JK_Tomorrow-Maker’s blog

ビジネスや経済などのニュースや日常の気づきを出発点に、「科学(技術)、心(アート)、モノ(サービス)、デザイン」という4象限を操りながら、自由に発想していきます。発想や着眼の手助けや、思考の自由度拡大の糧になれば、何よりです。

「ZOZOSUITなくします」から

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三点に注目したい。
 1.「最適サイズ」と経営戦略
 2.「サイズ」と「着合わ」と「着こなし」
 3.事業深耕と横展開、そしてプラットフォーム健全性


関連代表記事 Business Insider 滝川 麻衣子
https://www.businessinsider.jp/post-178621
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A アパレル業界は超のつく旧態業界であるが、一部の企業が盛んにテクノロジーを利用しながら新しい仕組を構築している、まさに変革期にある業界である。ユニクロのSPAも、言葉で気安く「SPA」というのでは到底理解できないし、模倣も困難な仕組として構築されている。InditexZARAなどは、さらに上をいく仕組になっている。サプライチェーンの上流からずっと情報をトレース・記録できるようにする取り組みもある。或いは、ゾゾに代表されるように、固体の外形情報をデータとして管理し、それをサービスに活かす取り組みも多い。


B ZOZOSUITについては、「製造をなめるな」といった意見など多くのマイナス意見も多いが、世に先駆けて積極的にファッションとして個人の体系サイズを収集しようと試みたのは、称賛に値するし、今後もその進化には期待したい。一方で、気になるのは「最適なサイズ」という表現。


A 「最適なサイズ」というのは、個人の主観であり、物理的な体の外形データだけでは最適値はわからない。これはその個人がある衣服に対して求める要求事項になる。例えば、ピチピチが好きな人もいれば、だぶだぶが好きな人もいる。ちょっとゆったりが良いという人もいれば、ウェストだけ絞りたいという人もいる。これが、個人の外形データだけではわからない部分である。つまり、ZOZOSUITとしてできることは、まずは比較的マスに向けて「大きくズレない」状態を提供することになる。この部分には機械の学習効果は大いに反映される。


B 時間を進めていくと、これが徐々に個別最適化になっていく。それは今までの購買履歴との照合であったり、別途希望抽出を行うといった策との併用になってくる。そして、個人にとって最適なサイズの衣服を提供できたとしても、「着方」によってサイズ感が変化してくる。つまり消費者観点で考えれば、「着合わ」「着こなし」と「最適サイズ」というのはセットで扱われるべきである。この部分はデジタルプラットフォームとしての力の見せ所であって、AIによる画像認識や候補群抽出、或いはクラウドワーカの利用など…いかようにでも進化できる。


A 実際の店頭にて体のサイズを測ってもらいアドバイスをもらいながら作った衣服は、やはりフィット感が違ったり、衣服を纏うことで得られる自信の強さなども違う。ゾゾとしては時間をかけながら個別最適化のone2oneの世界に、いずれは到達するようにドライブすると面白い。これを常にデジタルプラットフォーム上で行っていく。その際に自社PBだけでなく、ゾゾプラットフォームに乗っているブランド等に対しても、該サービスを解放すべきだ。プラットフォームの健全性が崩れれば、競合側にアービトラージされるリスクが高まる。ゾゾプラットフォームという一つの場に対する、健全性や居心地は常に監視し改善していく必要がある。


B そう考えていくと、Shitateruのような縫製プラットフォームと連結させたり、事前にフィット感を試せる環境を整備するのも面白い策になってくる。一方、個別最適に近づけば近づくほど、その衣服に対する他人様の需要が減るという問題に出くわす。汎用品に近いほど他人も自分も着用できるのは言うまでもない。この問題も、マッチングである程度は解消できるだろう。母数が極端に大きくなれば、確率が低くても期待値は大きくなる。これはデジタルプラットフォームの最大のメリットであり、衣服の基本データをデジタルでぶら下げ続けられれば、マッチング確度は当然高まる。


A 「最適なサイズと主観」というフレーズだけで飛躍させると、靴には乗り出したくなる。ここは主観を抑え、サイエンティフィックに最適サイズをはじき出しやすい。むくみによる足サイズの変動なども当然考慮する。或いは、どんな靴でもぴったりに変化させる究極のインソールも面白い。インソールが足を包み込み、靴内面に対して3D的にバッファーとして機能するような代物である。最適サイズに対してサイエンティフィックな判断で進めやすい部類であれば、眼鏡やサポータ類も面白い。


B 「最適なサイズ」の捉え方は対象セグメントによる異なるわけであり、それが、ゾゾのビジネスモデルと直結している状態である。時間軸を考慮し、最適サイズの意味合いをずらしながら、ビジネスのすそ野を広げより深耕していくのは重要である。そして、パッケージ的サービスで粘着度を高めながら、横展開は自社では進出せず、ノウハウを提供していく。