JK_Tomorrow-Maker’s blog

ビジネスや経済などのニュースや日常の気づきを出発点に、「科学(技術)、心(アート)、モノ(サービス)、デザイン」という4象限を操りながら、自由に発想していきます。発想や着眼の手助けや、思考の自由度拡大の糧になれば、何よりです。

「和牛にWagyuの壁」から

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GIと品質と品質維持の仕掛け、に注目したい

関連代表記事 JIJI.com 和牛に「WAGYU」の壁=対豪輸出、17年ぶり再開 https://www.jiji.com/jc/article?k=2018081400596&g=eco
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A 和牛とWAGYU問題をみると、日本のブランドコントロールの弱さが浮き彫りになる。和牛に限らないが、日本の場合、特に地域ブランドについては「あやふや」であることが多く、これが長期的競争力を削いでるかと思われる。

 

B 鯖江メガネは、まさかの「The291」という冠になってしまった。完全に内輪思考であり、世界展開をなめているとしか言えない。今治タオルは世界展開で商標の壁にぶつかった。魚沼産コシヒカリ、関サバ、和牛…等は、「あやふや」の代名詞である。何をもってこれらの価値を示し担保し保護するのか。

 

A 日本でうまくいったら世界へ、という思考は邪魔でしかない。地方創生も叫ばれる中、地方から数百憶規模のビジネスを産めるかどうかが重要になる。地域交流や副業促進といった細かい策も必要だが、世界と戦える地域ブランドの構築を目指し、それを支援する形で周辺を固めていきたい。

 

B 日本版GI*1をみると、有名になっているモノになんとなくGIを付与しているとしか思えない。そうではなく、定義とスペック管理の両面から妥当と判断できる場合にのみ付与すべき。数を稼ぐのではなく、世界で戦える地域ブランドに仕上げる必要がある。例えば、ある生産に最適な土地で特定管理下で生産し、一定基準を通過したものに、GIを付与していく。

 

A 和牛とWAGYUに目を移すと、「豪州産は交配比率が50%以上であれば容認される」などと記載されているが、それはそれでよい。Made in Japanの和牛として、いかにして(地域)ブランドを作り上げ保持するかに目を向ける必要がある。何をもって和牛とするか。肉質としてのスペックはどうか。それを満たす生産プロセス管理をいかに定めるか。GIとして認定するにあたり、スペックとスペック維持の理屈の双方をもって認定可能にすることで、競争力の維持性があがってくる。

 

B 和牛の方がWagyuより美味しいといったりするが、これが本当なのか?とも疑う必要もある。大事なことは、誰にとって美味しいか?という視点である。例えば、日本では鶏むね肉よりも鶏もも肉が人気だが、これがグローバルにあてはまるわけではない。その開発や生産、プロモーションなどに関わっている人間は、色眼鏡をかけた状態である。和牛という肉に対する価値を誰が認めるのかを、考える必要がある。

 

A 牛肉の輸出量は、2010年の口蹄疫や2011年の原発事故の影響を乗り越え、着実に増加に転じている*2。このペースを加速させブランドを維持し続けるには、絶え間ぬ努力が必用であるし、官民双方の意思統一や、エコシステム内での意思統一などが必用になってくる。なんとなく和牛では、Wagyu普及に手を貸すだけとなり、勝負にははらない。

 

*1 農林水産省 地理的表示(GI)保護制度
www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/

*2 農林水産省 牛肉等畜産物の輸出について 
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/shuninsha/attach/pdf/h29-16.pdf