JK_Tomorrow-Maker’s blog

ビジネスや経済などのニュースや日常の気づきを出発点に、「科学(技術)、心(アート)、モノ(サービス)、デザイン」という4象限を操りながら、自由に発想していきます。発想や着眼の手助けや、思考の自由度拡大の糧になれば、何よりです。

「KDDI・楽天、提携」から

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三点に注目したい 
 1. メディアコングロマリット
 2.インターフェースデバイス
 3.スマホの向こう側


関連代表記事 REUTERS 2018年11月9日 / 19:41
https://jp.reuters.com/article/italy-budget-di-maio-idJPKCN1NE163
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A 今後の世界がより一層の「動画世界」になると考えると、格安スマホから大手キャリアへの回帰が起こるのは、自然。つまり、「(お金を落とす人々である)資金源」を抑え、それをEC等に誘導するというのは綺麗である。国策での(増税に伴い減ると予想される消費に対する)消費喚起という側面での楽天KDDI提携というのは、楽天からしてみれば手段でしかなく、外部パワーを巧みに操った事例とも言える。


B スマホというのはインターエースでしかない。一般化していくと、モノ(Product)というのは消費者効用を引き出すインターフェースデバイスであり、効用を引き出すに最適な形態やUI等をしている必用がある。


A 5Gの世界に向けてメディアコングロマリット化が進んでいる。諸外国では業界統合・再編が進み、巨大なメディアコングロマリットが誕生している。日本において、大手キャリアという視野狭窄での戦いになれば、世界から直ぐに取り残されてします。大手キャリアが増える・スマホ料が安くなるといった表面情報とは別に、次世代を支配するメディアコングロマリット戦争が開戦している状況であり、楽天も、当然ここでの覇権を狙う必要がでてくる。


B 例えば、NETメディアとしては、Facebook, Amazon, Netflix, Googleなどが存在。これに対して、通信キャリアAT&TがオールドメディアのTime Warnerを買収したり、通信キャリアのVerizonがWalt Disney、21FoxCentury、Comcast、CBSCorpなどに統合を打診していた経緯がある。国内でもVODが急激に普及するなど、従来メディアのあり方が大きく変わってきている。伝統的に電波利権を支配していた地上波という構造が破壊され、徐々に、コングロマリット化されていくのだろう。


A  構成要素は大きく4つある。

  1.コンテンツであり、音楽・映画・ドラマ・ゲーム・・など

  2.伝える手段。地上波(+CATV、衛星)+ FTTHなどの通信網

  3.プラットフォーム。

  4.インターフェースデバイススマホ経済圏、PCやタブレット、TV…等


B 消費者が価値を覚えるのは、「1.コンテンツの内容・充実度」、「2.伝達手段のスムーズさとどこでも繋がること」、「3.プラットフォームとしての安全性と充実度」、そして「インターフェースデバイスとしての使い勝手」といった要素である。例えば、楽天MVNOのみをやっていたとした場合、5G世界を考えれば、楽天経済圏としての魅力があるだけであり、メディアコングロマリット体としてはほぼ無価値であるとわかる。KDDIはというと、経済圏の拡充は進めてきているが、国内競合(NTT, Softbank)と比べればあまりに脆弱であり、心もとないとわかる。


A 楽天が第4キャリアに参入するのは、楽天経済圏とスマホエコノミーをダイレクトに接続し、大きなメディアコングロマリット体として勝負するため。通信インフラそのものは、巨額投資が必要なインフラであるが、それ自体はプラスαの価値を生む要素というより、戦う前提の土俵といった位置づけである。インフラを持っているのは前提であり、それでの差別性は困難である。今後の差別性・競争力の源泉は、スマホというデバイスと通信インフラという伝送手段を介して消費者が享受できる総サービスである。


B 通信インフラも遅過ぎたら話にならないが、ある一定スペックを超えると、消費者にとってはどうでもよくなる。確かに、戦う土俵に上がるといった側面が強い。試合へのエントリー代金とも解釈できる。今後の5G世界での差別性を考えると、楽天としては、楽天経済圏(EC,クレカ、銀行、ポイント、各種サービス)をより深耕させるとともに、コンテンツ要素をより充実がさせる必要性がでてくる。稼ぐ原理をスマホの向こう側として設定できるため、スマホ契約単価減や割引・ポイント還元も全く問題ない。スマホの向こう側に対する付加価値が将来利益を決定するため、通信インフラ面などは最低限をキッチリとクリアし可能な限り抑制しながら、サービス要素を充実化させる投資を行う必要がある。サービスが充実化するほど、例えば、月額会費前払によりCCC減少などもできてくる。


A 不調のフジメディアホールディングスなどと連結させるのも、戦略としては面白い。IT企業アレルギーのありそうな企業だが、いまのままでは消滅はほぼ確実であり、生まれ変わる必要がある。三木谷さんの、しっかりとしたロビー活動などは、このようなオールドメディアとの統合もうまくドライブできる要素と思われる。キャリア戦争は、スマホの価格といった小さな話題ではなく、将来のメディアコングロマリット覇権戦争の一面であるという思考は、重要。