済成長である。この場合、「人間活動の環境への悪さ」の真実性は関係なく、群として人々が信じやすいことが重要となる。群としての主観的事実が形成されることで、新しいマーケットが創出され、経済活動が活発になり、国は成長できる。CO2が増えると…といった指摘は本当か? なぜ、本当だと信じられるのか?


B 温暖化を問題にし地球にも社会にも優しくという主張を繰り出す派閥と、温暖化は問題なく経済活動を続けるべきという派閥がある。もちろん、温暖化は問題ないがもっと自然に寄り添おうといったセグメントも存在する。現在の世界において、このような論争が起こってしまうのは、中心軸にGDPといった経済成長があるためだろう。人間の活動を行う際に、何が真実であり、何を目指すべきなのか。GDPというのは、言うまでもなく虚構的産物であるが、これが1つのグローバルな宗教的機能を果たしているのも、また事実であろう。


A 気候変動や温暖化論争というのを、切り口を変えて、「今後、我々は何を重視すべきか」という議題にかえる意義は非常に大きい。重視すべき事項(価値観)が変化しているのは事実であり、GenerationZとった新しい世代感覚が生まれたり、従来世代であっても気候問題等を背景にESG面を追求する割合が増えている。その地域の物質的・サービス的豊かさが高まることで、満足が飽和し、満足獲得競争に突入する。途中で成長をとめた幸福追求への欲求が、時代的に見直され始めているのだろう。


B テクノロジーの量子的変化と哲学的議論はワンセットである。現在は、デジタル革命期であり、ここにAIが加わっている。人間とは何か?人間のいきつく先は何か?…このような議論と同時に、テクノロジードライブを前提とし、私たちは今後どのような価値基準を重視すべきか、といった議論を重ねる必要がある。それがGDPから変化しないのであればそれでよいし、新しい価値基準を設定できるのであれば、それに沿い、社会活動を見直せばよい。一本の筋。このような軸を再定義するフェーズにあり、この軸があれば、そこに一貫性が生まれてくる。


A 環境問題(議論)というのは、環境変化・生活ステージの変化・技術変化・・・・を受けた人間の意識変革に基づく議論の一部であると捉えることが出来る。現状の平均レベルは、環境貢献の募金を少し行いゴミを分別して満足し、暖房の聞いた部屋でぬくぬくとチキンとシャンパンを楽しみスマートスピーカで快適な生活を送る一方、ブラジルでは1年間でサッカーコート100万面分の森林が伐採*2されている、といった状況だろう。


*1 FOURTH NATIONAL CLIMATE ASSESSMENT
https://nca2018.globalchange.gov/chapter/front-matter-about/
https://nca2018.globalchange.gov/downloads/


*2 Greenpeace https://www.greenpeace.org/international/story/18478/forest-destroying-products-and-producers-times-up/

 

「ダイナミックプライシング、AI活躍」から

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三点に注目したい 
 1.長期的不利益
 2.ダイナミックプライシング×守るべき事項
 3.バリアブルプライシング×ポイントキャスティング


関連代表記事 日本経済新聞 2018/11/30 朝刊
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO38359340Z21C18A1TJ1000/
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A ダイナミックプライシングは重要な技術であり、その裾野は非常に大きい。特に「ダイナミックプライシング×ポイントキャスティング」にまで踏み込むことで、その効力は一層増す。

 

B 「高くても納得のいく価格」といったように、価格の「上側」を意識する記事も多いが、本質的には「固定費に対する限界利益の貢献度」を最大化する仕組である。

 

A 例えば、風情ある旅館を利用した際、「空き部屋が多い」と実感することは多々ある。それはそれで客側からしてみれば贅沢であるが、経営として考えれば、部屋が遊んでいる状態であり、非生産極まりない状況である。伝統的な旅行サイトなどの契約方式をいれこむと、価格をフレキシブルに変動させることは困難となるが、ゼロベースで眺めれば、バリアブルプライシング化しても何ら問題はないし、むしろ「得」である。


B Airbnbの秀逸な点の1つはこのバリアブルプライシング(スマートプライシング)の部分にある。誰も利用せずに固定費が遊ぶのであれば、値を下げて利用者を募る方が良い。ただし重要なことは、「低価格の印象」が根付くというデメリットへの対処である。


A ダイナミックプライシングにおいては「需要と供給のマッチング(バランス取り)」を中央に置く。そして用途により、それこそフレキシブルに、プライシング変更の仕方をデザインすることが重要である。例えば、一泊25,000円で回転率55%の宿があり、しっかりと利益もだし、ブランディングもできているとする。この時に、単に需給バランスをとろうとして価格を下げ公開していくと、回転率残余分の45%が割安な印象を植え付けることとなり、通常の値段での利用者が減っていく可能性がある。表現を変えると、短期利益最大化と長期的・継続的な利益最大化は大きく異なり、安直にバリアブルプライシングを発動すると、長期的不利益を被る可能性がある。


B 用途により最適化するのは本当に重要。宿の例であれば、25,000円/泊の通常価格から下げるときに、ポイントキャスティングとかナローキャスティングと合わせるといい。即ち、過去に3度以上利用していただい方限定で情報を流すとか、所定サイトの有料会員向けの特別情報として設定するとか。或いは、20時になっても空いているのであれば、周囲10kmにいる旅行者向けに情報を発信してもいい。価格が度々下がるという印象が確立することを防止したり、不適切な客層が増えブランド毀損するリスクを下げる…など、事業によって、守るべきコントロールすべき重要因子が存在する。


A 価格をフレキシブルに変えるのであれば、達成したい目的をまず明確にしないといけない。単に変動価格にするだけでは、例えばブランド毀損を招くかもしれない。守りたい部分とダイナミックプライシング化で達成したい事項を考え、全体像をデザインし、更に別の仕組みを付加していくのが理想。これにより、長期的で継続的な利益最大化への道が拓ける。


B スポーツのチケット、飛行機、電車、タクシー、ホテルやアミューズメントパーク、飲食店…バリアブル・ダイナミックプライシングを利用できる分野は非常に多い。これら以外にも、EVで到来するシェアリングカーの世界、スマホセントリックな世界、超電動化社会においては、ダイナミックプライシングの考え方がきわめて重要になる。即ち、配車、宅配、シェアリング、受給電、分散協調型エネルギー管理、バーチャルパワープラント…などの側面で重要になる。