JK_Tomorrow-Maker’s blog

ビジネスや経済などのニュースや日常の気づきを出発点に、「科学(技術)、心(アート)、モノ(サービス)、デザイン」という4象限を操りながら、自由に発想していきます。発想や着眼の手助けや、思考の自由度拡大の糧になれば、何よりです。

「パスタ屋でのトラブル」から

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3点に注目したい。
 1.トラブルこそチャンスに転換すべき
 2.マニュアルは自由度をあげるために存在する
 3.創造性を発揮するために規定する土台が、マニュアル

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A 昨日12:15に、みなとみらいにあるパスタチェーン店を利用した。セットのサラダなどを愉しみながら、パスタを待つこと10分。店員がやってきてこういった。

 「誠に申し訳ありません。パスタを茹でる機械が故障したため、パスタを提供できなくなりました。申し訳ありませんが、注文はキャンセルでよろしいでしょうか」


 これに対して、「代わりに、何が頼めるのでしょうか?」と質問したところ、その店員はこういった。
 
 「サラダやドリンクとなります。」


 結論としては、私はキャンセルという道を選択し、そのまま店を出た。当然、手を付けたドリンクやサラダ代金は無料である。この対応をどうみるか?

 


B あり得ない点がいくつもある。細かい部分としては、「キャンセルでよろしいですか?」も何もないではないか。キャンセル以外の選択肢を提示すべきだし、そもそもサラダを追加注文するケースなど激レアだろう。丁寧にみえる言葉づかいだが、まったく丁寧ではなく、顧客のことを真剣に気遣っていない言葉である。マニュアルを行動基準として使うケースの弊害でもある。

 

A パスタを茹でるという行為で考えれば、ガスは使えるとのことだったので、その場で「ガスでお湯を沸かし茹でる」という代替案を選択することも可能である。しかしチェーン店での品質管理や統一性の観点から、この自由度を許可していなければ、その選択肢は初めから消失する。

 

B 10分ちょっとという僅かな時間でも、顧客の貴重な時間であることは変わりない。その時間を無駄に消費させてしまっているわけである。昼時の10分ちょっとというのは、ランチ行列の観点でいえば、時間感度が高いことも忘れてはいけない。

 

A どのような店にも失敗は必ずある。今回のような機械トラブルだってあるだろう。しかし、トラブルをトラブルとして扱い、失敗という印象を顧客にそのまま植え付けるのは、問題である。トラブル発生時こそ、「逆にすごい」といった感想を顧客に抱かせるべきである。状況に応じ機転を効かせて、行動する必要がある。

 

B あらゆるものをマニュアルで規定し、行動基準を作るのには限界がある。マニュアルというのは、本来は、自由度を高めるために存在する。現場で働く人々が創意工夫を凝らしイキイキと働くために、マニュアルが存在する。社員の失敗を減らし事業(企業)への損失を減らすために設けるのではない。


A マニュアルと権限移譲はワンセットとも捉えられる。現場が、その時々の状況に応じ個性を発揮し、変わりゆく環境にベストな解を見出し対処していくためには、守るべき部分、即ち、創造性を自由に発揮していい土台を規定する必要がある。これがマニュアルである。


B 創造性発揮のための土台としてのマニュアルを構築し、現場へと権限を委譲していく。現場の判断で考え、実行し、学んでいく。これは、現場で働く人財の気持ちからみても、よい。イキイキと内面からパワーをだして、働くことが可能となっていく。

 

A 守る部分、というのは企業によって全く異なる。秘伝のソースの味なのかもしれないし、開放的な店の雰囲気なのかもしれない。或いは、喧騒とはかけ離れた世界観なのかもしれない。

 

B あれもこれも自社の強み/コアバリュー/ケイパビリティ…というケースが多いが、これらはそんな単純な代物ではない。自社を特徴づける要素は、顧客から見て他社との差を産む価値に連結している部分である。

 
A 自社の守るべき部分を明確にし、それを仕組で維持・進化させていく必要がある。その周辺には、自由度を広く設計することができる。この自由度の設け方自体も競争力に当然つながっていくが、こここそ、本当の顧客視点が重要であり、その蓄積が効いてくる部分でもある。

 

/2018.01.31 JK