JK_Tomorrow-Maker’s blog

ビジネスや経済などのニュースや日常の気づきを出発点に、「科学(技術)、心(アート)、モノ(サービス)、デザイン」という4象限を操りながら、自由に発想していきます。発想や着眼の手助けや、思考の自由度拡大の糧になれば、何よりです。

「トイザらスへの気づき」から

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3点に注目したい。
 1.子供が全力で遊べない
 2.リアルとオンラインの接続性・循環性が悪い
 3.玩具屋としての意義と、家庭の玩具としての意義、両方とも中途半端

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A 日常生活の中に、ビジネスの貴重なヒントが隠れていることは言うまでもない。例えば「トイザらス」に行くと、気が付くことがある。子供が実際に玩具で遊べるようになっているのだが、気づきはマイナス面についてである。
 
 ◆遊べるようになっている玩具について
  ・電池が切れていて使えないケースが非常に多い
  ・パーツが不足していたり、壊れているケースも多い
  ・無数の傷や汚れがついており、見た目に悪い
  ・規模が小さく、遊びの充実度が低い
  ・…等

 

B 日本トイザらスについては、本家本元が消滅し、日本市場も少子高齢化やECの荒波に晒される中、粘っている。業績をみると、2017年の売上高は約1405億円、営業利益約33億円。営業利益率約2.4%。ピークは2007年であり、売上高約1943億円、営業利益約15億円、営業利益率0.8%*1。稼ぐ力が増したと表現することもできるが、25%以上目減りしている売上高は無視できない。


A 詳細は割愛するが、幼児・子供用品の中で、玩具や自転車などは実物を触れることの価値が大きいといえる。この観点から、日本トイザらスショールーミングを戦略的にとりいれるアクションにでるのは、何ら不自然ではない。


B アメリカのトイザらスの経営破綻については、LBOを契機とした有利子負債が重くのしかかったという経緯もあるため、単純に実店舗(型玩具店)に未来がないという判断にはならない。


A 日本トイザらスが、小型・都市型店舗、オンライン、イベント性を拡充するのは理に適っていると考えられるが、初めに指摘した「気づき」というファクトに立つと、「危機感不足」「リアルとオンラインの相乗効果について、理解していない」と言わざるを得ない。


B 私が幼児・子供の玩具について思うのは、寿命が非常に短いということ。この寿命は製品自体の耐久性という意味ではなく、子供が遊ばなくなることに起因する寿命である。


A 早くて数カ月。長くても一年程度で飽き、新しいものを買っていく。これは事業社からみると魅力であるが、消費者からみれば、非効率である。使わなくなった玩具をストックしておくスペースもバカにならない。公園のママ・パパや知り合いに譲ることもするが、全てというわけにはいかない。


B トイザらスの顧客は、子供の親や祖父母等である。彼らからみた場合の玩具・玩具屋の意義は、「家で子供が(多少なりとも)静かに遊んでいる」「休日のお出かけ先」「子供や孫の笑顔が見たい」…といったものだろう。


A 玩具屋として考えるべきは、「玩具屋」という「場所」としての意義と、「玩具と自宅」という顧客の家庭先での役割の2つがある。初めに指摘した「気づき」からわかることは、現在のトイザらスをこの両面に対して中途半端である、ということである。


B 事業性や課金モデルなどをまずは脇におくと、どのような流れが理想なのだろう?トイザらスという大きな店舗にいくと、非常に多くの玩具で子供が「全力で」遊ぶことができる。気に入ったモノを、自宅に持ち帰り(或いは輸送し)、自宅でも楽しむことができる。飽きたら、それを送り返すか、再び店頭にいって遊ぶときに持参して、他の新しいお気に入りと交換する。このようなフローだろうか。


A アニメなどの影響はまだまだ大きいことも考えれば、アニメに関連する新しいおもちゃの発売に対しては、大々的に店頭を使ってイベントを企画できる。技やかわいらしさを競うものであれば、戦わせたり、見せ合ったり、互いに教え合ったり…できるフィールドが好適だろう。


B 現実のフィールドでの子供の「盛り上がり方」を掬い上げ、これを、新しいおもちゃの開発へとフィードバックさせていくことで、子供の心をくすぐる沢山の玩具に溢れる場になるだろう。どんなおもちゃがいいか、子供の生の声もきける。

 

A 子供同士のコミュニティ要素が強くなってきたリ、トイザらスという場での「遊びの決まり(仲良く、知らない子に親切になど)」が浸透してくれば、親の手はますますかからなくなる。監視員は必要であるが、これを極小化できるような「子供の場」としての空気感醸成が重要になる。


B 玩具自体は基本的には、デジタル連動させる。これがベースだ。店頭での経験を引っ提げて、自宅でも続きを愉しめるようになるし、店頭などで出来たコミュニティとも自宅からオンラインで遊ぶことができるようになる。


A 多くのケースで、すぐに、事業にならないとか、既存事業とカニバる…といった言い訳がでてくる。しかし、顧客の目線に立った時の理想的フローをまずは描き、それをいかにして事業にしていくか?という、制約を取り払う思考をすることが重要だろう。

 


*1 M&A online 2018-03-16 https://maonline.jp/articles/toysrus_jp180316?page=2


/2018.01.12 JK