JK_Tomorrow-Maker’s blog

ビジネスや経済などのニュースや日常の気づきを出発点に、「科学(技術)、心(アート)、モノ(サービス)、デザイン」という4象限を操りながら、自由に発想していきます。発想や着眼の手助けや、思考の自由度拡大の糧になれば、何よりです。

「拡がるシェアオフィス」から

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三点に注目したい。
 1.手段と目的
 2.手段の正当性
 3.手段を回転させる仕組


関連代表記事 日本経済新聞 2018/10/26付朝刊
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO3694694025102018TJ2000/
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A シェアオフィス。AIやIoTと同じく、「言葉が先行」していると感じる。言葉というのは便利である反面、非常に厄介な性質を持つ。即ち、「やってる感」を出せるということ。


B 例えば、AIなどは、やっていない/考慮していないとは言いずらい領域に突入している。一方、テクノロジの急激な変化を伴っており、経営幹部が理解しずらい領域でもあり、「AIをやる」という宣言や指令が下ることになる。この「AIをやる」というのは何も意味せず、単なる言葉を記号として発しているに過ぎない。なぜ、自社にとってAIが必用なのか。AIというのは手段でしかない。その上で、自社はどのようにAIを使い価値に転換していく必要があるのか。この部分に食い込まなければ、まったく意味はないし、効果はでない。

A シェアオフィスも全く同じ。働き方改革と叫ばれ自由度について見直す企業が増えているが、一番重要なのは、自社にとって「今の働き方の問題は何か」という部分。表出の問題だけでなく、機会損失のような本来得られる利益を得ることができない状況も含む。ノリでリモートを導入したり、シェアオフィスを導入しても失敗するだけ。この時に、新しい働き方Xは失敗に終わったという事実が残るのは、マイナスでしかない。然るべき方策を採ればプラスにできたやもしれない。シェアオフィスに期待する効果を引き出せるだけの仕組を別途設けないといけない。手段を持ってきて終わり、では何も始まらないというのは肝に銘じないといけない。


B 例えば、在宅勤務でのリモートワーク。労務管理は勿論で、本人の気持ち・モチベーションに対するマネジメントの仕組が必要。また、フランスに多いように週2程度で制限するのか、フルでもいいのか。同居家族に対する機密管理もあれば、家の中で階段を踏み外し怪我をした場合の労災問題などもある。細かいことを挙げればきりがない。やるべきは、自社に対する現状の課題を認識し、それを在宅勤務でどのように解消したいのかという流れ・全体像を作ること。細かい規定類はその後にセッティングすればいい。


A シェアオフィスであったりコワーキングスペースでの、「発想力向上」に期待をかける企業も多い。ここで重要なのは、コワーキングやシェアオフィスに乗り出したから新し発想が生まれやすくなるわけではないということ。Weworkは素晴らしい仕組みだが、その仕組に乗りそれを乗りこなせる方策を考え運用しないと、宝の持ち腐れ状態になり、大した意味はなかったという結論に向かうことになる。年季の入った企業が今までの文化風習・ルールを引っ提げてシェアオフィスやコワーキングスペースにいっても、見えない防壁を張り巡らせたこの状態では、コワーキングスペースなどのエコシステムの隅っこに居座るだけであり、その真価を享受することはできない。


B シェアオフィスの例も、結局は、自社の今の課題が見えていないと意味がないということ。今の組織体や働き方のルールに対して、どのような問題があるのか。それを解消する有効手段がシェアオフィスであるのであれば、そのシェアオフィスに期待する効果を引き出せるだけの仕組を別途設けないといけない。手段を持ってきて終わり、では何も始まらないというのは肝に銘じないといけない。

A 働き方の自由度に対する問題意識が、企業によりまちまちであることは言うまでもない。人財多様性というまた逃げやすい言葉が存在するが、これを前面に持ってくる企業もいる。一方では、災害時などを想定した企業経営の安定性を問題として持ってきて、リモートワーク可能な仕組を整備しようとする企業もいる。繰り返しになるが、新しい働き方で何を現したいのか、そのための手段として例えばシェアオフィスは最適なのか、最適であるのであればその力を引き出す仕組は何か…と、全体の流れをデザインしていくことが重要。

B 手段と目的が入れ替わるケースへの指摘は多いが、指摘する以上に、手段が目的化するケースが多いのが現実だろう。本当に貴重な(何かしらの)手段があったときに、手段/目的を入れ替えて実行してしまい、「効果薄い」という実証をしてしまうのは、大きな損失である。簡単なことほど難しい。このような部分を履き違えずに、組織末端まで機能できる状態を作り上げるのは、強力なケイパビリティ形成状態ともいえる。