JK_Tomorrow-Maker’s blog

ビジネスや経済などのニュースや日常の気づきを出発点に、「科学(技術)、心(アート)、モノ(サービス)、デザイン」という4象限を操りながら、自由に発想していきます。発想や着眼の手助けや、思考の自由度拡大の糧になれば、何よりです。

「コムキャスト、スカイ買収」から

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三点に注目したい。
 1.コンテンツ戦争
 2.メディアコングロマリット
 3.ストリーミングの島化

関連代表記事 日本経済新聞 2018/9/23 4:07
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35684680T20C18A9000000/

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A メディアのグローバルなコングロマリット化が進んでおり、VODのような新しい形態とテクノロジーがその中核に居座っている。

 

B コムキャストとディズニーはフォックス買収に対して、激戦を繰り広げてきた。コムキャストがフォックス買収戦から降り、スカイにターゲットを絞りリソースを集中配分したのは利口な選択であると思う。コムキャスト視点では、米のケーブルテレビ契約数が落ちNetflixのような新形態の契約者数が急増している環境と、大きな課題として位置づけられるグローバル化がある。欧州2,300万人という基盤をスカイ買収で一気に獲得し、両方の問題に対処できる。ここで話をややこしくしていたのが、スカイ株。

 

A ディズニーが買収するフォックスが、スカイ株の39%を持っている状況であり、この39%と映画事業をセットでディズニーに売却していく予定。コムキャストのスカイ買収につき、このフォックス(ディズニー)陣営の所有するスカイ株が焦点になってきている*1。なお、21ST CENTURY FOXによれば、フォックスの売上/償却前利益は、ネット配信事業179.5億ドル/61.7憶ドル、映画事業87.5憶ドル/9.6億ドル、テレビ事業51.6憶ドル/3.6億ドルである。

 

B この買収合戦を別の角度からみると、Huluが中核にいる*1。Huluの株主構成は大きく、ディズニー:フォックス:コムキャスト=30:30:30である。残り10%はAT&T。ディズニーのフックス買収はHuluの支配権獲得戦争の意味合いも大きかった。

 

A デジタル化の影響が非常に大きい。ストリーミングであり、VODであり。KFSとなるのは、良質なコンテンツ量、ユーザ数、配信環境であろう。Netflixの急成長が続く中で、ディズニーとフォックスが融合するというのは非常に興味深い。そして、コムキャストにスカイが取り込まれる。AT&T×TimeWarner連合もいる*1。このようなメディアコングロマリットはまだまだ進む。1から新規コンテンツを創るのは非常に重い。評判と知名度の高いコンテンツを使用しそれを利用できるのは、相対優位性のある状態である。逆に蓄積してきたコンテンツの利用方法、ブランド、思考形態は相対的に新興勢に優位性を与える。

 

B 再統合というか巨人の出現が進む中で、ストリーミングサービスの島化が進んでいくことになる。つまり、消費者は場合によっては複数のストリーミングサービスに加入しなければならない。ディズニー・フォックス連合で考えてみれば、シンプソンズX-MENデッドプールNational Geographic Channel或いはスター・ウォーズなどは、実質上Netflixなどでは閲覧不可能になっていく。このような島は、それぞれが特色ある魅力コンテンツを抑えることで成立する。

 

A 忘れてはいけないのは、消費者の欲求。どう考えても、複数サービスに入るのは億劫ではないか?

 

B 全てのコンテンツを集約したアグリゲータが出てくるとは考えにくい。買収合戦で3つ程度にまで企業が集約化されるとして、その先は分断状態を維持すると考えるのが自然。しかし、ここで全サービスを扱える企業がでてくると、爆発的に普及する可能性がある。チャレンジングだが、望なしとして切り捨てるにはもったいない。第三者の立場でしか実現しえない価値提供の方法、課金点の配置の仕方、そして消費者が本当に求めていること。追求し続ける価値はあろう。 

 

*1 Recode, Here’s who owns everything in Big Media today
https://www.recode.net/2018/1/23/16905844/media-landscape-verizon-amazon-comcast-disney-fox-relationships-chart