JK_Tomorrow-Maker’s blog

ビジネスや経済などのニュースや日常の気づきを出発点に、「科学(技術)、心(アート)、モノ(サービス)、デザイン」という4象限を操りながら、自由に発想していきます。発想や着眼の手助けや、思考の自由度拡大の糧になれば、何よりです。

「デンマーク 疑惑の26兆円」から

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三点に注目したい。
 1.マネロンを排除すべき理由
 2.超監視社会
 3.シームレスな国境化

関連代表記事 日本経済新聞 2018/10/12付
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO36396930R11C18A0EA1000/
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A マネロンの話題は尽きず、グローバルな対策の仕組が必用になるが、「国を跨ぐ」という界面に対して、現在の世界の仕組にはまだまだ脆弱箇所が多い。サイバー環境が整い、物理的距離が不問になっているこの世界で、国境という概念が時代に取り残され始めている。

 

B マネロンの規模は世界GDPの2~5%とも言われ、AML(Anti Money Laundering )ソフトはCAGR11% ('17to'21) 超で成長すると予想されている*1。

 

A  アンチマネロンの動きは、2000年の初頭頃より世界的に強化されてきている。日本では、Financial Action Task Force*2(FATF)の2008年の低い評価に刺激され、政府・金融機関がマネロン対応を急いだ経緯がある。そして、2019年のFATFの第四次対日相互審査に向けて、マネロン・テロ資金供与対策に関するガイドライン*3が公表された。

 

B  テロや反社会組織の使える資金源化としてのマネロンだけでなく、富裕層の税金逃れマネロンの流れも近年では目立っている。マネロン対策先進国であるEU周辺でも動きは活発であり、2020年からはMLD5*4がスタートする。

 

A マネロンの手口はそれこそ無数に存在するが、3ステップ型で進行するケースが有力と思われる。即ち、①違法性ある資金を金融機関に投入するフェーズ、②資金源を暈すべく、金融機関等を渡り歩くフェーズ、③合法資金として取り出し利用するフェーズ。国と人を跨ぎ、モノを介しながら、違法資金を合法資金に精製していく作業である。

 

B 整理して記載すれば非常にシンプルだが、これを見破るには、精彩で注意力のある目線が必要になる。システムがICT化されていっても、全ての資金をトレースするわけにはいかないのが現状。このような観点に立つと、電子化(キャッシュレス化)を進める圧力がかかるのは自然と感じられる。

 

A テロ対策なども引き合いにだしながら、そこにだけ光をあてて、キャッシュ、ひいては国民のデジタル管理へと進んでいく。安全な世界であったり、国家的コスト削減であったり、必用そうにみえる未来を提示してくことになる。

 

B そこで起きるのは、超のつく監視社会の出来上がりである。中国では本格的なカメラ的監視社会が拓かれ始めている。セサミクレジットのように個人への信用付与による行動制御も可能になってきている。キャッシュレスの利点は多いのだが、反面、自分の財布が筒抜けになるという事実があることは、忘れてはいけない。

 

A 一方、マネロンをビジネスとして進めているプレイヤー側の視点に立てば、従来構築してきたナレッジであったり完全黙秘という信頼性を支える原理が、変化する時代であるともいえる。現業(現市場・現製品)から最大限の利益を吸い取るのが基本であり、この視点に立ち、KFSの1つである信頼性基盤を改めて作り込むことは必要。その上で、テクノロジー進化の流れを汲みながら、次世代版マネロンの仕組みを構築しにいくべき。

 

B このような動きがでるのは必然であり、その隙間を産む強い要素の1つが、国際協調の隙間であることは言うに及ばない。そこにあるキャッシュの歴史を閲覧可能にするのが理想形か。この場合、改竄不能な仕組がKFSになってくるし、改竄可能な隙間があれば、そこが高額な価値を持つことになる。

 

*1 金融庁  https://www.fsa.go.jp/p_fsa/fiu/fiuj/fm001.html

  Global Anti-Money Laundering Software Market 2017-2023
https://www.researchandmarkets.com/reports/4413483/global-anti-money-laundering-software-market-2017


*2 Financial Action Task Force http://www.fatf-gafi.org/


*3 金融庁 マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン
  https://www.fsa.go.jp/news/30/20180206/besshi1.pdf
  
*4 HoganLovels MLD5 https://www.hoganlovells.com/en/blogs/fision/mld5-strengthening-the-fight-against-money-laundering-and-terrorist-financing