JK_Tomorrow-Maker’s blog

ビジネスや経済などのニュースや日常の気づきを出発点に、「科学(技術)、心(アート)、モノ(サービス)、デザイン」という4象限を操りながら、自由に発想していきます。発想や着眼の手助けや、思考の自由度拡大の糧になれば、何よりです。

「事実上の空母」から

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三点に注目したい 
 1.既成事実という「慣らし」は、戦略要素
 2.軍事面での改憲は、白紙ベースでやるべき
 3.戦争の軍事力の在り方が変わっている。

関連代表記事 NHK WEB NEWS 2018年12月13日 20時29分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181213/k10011746031000.html
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A 安全保障の在り方が大きく変わっている。今までの歴史とは異なる部分として、サイバー周辺のハイテク覇権戦争だけでなく、宇宙覇権や電磁波制御戦争、或いは、無人化戦争など、考えるべき新たな関所が産まれており、到底無視することはできない。


B 憲法や法規制、国民心情、それに諸外国へのメッセージ(建前)を考えると、どうどうと正面切って「空母」を謳うことは、現政権ではできない。ステルス戦闘機F35Bを載せる「いずも」は普通の心情で考えれば「空母」なわけであるが、多用途運用護衛艦と銘打つことになっている。


A どう考えても言葉遊びである。そしてこれは、本質から逃げ場当たり的対処を重ねている、ということである。


B この世の中には「既成事実」というものが存在する。これは非常に強力な戦略ツールでもある。軍事関係に限らず、「やったことがある」とか「問題はなかった」…という事実が存在する場合、新規エントリー時に比べ、エネルギー障壁は極端に下がる。場合によっては、「なし崩し的に」本格導入に進む。


A レームダック化する流れの中で、最後の花を咲かせるために悲願の憲法改正に本格的に乗り出す。この時に、情報開示法を見誤らなければ、濃い既成事実があるほど、有利になるといえばなる。


B 「いずも」と「空母」と「多用途運用護衛艦」について、諸外国の声も多数挙がっている。中国と韓国を抜粋するば、「いやいや、空母でしょ。攻撃型でしょ」という主張に帰結している。
 
 ■中国
 ・日本の空母はアジア最強になる可能性、日本の軍事的野心を過小評価するな*1

 ■韓国
 ・空母の“母”の字も使わないという話だが、事実上空母だという本質は変わらない*2

 

 

A 中期防衛力整備計画で示す今後5年間の防衛費は、大枠で25兆円台。すでに配備しているF35Aと今後導入するF35Bを合計で105機買い増す方針も打ち出している。「いずも」については、甲板を戦闘機が離着陸できるよう改修し、F35Bの搭載を狙っているよう。


B 「多次元統合防衛力」を志向するというのは、良い判断であると思う。情報併用のハイブリッド戦争は勿論、電磁波×無人ロボ(虫型無人戦闘ロボ等)といったハイブリッド形態も当然視界に入ってくる。大型の戦闘機であったり、原子力といった、いわゆる「武装力」でのけん制効果は重要であるが、それだけでは、勝つに勝てない(守るに守れない)。


A 中国やロシアが加速させているASAT(衛星攻撃兵器)に対して、我が国はどう動くのだろうか。仮にASATでGPS(衛星利用測位システム)を破壊させられた場合、或いはHEMP等で電磁パルスを生成し主要インフラ~民生機器まで破壊された場合、どうするのだろうか。


B このような観点から、多次元統合防衛力を目指すのは理に適っている。但し、日本には「武装」に対する大きな制約が存在しているのは事実であり、それを、言葉巧みに回避しながら準備を進めるようでは、準備を進めた気になる程度で終わってしまうのかと思われる。


A 憲法改正は大事であり、特に、軍事面の話が入るのであれば、国民心情のケアが重要になる。合理性などはどこかに吹き飛び、感情論だけでYES/NOの流れが形成されると考えるのが自然。本質的な改憲は必須。そこに向けて、世の中を「慣らす」という操作は必要であろう。


B 現状を踏まえれば、「空母」とか「核武装」といった点が論点になると、国民の心情が反対側に爆発し、改憲どころではなくなる。しかし、自国の安全保障の点から、専守防衛を逸脱する武装攻撃力を持つことは重要であり、必須であろう。そうであれば、言葉遊びといわれようがなんだろうが、粛々と、その準備を進めておくのは理に適っている。


A 理想的には、現政権が「慣らし」を戦略的に採り入れているという状況である。九条に三項を付加するといったお粗末な改憲に済ませずに、専守防衛を遥かに超える攻撃力を身に着けるために、白紙からの改憲に進む必要がある。


*1 Searchina 2018-12-12 15:12 http://news.searchina.net/id/1672927?page=1
*2 HANKYOREH 2018-12-06 22:25 http://japan.hani.co.kr/arti/international/32293.html


/2018.12.18 JK