JK_Tomorrow-Maker’s blog

ビジネスや経済などのニュースや日常の気づきを出発点に、「科学(技術)、心(アート)、モノ(サービス)、デザイン」という4象限を操りながら、自由に発想していきます。発想や着眼の手助けや、思考の自由度拡大の糧になれば、何よりです。

「献立を考える=クリエイティブな行為」から

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3点に注目したい。
 1.セグメントにより「重さ」を感じる工程が異なる
 2.セグメントをボヤカス行為は基本的には行わない
 3.「やる気がある」中でのため息が出る行為は、チャンス
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A 「コンダッテ」や「メニューズ」のような「献立アプリ」が伸びているが、「献立」については、まだまだ改善の余地、言い換えれば「不満」が多い。


B 献立アプリを見るということは、自分で料理をするということである。献立アプリさえ億劫と感じたり、その時間を他のことに使いたいと思うのであれば、ミールキットを利用したり、外食や宅配で済ませればよい。


A 料理をしているとわかるが、特に「自分だけではない場合」に、献立を考えるというのは非常に重い行為であるとわかる。毎日毎日、献立を考える。考えて、部材を調達し、調理し、提供していく。最もクリエイティブな行為が「献立を考える」という部分である。


B 栄養バランスや嗜好を加味して、一週間分の献立を提供してくれたり、それに必要な食材(使い切り)をリスト化してくれるものは既にある。

 

A 「献立アプリを使う」と一言でいっても、多くのケースが存在する。例えば、夕食全てをそのアプリに頼る場合がある。或いは、1品や2品くらいは自分で食べたいものを決め、残りの周辺を、冷蔵庫の残りなどを加味しながら、栄養バランスを考えて、提案してくれるような機能を求める場合もある。

 

B よく料理をする中で、私が思うのは、後者の機能が欲しいということである。今日のメインは何にしようか?この部分は、自力で道を拓く。その日の気分もあるし、家族の体調もある。冷蔵庫の残りもあれば、お買い得品に出会うかもしれない。基本的には自分で献立を考えるが、「あと、1品2品どうしよう…」というケースで頼りたい。

 

A 何気ない日常だが、手料理でしっかりと対応するという前提での「あと1品…」という状態は、思考的に非常に負荷が高い。やる気はあるのだが、ため息が出る状態である。この負荷が取れた場合に実感するスッキリ度も、非常に大きくなるだろう。

 

B 冷蔵庫内の食材と調味料については常に、アプリ内にデータを持っておく必要がある。逐一手で更新するのは余りに億劫であるため、買い物行為と連動して自動更新される必用がある。

 

A 自分の決めたメニューを入力すると、このアプリに限らずクックパッドなどからもレシピが出てくる。気に入ったモノ(作るもの)を登録する。自分で決めるメニューは1品でもN品でもいい。仮に「鰯の梅・酢煮」と「大根と豚ひき肉のトロトロ煮込み」という2品を検索し、気に入ったレシピをそれぞれ登録すれば、栄養バランスや冷蔵庫の中身などを加味して、小鉢や汁物などを数パターン提案してくれる。


B 作ったモノは全て、献立として登録される。改めて例えば「鰯、酢、煮」といったキーワードで自分のアプリ内を検索すると、このキーワードメニューが入った過去の献立を見せてくれる。

 

A かゆいところに手が届く部類では、参照したレシピを「いじった部分」を簡単にメモできるようにしておくとよい。「粒マスタードを規定量の1.5倍にした」とか、「3倍濃縮を4倍濃縮で対応した」とか。


B このような仮想アプリを想定した場合に重要なことは、ミールキットなどに浮気しないことである。セグメントをボヤカス行為は、基本的には行わない方がよい。食材の自宅配送までで留めるべきである。


A むしろスーパーで「本日大特価、鯵、一尾、45円!!」に遭遇したときに、すぐにアプリに「鯵、メイン」などと打ち込み、冷蔵庫の残りなども含めて、買増も含めて、本日の晩御飯に対応できるかを直ぐに提案してくれるといった方向性にドンドン深く入っていく方がよいだろう。

 

 

/2018.02.06 JK

 

「個別最適化と実地試験」から

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3点に注目したい。
 1.平均的環境に不具合を感じる人を対象に
 2.ソフトとハードと個別最適化の幅
 3.実地試験
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A データドリブンでの個別最適化は、これからさらに加速していく。この流れの中にビジネスの形態として、XaaSが深く入ってくることになる。

 

B 個別最適化に関しては、ソフトとハードでビジネス構造が大きく変わってくる。ソフト(デジタル)の良いところは無形的であり、個別対応の最適化コストが低いということ。ハードについては、そうはいかない。

A ハードの場合、個別最適化の「幅」が重要になってくる。セミオーダーとフルオーダーの違いとして、考えてみるとわかりやすい。データドリブンで「最適な個別スペック」を見極めることはできるが、それを「作ることができる」とは言えない。ここには当然、納期や価格の概念も入ってくる。

 

B この個別最適化だが、個人(や組織)を取り巻く蓄積された情報から、その個人(や組織)に最適な提案をすると解釈されるのが、ほとんどである。一方、視点をずらすと、平均的な環境に対して特に不具合を感じる個人(群)に対して、都度、その不具合を取り除くことで、価値を提供することもできるだろう。

 

A 春の陽気になったかと思うと、極寒が待ち受けている。「しまった、あと一枚羽織ってくればよかった。」このような経験は誰にでもあるのかと、思う。


B 「まじか、天気予報で晴れって言ってたじゃん。濡れちゃったよ」。こんなパターンもよくある現象だろう。商談などの重要なイベントの前に、白いシャツにシミが付いた…なんていうケースも、あるだろう。


A このような現象というのは、1個人でみると「頻度は低い」わけだが、母数を大きくすれば日々発生するイベントとなる。このような現象に対して、「カーディガンを1日、1,500円で貸します。輸送で返してください」とか、「替えのYシャツを800円で貸します」といった形式は考えられないのか。

 

B 消費者から見たときに、自分に不幸が訪れているわけだが、ここで「新しいものを買ってまでは対策したくない」という領域が存在する。いくばくかの値段で、不都合なく対処できるのであれば、ビジネスの可能性が出てくる。

 

A 天候因子など、当然考慮する必要があるが、「当日の不幸を、すぐさま解消できる」というモデルは一考の余地がある。この場合、「どこでも簡単に代替手段を入手可能」であることが、肝になる。

 

B 都心から派生させていくとして、「替わりとなる衣類などを入手できる場所」をとにかく増やす必要がある。これを自前店舗でやってしまっては、固定費を支えきれない。他人様の軒先や店舗内スペースを借りるのが妥当だろう。

 

A 何かが起きたときにスマホから代替案を選択し、それを入手したい場所・時間を入れる。そこで入手し、着替えなどが出来る。代替案としてのプロダクトも即時で動かす。プロダクト自体は、許容可能な1つ前の型のようなものでも、今回の目的からしてみれば、十二分にことたりる。その場の不幸を取り去り、買い取らないのだから。

 

B 場合によっては、「タクシー」との相性もよさそうである。

 

A あるいは、駅などのロッカー。時間にいくとモノがはいっており、交換したものをいれると、それを自宅に移動させてくれる。

 

B 季節性をなくすために、春夏秋冬のイベントを考慮する必要がある。また、「汚れ付着と重要なイベント」といった季節性にあまり影響されないモノを、しっかりと確保していく必要がある。


A 実際のやるのであれば、例えば、人であふれかえっている都心の1店舗(の一部)を借りて、実験してみればいい。どれだけの不幸が存在して、それをどれだけの人が解消したがっているかを確認できる。そこから、本質的課題を炙り出し、明確なポジショニング(UVP)へと繋げていくことが可能か、判断できる。


B このような実験をすることができれば、例えば、都心へとやってくる若者(旅行者)向けに、「田舎臭さを手頃価格で排除する」という価値を、当然表現はマイルドにして提供できるかどうかも、分かってくる。


A 似たようなモデルはいくらでも考え付く。アンケートやインタビューも重要だが、実地試験での生情報から確からしさを推定していく方が、よほど確かだし、なにせ早い。

 

/2018.02.05 JK

 

「転職と賃金増減」から

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3点に注目したい。
 1.日本の状況を考える必要がある
 2.マスを見るな
 3.クリエイティブクラスをみろ
代表関連記事 日本経済新聞 2019/1/29 https://www.nikkei.com/article/DGXKZO40590560Y9A120C1EE8000/
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A 転職市場を見る時に、転職による賃金上昇度合を示すことが非常に多いが、どうなのだろう。


B 私の身の回りには、世にいう「出来る人」が多くいるが、転職する場合、「賃金増加」の優先度を非常に低く設定している。逆に、自身のキャリア感や「やりたいこと(及び環境)」に対する優先度を引き上げている。


A 日本の平均年収は非常に低く、450万円程度である*1。また世帯当たりの純金融資産高で見たときに、3,000万円にみたないマス層は全体の80%弱存在している*2。


B 日本の人口動態を考えた時に、移民の議論も出るが、日本人の意識しがちなのは「労働力としての移民」である。しかし、重要なことは「クリエイティブクラスとしての移民」を日本へと呼び込むことである。


A ロボット、IoT、AI…という世界の行く末を考えた時に、単純労働力を人で補うという発想をすること自体が、非効率である。


B AIにより仕事を奪われる*3…と騒ぐケースも多いが、「奪われる」と騒ぐこと自体がナンセンスである。AIが入ってくる世界において、人として何ができるか?を考え、その力を身に着ける必要がある。


A 転職市場が活況になったとしても、「言ってしまえば、単純労働に近似できる人々」の流動性が上がっても、本質的ではない。今後の日本の置かれる状況を考えれば、重要なことは、クリエイティブクラスの流動性をあげることである。


B クリエイティブクラスの流動性を考えた場合、転職により賃金が上がるかどうかに注目することは、あまり意味がないと考えられる。本人の希望するキャリア感や「やりたいこと」、或いは「好適な環境」に対する優先度が上がってくる。一時的に収入が減ったとしても、すぐに元に戻りそれを追い越していく。それがキャリアである。

 

A 例えば、収入を犠牲にしてでも「やりたいことと、その環境」を手に入れたクリエイティブクラスの人財が、数年後にどれだけの収入を得ているのか。このようなデータをみることは意義がある。

 

B 同様に考えれば、現状よくあるように「転職により賃金X%増加傾向」で止めてはあまり意味がない。やるのであれば、その増加が数年後で見たときにどうなのか?という部分にまで食い込みたい。一時的な労働力不足で賃金増を獲得しても、本人の能力が不足していれば、収入増加率は制限される。

 

A どうしても「マス」をみる風潮やマスを見たくなる傾向があるのだろうが、日本の置かれる環境を考えれば、べき乗分布のハイエンド側に属する人々に目を向けることが重要になる。それは日本人でもそうであるし、移民でもそうである。

 


*1  国税庁 民間給与実態統計調査 https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/top.htm  
*2 NRI https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/news/newsrelease/cc/2018/181218_1.pdf
*3 現代ビジネス 2014.11.08 https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/news/newsrelease/cc/2018/181218_1.pdf


/2018.02.04 JK

「消費増税とFINTECH」から

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3点に注目したい。
 1.Fintechの本質
 2.消費税は手段に過ぎない
 3.ストック税×VATのコンビネーション
代表関連記事 DIAMOND 2019.2.3
 https://diamond.jp/articles/-/192864
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A 消費税の10%への増税に関し、消費減を抑えるという名目でポイント還元を効果的に実施すべく、キャッシュレスを推進している。

 

B 日本の場合、税収構造にメスをいれる必要があるが、いつまでも「消費税」という既存のツールに頼り、そのデメリットを場当たり的対策でしのぐという風習から抜け出せないでいる。

 

A ポイント還元などその好例である。10%にする影響力については、関連記事内で述べられているが、そもそも、消費税増税という方策により「消費が落ち込む」という負の未来を予想可能で、これに対してポイント還元などという場当たり的対策を持ってくることが間違っている。

 

B 行いたいことは、現状と未来に向けた人口構造などを捉えたときに、税収構造をより強固にしたいということである。その為には、キャッシュ(デジタル通貨含む)が世の中に勢いよく流れる状態を作る必要がある。キャッシュがいま(及び今後)どこにあるのか?と考えれば、消費税というツールに頼るという現状に疑問を抱き、そこにメスをいれる必要があるとわかる。

 

A 私たちは、消費税などの現状の税収構造を完全に破壊し、「ストック税×VATのコンビネーション」で、シンプルかつ的確に運用可能な仕組への変化が必用であると述べてきた*1。

 

B 要は、フロー税からストック税へと視線をずらす必要がある。また消費ではなく、付加価値の創出側に視点をずらし、経済活動のステップに対して税を課す(VAT:付加価値税必用がある。このメリットは大きく2つある。即ち、キャッシュが出てくることと、税収構造がシンプルになるということ。

 

A Fintechの本質は信用定義が変わることであって、これに伴い「お金」の見方も当然変わってくる。キャッシュレスというのは、リアルマネーを利用することの非効率さを排除するという分かりやすい側面だけでなく、個人や組織とキャッシュの関連性をより明確にするための手段であり、Fintechワールドを構築するための重要な要素である。デジタル政府のようなデジタル-XXやe-XXも同様である。


B 現状分析に関しよくPESTというが、これの本質は、未来への強烈な動きを大きな外部環境として認識することにある。過去からの延長で消費税云々と議論している場合ではなく、主にテクノロジーにより急激に変化している現状と未来への道筋を見据える必要がある。


A 消費税にもどれば、消費税という手段を固定してはいけない。構築したい税収構造とキャッシュの流れを考えた時に、+10年や15年したときの世界の状況と照らして、今から新しい構造を考えて一手を打っていく必要がある。

 

B テクノロジーの進化によるFINTECHワールド、日本という人口動態の行きつく先、富裕層の増加という傾向…これらを加味したときに、ストック税×VATのコンビネーションに現状の税制構造をシフトさせる意義は大きい。

 


*1 「消費税、増税」から
  https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/10/24/063200

 「消費増税世論調査」から
  https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/12/04/063839

 

/2018.02.03 JK

 

「ZOZOTOWN, 客離れ」から

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3点に注目したい。
 1.プラットフォームの健全性が、経営課題
 2.参画ショップサクセスを追求していく必要あり
 3.ZOZOTOWNアービトラージされるリスクが高まっている
代表関連記事 Business Journal 2019.01.19
  https://biz-journal.jp/2019/01/post_26315.html
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A ZOZOTOWNに「負」の情報が溢れている。ZOZOSUITが高額の勉強代へと消え、PBがうまく軌道に乗っていない。 ZOZOARIGATOを受けて離脱したショップは、42ショップ*1。これは全1255ショップに対し3.3%である。


B 前澤社長は決算発表にて口頭で、これらの離脱組の影響を、「取扱高ベースでは1.1%、オンワードHDの取扱高への影響は0.5%」程度であるとして、「極めて軽微」と表現している。

 

A 私たちは兼ねてより、ZOZOTOWNの最大の弱点は「プラットフォームの健全性」にあると論じている*2。


B デジタルプラットフォームにて多くの参画者を募る場合、参画者と構築するエコシステムが重要な(プラットフォームの)力になってくる。そこへの居心地がよく、そこを使う理由が明確であり、参画者と管理者が共に、プラットフォームを良くしようと取り組んでいる状態が理想形である。

 

A ZOZOTOWNのような規模になると、「そこに参画しないことの影響」が強くでてくる。つまり、「参加したくないけど、しないわけにはいかない」という気持ちで、多額のマージンを搾取されているブランド(企業、ショップ)が多数いると想像される。この状態で高圧的にARIGATOを繰り出せば、離脱へと踏み切るショップがでてきても何らおかしくはない。


B 決算発表にて「離脱の影響は取扱高に対して軽微」としているが、これは「プラットフォームの本質」を理解できていない典型例と思う。


A 事業社として当然、取扱高は重要な項目である。しかし、プラットフォーム運営においては、参画者との健全な関係性の構築が力となる。

 

B 表現を変えれば、カスタマ―サクセスならぬ、参画者サクセス(ショップサクセス)のような観点を、ZOZOTOWNというプラットフォームが持つことが重要である。自分たちの優位な立場に胡坐をかくようでは、離脱組が更に増えるのは想像に難くないし、より健全なプラットフォームが現れ、乗り換えられることも想定される。

 

A 何も消費者はZOZOTOWN自体に価値を感じているわけではない。ZOZOと同程度のパフォーマンスをだせて、参加ショップがもっとイキイキと自分たちの自慢の商品を提案していくプラットフォームが出現すれば、そちらを使うだろう。

 

B まだ、間に合う。ZOZOTOWNは健全性を、経営課題に据えるべきである。自分たちの立場に胡坐をかいてはいけない。参画しているショップのサクセスを目指すことで、消費者に対してよりハイレベルな効用を感じていただく必要がある。プラットフォームの健全性を高め、エコシステムを熟成させ、参画ショップをロイヤルショップ(ロイヤルカスタマ―のようなもの)へと転換していく必要がある。


A 逆に、「取扱高」を追求し続けるような姿勢を採るのは危険である。

 


*1 ZOZO 2019年3月期第3四半期決算(1月31日)
*2 「ZOZSUITなくします」から
   https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/11/02/062741 
 「ヒートテック戦争」から 
 https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/12/30/080601 
 「食べログへの不満」から 
 https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/11/19/062710

 


/2018.02.02 JK

 

 

「ベンチャーと大企業病」から

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3点に注目したい。
 1.人やモノゴトは、何もしなければ、悪化する
 2.大企業病は、中小企業やベンチャーにもよく発症する
 3.経営・人事・HR・HRMシステム・組織構造を整合させた予防策が重要
代表関連記事 ---
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A 色々なベンチャーに触れ合う機会があるが、すでに大企業病を発症しかかっているベンチャーも多くあるのが実態である。


B 大企業病の症状も様々あるが、言ってしまえば、「非効率な企業体質」である。大企業病という名前がついているが、中小企業でもベンチャーでも、当然発症する。


A 経営資源に乏しいベンチャーが、顧客を射止め市場を拡大し大企業の浸食に勝つためには、圧倒的なスピードや効率経営が重要となる。多くのベンチャーはこのことを理解しており、高速で目的を達成するための組織運営を心掛けている。

 

B 企業クレドなどに、「素早さ」や「効率」を入れ込む企業は案外多い。これを、ミーティングなどの適当なタイミングで発言していくことで、規模拡大フェーズでも、企業の文化を維持しようとしている。これは、よい取組である。

 

A 私がよく遭遇するのは、2以上の関連する意義を持つプロダクトのある場合の非効率さである。ベンチャーの中に、プロダクトA(事業部Aのようなイメージ)とプロダクトB(事業部Bのようなイメージ)が存在した場合、視野狭窄・部分最低化に走るケースが多い。


B これこそ大企業病のよくある症状である。自部門の業績を最優先し、自部門の役割が(全社的に)最も重要だと思い込み、自部門が最も忙しと「勘違い」している状況である。重要なことは、経営という視座でみたときの最適化である。

 

A リーン方式で事業を立ち上げる力があっても、しっかりとスクラムを回すことが出来ても、全体最適の視点が無ければ、やっていることは非効率な作業といわざるをえない。


B 結局、人というのは自分が所属する環境が最も重要な環境であると錯覚する。自分の属する環境が最も重要であり、最も多忙であるため、他のチームや事業への「お手伝い」は「負荷」として捉えることになる。

 

A 部署Aの言い分: あの部署Bは面白い製品を作っているらしいが、詳細がよくわからない。私達のプロダクトAの顧客基盤を使いたいというが、派生プロダクトA2の展開も重要であるし、忙しいし、あまり乗り気はしないな。

 

B これでは駄目である。完全にプロダクトAとプロダクトBの意義が分離している。もっと大きなヴィジョンが存在し、その中にAとBが収まっている状況で、いがみ合っている場合ではない。特に、プロダクトAが先にローンチし、プロダクトBが後発といった場合に、よく観察される。

 

A 経営視座で見たときに、プロダクトAとプロダクトBとの関係性をどうとらえるのがベストだろうか。そのためには、これらを支えている組織をその状態で維持し、連携させるのがよいのか。或いは、一度バラバラにして組み直すほうがいいのか。

 

B ローテーションで両方を経験させるというやり方もあるが、人事評価系(考課系)を工夫して、視野狭窄部分最適にならないようにすることが重要である。


A その上で、自分達の組織が目指す大きな映像とそれを構成するパーツを、誰もが理解できるようにするといいだろう。自社の社会への貢献完成図の中に、それぞれの事業部を配置していく。自分達がどこにいて、誰がかけても駄目である、ということを一発で理解できるようにする。更には、組織図をOKR図(OKR樹形図)のように描いて、これも誰もがみえるようにする。そのOKR樹形図の中の1点をタップすれば、そこにいる組織メンバを閲覧できたりする。


B 組織が大きくなるほどに、全社という視点は現場から消えていく。現場から全社の像が薄れていくほどに、部分最適化の傾向は強くなり、現場と現場の間に壁ができ始める。これは大企業病の一種であるが、予防可能なものである。


A ベンチャーでスピーディに!と意識していても、「この先なにが起こるか?」を考えておかないと、気づいたら病魔に蝕まれた状態になる。モノゴトや人というのは放置すると悪化する。何もせずに善良にはならない。この先に起こる病気をしっかりとイメージ、それを回避する方策を経営・人事・HR・HRMシステム・組織構造という点で整合させながら、構築しておく必要がある。

 

 

/2018.02.02 JK

 

「パスタ屋でのトラブル」から

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3点に注目したい。
 1.トラブルこそチャンスに転換すべき
 2.マニュアルは自由度をあげるために存在する
 3.創造性を発揮するために規定する土台が、マニュアル

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A 昨日12:15に、みなとみらいにあるパスタチェーン店を利用した。セットのサラダなどを愉しみながら、パスタを待つこと10分。店員がやってきてこういった。

 「誠に申し訳ありません。パスタを茹でる機械が故障したため、パスタを提供できなくなりました。申し訳ありませんが、注文はキャンセルでよろしいでしょうか」


 これに対して、「代わりに、何が頼めるのでしょうか?」と質問したところ、その店員はこういった。
 
 「サラダやドリンクとなります。」


 結論としては、私はキャンセルという道を選択し、そのまま店を出た。当然、手を付けたドリンクやサラダ代金は無料である。この対応をどうみるか?

 


B あり得ない点がいくつもある。細かい部分としては、「キャンセルでよろしいですか?」も何もないではないか。キャンセル以外の選択肢を提示すべきだし、そもそもサラダを追加注文するケースなど激レアだろう。丁寧にみえる言葉づかいだが、まったく丁寧ではなく、顧客のことを真剣に気遣っていない言葉である。マニュアルを行動基準として使うケースの弊害でもある。

 

A パスタを茹でるという行為で考えれば、ガスは使えるとのことだったので、その場で「ガスでお湯を沸かし茹でる」という代替案を選択することも可能である。しかしチェーン店での品質管理や統一性の観点から、この自由度を許可していなければ、その選択肢は初めから消失する。

 

B 10分ちょっとという僅かな時間でも、顧客の貴重な時間であることは変わりない。その時間を無駄に消費させてしまっているわけである。昼時の10分ちょっとというのは、ランチ行列の観点でいえば、時間感度が高いことも忘れてはいけない。

 

A どのような店にも失敗は必ずある。今回のような機械トラブルだってあるだろう。しかし、トラブルをトラブルとして扱い、失敗という印象を顧客にそのまま植え付けるのは、問題である。トラブル発生時こそ、「逆にすごい」といった感想を顧客に抱かせるべきである。状況に応じ機転を効かせて、行動する必要がある。

 

B あらゆるものをマニュアルで規定し、行動基準を作るのには限界がある。マニュアルというのは、本来は、自由度を高めるために存在する。現場で働く人々が創意工夫を凝らしイキイキと働くために、マニュアルが存在する。社員の失敗を減らし事業(企業)への損失を減らすために設けるのではない。


A マニュアルと権限移譲はワンセットとも捉えられる。現場が、その時々の状況に応じ個性を発揮し、変わりゆく環境にベストな解を見出し対処していくためには、守るべき部分、即ち、創造性を自由に発揮していい土台を規定する必要がある。これがマニュアルである。


B 創造性発揮のための土台としてのマニュアルを構築し、現場へと権限を委譲していく。現場の判断で考え、実行し、学んでいく。これは、現場で働く人財の気持ちからみても、よい。イキイキと内面からパワーをだして、働くことが可能となっていく。

 

A 守る部分、というのは企業によって全く異なる。秘伝のソースの味なのかもしれないし、開放的な店の雰囲気なのかもしれない。或いは、喧騒とはかけ離れた世界観なのかもしれない。

 

B あれもこれも自社の強み/コアバリュー/ケイパビリティ…というケースが多いが、これらはそんな単純な代物ではない。自社を特徴づける要素は、顧客から見て他社との差を産む価値に連結している部分である。

 
A 自社の守るべき部分を明確にし、それを仕組で維持・進化させていく必要がある。その周辺には、自由度を広く設計することができる。この自由度の設け方自体も競争力に当然つながっていくが、こここそ、本当の顧客視点が重要であり、その蓄積が効いてくる部分でもある。

 

/2018.01.31 JK