「五島産業汽船、運航取りやめ」から
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三点に注目したい。
1.地域の本質的価値の切り口
2.感情と論理の分離と、感情の加え方
3.社会に対する貢献・責務
関連代表記事 毎日新聞2018年10月3日https://mainichi.jp/articles/20181003/k00/00e/040/202000c
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A 地域の交通インフラは汽船や地方鉄道など、事業と社会との向き合い方が深い。単に採算悪化したからやめます、では済まない。初期投資の大きさやルール制約などから新規参入が経済学的にも難しい業界であり、辞めるのであれば、十分なリードタイムを持った告知と代替業者へのバトンタッチなど、事業社として地域インフラ提供社として、その責務を見つめた態度をとるべき。
B 汽船もそうだし、地方路線も、人口がどんどん減っていく中で、単なる交通インフラとしての事業を考えては、まず、無理。地方鉄道復活劇など騒がれることもあるが、大事なことは、地域という大きなエコシステムとしての繁栄をどうするか、という構想を持っていること。
A 地方創生に目をむけると、どこもかしこも、似たようなことを並べている。ターゲットが絞り切れておらず、何でも屋を目標に掲げる地方自治体・地域が多いのが問題。言い換えれば、本当のその地域の価値、を見いだせていない苦肉の策とも言える。
B 確かに、インバウンドは強烈だけど、単に観光!と叫んでも、何も始まらない。焦点のずれた活動がバラバラに行われるだけであり、その効果は見込めない。その地域としての観光をどう定義するかを明確にするのが先。
A 例えば、優れた観光名所の多い長野であれば、鉄道というインフラを中心に、各観光名所を跨いだサービスを、その地域一帯で提供していくとかは、面白い。あるいは、地方特産・伝統産業として味噌が有名である地域であれば、各駅ごとにテーマの異なる味噌系料理を集積させるという手もある。その地域周辺に優れたる食材があればなお、フィットする。あるいは、がけや谷合を走る路線であれば、その臨場感を最大にするために、柵や透明化を利用するという手もある。もちろん、目的地が魅力的でないと日帰りで終わってしまうが。
B その地域に住む住人としては、合理性より感情面が前にでることがおおい。地域の鉄道だから守ろう!などと声高にさけぶが、本当に必要であるなら、「利用する」のが一番の守る活動になる。自分がたいして利用しないのに、1企業の経営にダメージを与える鉄道を「守れ(守ろう)」というのは、無責任。利用する価値がないから、今にいたっていることを忘れてはいけない。
A 大事なことは合理的に論理的に「なぜ、今の状態なのか」を考えること。本質的な問題を見極め、本質的な課題をだす。ここに感情は不要である。その上で、土地の感情といった側面に目を向けていく必要がある。つまり、実行できるか否かは論理だけでは決まらない。
B 実行への心情は組織運営には特に重要。また、別の確度では、採る策が人の心情に影響を与え、思わぬ方向に結果動くということもある。例えば廃線という決断が、住民の心に影響したり、駅舎というプラットフォームが消えることで、コミュニケーションがへり、町がドンドン暗くなるという未来だってある。
A 1事業社のビジネスでありながら、地域の色にも影響するインフラ事業である。