JK_Tomorrow-Maker’s blog

ビジネスや経済などのニュースや日常の気づきを出発点に、「科学(技術)、心(アート)、モノ(サービス)、デザイン」という4象限を操りながら、自由に発想していきます。発想や着眼の手助けや、思考の自由度拡大の糧になれば、何よりです。

「自動ブレーキの義務化」から

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3点に注目したい。
 1.混在期間
 2.車間キーパー
 3.自動運転社会により、人の心構えも変わる。
代表関連記事 讀賣新聞 自動ブレーキ、新車に義務化へ…日本・EU主導
 https://www.yomiuri.co.jp/economy/20190213-OYT1T50207/
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A 大きな流れを考えた時に、自動運転に波がきていることは、多くの方々既に知っていることと思う*0。それの必要性議論を脇に置いたとしても、「ある波が形成される」ということは、巨大な市場が形成されるということである。

 

B レベル4+5の市場規模は2030年までに420万台に達するといわれる。レベル3では2030年の販売台数は1800万台近くに上ると予想されている*1

 

A 自動運転に限らずだが、巨大な市場を創れる場合、それは国家戦略の1要素として利用されることが多い。自動運転もこの例に漏れない。

 

B 自動運転化する未来を考えた場合、最も難しく重要なフェーズは、人運転の車と自動運転車の混在期間である。ここの乗り切り方を国レベルの施策としてステップ化し設計することが重要になる。

 

A 自動ブレーキは重要である。それは、都市部集中化が更に加速する未来と現状の交通事故の惨状からいえる。また、自動ブレーキが当然(義務化)となると、混在機関の混沌っぷりが下がる。また、「自動化」に対する心理バイアスも大きく下がる。この心理バイアスは一般消費者だけでなく、自動車エコシステム内のプレイヤーについても当てはまる。

 

B 車にデジタルコックピットが導入され、徐々に、移動の概念が変わっていく。自動ブレーキの他にも、自動XXの義務化(或いは、強烈な減税など)を繰り出すと、自動運転・人運転の混在機関のカオス程度を緩和できる。

 

A 日本において最近よくみるニュースは、「あおり運転」であろう。あぶないケースを大々的に取り上げ目立ってしまっている側面も強いが、「あおり」の危険性は事実であるし、混在期間を視野にいれるのであれば、ここは対策しておきたい。

 

B 混在期間においては、レーンを同じくする場合、自動運転の「安全運転」の中に、「人の運転」が混じることになる。車の中という安全地帯に収まることで、人の攻撃性が増すことはよく知られたことだろう。自動運転車への「あおり」であったり、無理な追い越しなどが、乱発すると考えられる。


A そもそも「適正な車間距離」というのは、自動運転だろうが、人運転だろうが重要である。当然、人運転の方が、適性距離は長くなる。自動ブレーキに次いで、「車間キーパー」でも導入したらどうか。

 

B 速度を変数に、前の車に接近できる距離に制限をかけてしまえば、安全性は飛躍的に上がる。

 

A ある程度の車間になると、自動でアクセルに制限がかかったり、ブレーキが作動し、車間距離を一定値以上にしようとする。これが義務化されれば、人の乗車による攻撃性が下がっていくと考えられる。

 

B 初めは、イライラする人も増えるのだろう。しかし、すぐになれる。イライラしても、あおることは出来ないわけだし、クラクションを鳴らすことも全く意味をなさない。このような状況に数回でくわせば、諦める(なれる)ことになるのかと思われる。

 

A 自動運転社会の交通ルールは、現在とは全く異なる。移動概念が変わることで、車中での時間の概念も変わる。それは、車中で過ごす人の「心の構え」も変わってくることになる。そこにむけた、慣らし期間をしっかりと設計し、混在期間を滑らかに通過することが、自動運転化社会を構築する上で重要になる。

 

 

*0
 「昭文社の不調」から
  https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/12/20/072950

 「自動運転車タクシー、米で始動」から
  https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/11/29/062611

 「ドイツ、グリーン電力の夢頓挫」から
  https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/10/30/082503



  
*1 自動運転ラボ https://jidounten-lab.com/y_4967


/2018.02.13 JK

「一般教養」から

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3点に注目したい。
 1.教養ある人はレア
 2.単なる情報マニアは無価値
 3.分野問わず、自分の意見を発すること
代表関連記事 Nikkei Style 2018/8/27
 https://style.nikkei.com/article/DGXMZO34414970R20C18A8000000?channel=DF180320167086
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A 「●●王」といった何かしらの「情報力」を競う番組が人気である。小学生にまで「●●王」で通じるのだから、ビックリする。

 

B 長きにわたり、雑学や一般教養が注目を浴びており、ある時からリベラルアーツとしても入ってきた。

 

A 多くのビジネスパーソンと触れ合い議論する中で思うのは、ビジネス界における一般教養を履き違えているケースが非常に多いという事。

 

B 一般教養というのは、相手との関係性構築であったり、議論の昇華レベルであったり、人間的深み…などに影響を与える。専門分野に詳しいのは当然として、科学技術、政治、経済、社会学、文学、アート、音楽、歴史…の主要項目に対して自分の意見を持っていることが重要となる。

 

A 非常に多いのは、「単なる情報を知っている状態に傾いており」、且つ「経済や政治などには無関心」という、言ってしまえば、(ほぼどうでもいいような)雑学レベルの情報を仕入れて満足する方々が多い。


B 繰り返しになるが、大事なことは「自分の意見をもつこと」である。どこぞの評論家や専門家が考察していた内容を繰り返すのではない。それらを踏まえたうえで、「自分はこう思う」「自分ならこうする」という意見を持つことが重要となる。

 

A 自分の意見を持つというのは重要である。ここにもフェーズが存在する。「自分ならこうする」で止めるのか、「どうやったら実現するか」という運用まで考えるのか。換言すれば、必要十分条件まで考えるかどうか。

 

B 人間関係上、トリビア的な雑学が効果を発揮することもあるが、これは本質ではない。単に知識が多くとも、自分の意見がなければ、考察できねば、無価値同然である。

 

A ここまで、当たり前のことを、何のひねりもなく議論してきた。「当然だろ」と思う方々も多々おられるはずである。自分の知識として「当然だろ」と思うのと、行動で示している人が「当然だろ」と思うのとでは、また違う。


B 少なくとも、私がビジネス界で生きてきた中で、一般教養を武器にしている人財はレアである。

 

A 今週のニュース一覧のようなトピックに対して、すぐに自分の意見を発すことができるだろうか?

 

B 議論している事柄に対して、まったく関係のない分野情報で表現したり比喩化したり、できるだろうか?

 

A いかにして一般教養を身に着けるか。そんなことを悩むくらいなら、目の前のニュースに対して考え、自分の意見をもつべきだ。それを蓄積すべし。

 

/2018.02.12 JK

 

「生鮮食品のEC」から

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3点に注目したい。
 1.B2Cから、B2AREAへ
 2.配送動線と発注先
 3.新鮮か、美味いか。
代表関連記事 CNET 2019年02月09日 11時00分
 https://japan.cnet.com/article/35132282/
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A ECが今後もさらに伸びるのは、確度の高い未来であり、関所が物流周辺である。

 

B 2017年度でみると、BtoC・日本のEC市場規模は、16兆5,054億円(対前年比+9.1%)。内、物販系分野のEC化率は5.79%(対前年比+7.5%)*1。

 

A グローバルにみれば、世界各国でEC市場は拡大傾向。2016年の2.4兆ドルからCAGR14.9%でグロースし、2026年には約9.7兆ドルにまで拡大すると予想されている*2 。

 

B 横軸にEC化率、縦軸に年平均成長率CAGRをとると、中国の存在がやはり目につく。中国は939Bドルの市場規模を有し、15%を超えるEC化率と20%を超える成長率を誇る。イギリスも目に付く。約130Bドルの規模、15%を超えるEC化率、7.5%超の成長率である。一方、インド。ここは32Bドルの規模で、EC化率が2.5%未満であるが、成長率20%超を誇る。

 

B 越境ECの存在も大きいが、日本においては、人口先細りを考えても、自国内で大きなマーケットを形成できる。

 

A 生鮮食品のECは、コールドチェーンの配備含めて、課題が大きい。裏を返せば、ビジネスチャンスの宝庫である。

 

B 生鮮ECについては、代表関連記事にあるクックパッドハッカソンのように、多くの取組が日々行われている。

 

A 私なら、何を検討するか。それは、B2Cを「to個人」として捉えずに「toエリア」として捉えて、配送不可をギュッと圧縮できないか、考える。

 

B ECが普及する中で、物流の限界が叫ばれていることは、もはや常識レベルになった。その中で、再配達負荷が非常に大きいことも、今では常識だろう。生鮮ECの場合は、通常配送に加えて「鮮度」という項目が入ってくる。鮮度を維持するインフラというコストがかかり、フレッシュな状態で届けるという時間項もより厳しくなる。

 

A 例えば、私が生鮮ECプラットフォームXでホウボウを頼むとする。この時に、半径1km圏内の該プラットフォームX登録者に「通知」がいく。当然。匿名。配送日を同じくした発注先が増えるほど、(固定費分配が進み、単位売上があがるため)配送料が下がる。ある点からポイント還元されるようにしていく。あるエリア内での同日納品の発注を増やし、配送動線上の納品先をリッチにしていく。

 

B その仕組みであれば、Aさん中心の半径1kmの円の中で他の発注者が出たときに、配送ルートを自動計算しながら、新しい「円」を追加して発注者を更に募ることも可能になってくる。配送車の動線を考えながら、参加者を募ることができれば、「石焼き芋」を売るように、生鮮食品カーを最高効率で走らせることができる。

 

A 時間をすすめると、ボリュームディスカウントまで視野には入ってくる。匿名×注文内容は開示、にすればこれは可能である。但し、初期の立ち上げには不要な機能だろう。バックログの下の方に格納しておけばよい。


B 生鮮ECにも色々あるが、料理状態で提供するよりも、生魚とか熟成肉とか、原材料に近い状態の素材を対象にする部分にまずはコミットしたい。買い手は、基本的には料理、味、健康・・・などに拘る方々となる。この中で「新鮮」を訴求するのか「旨い」を訴求するのかは、吟味したい。


A 確かに、「獲れたて=旨い」は科学的には成立しない等式。「獲れたて=新鮮」でいくのか、「旨い状態で届けます」にするのか。これは、明確なポジショニングに強く効く。

 

*1 METI 電子商取引に関する市場調査...
http://www.meti.go.jp/press/2018/04/20180425001/20180425001.html
*2 METI 通商白書2018
http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2018/index.html


/2018.02.11 JK

 

「マネジメントの進化」から

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3点に注目したい。
 1.「思い込み」を排除せよ。マネジメントは必要?
 2.人間の本来的な性質とは何か?
 3.自律性
代表関連記事 DiamondONLINE 2019.2.4
 https://diamond.jp/articles/-/192702
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A ビジネスを行う上で最も重要なことは、何か。私はそれを、「課題の設定」として捉えている。本当に意味のある真の課題を設定することが最も難しい。

 

B 課題さえ設定できれば、ビジネスモデル、収益原理、4P(C)…といった重要な手段に対して、確度の高い手法を選択し、それを最適化していけばよい。運用を見据え制約条件を排除すればいい。

 

A 課題というのは非常に重要であるが、ここについて、多くの混同が起こっている。
 
  ・現象と(本質的)問題は異なる
  ・本質的問題と本質的課題は異なる。
 
 にも関わらず、現象を問題と混同し、そのまま課題として捉えるケースが後を絶たない。これでは、課題に優先順位を付けても団栗の背比べであり、効果は薄い。


B 課題を見抜くには、現状をきっちりと捉える必要がある。確度のある未来への動向と不確定性の高いそれをわける必要がある。脳の非線形的作用である「インスピレーション」も重要であるが、これは「思い込み」とは異なる。思い込みは排除する必要がある。仮説を検証(反証)サイクルに乗せて、仮説の純度を高める必要がある。


A 問題分析についてここで議論するつもりはない。よく、多くのことに「疑問」を持つべきという。「なぜ?」と問えという。思い込みを捨てろ!という。言うは易しであり、意識して習慣になるまで自分に、このような思考形態を落とし込む必要がある。

 

B 例えば、今から述べるのは「超」のつく重要な問いかけであるが、どれ程の人が、冷静に改めて考えたことがあるだろうか。
 
 「マネジメントが必要な理由は何か?」

 


A 思い込んではいないだろうか? 部下をマネジメントするのは当然であると。一度立ち止まって、考えてみるといい。非常に有用な問いである。
 
 ・なぜ、マネジメントが必用か?
 ・マネジメントとは何か?
 ・マネジメントをなくすとどうなるか?
 

 

B マネジメントというのは、人間の考え出した成果物の一つに過ぎない。「(やるのが)当たり前」のことがらではない。マネジメントすることの弊害があるのも事実であり、この「弊害」に目を向けることで、(今でいう)マネジメントよりも優れた手段に到達できることになる。


A マネジメントは、少なくとも「管理ではない」という人々は増えた。部下が力を発揮するための土壌を整えるのがマネジメントの本質であると。


B しかし、この言い分には、結局、人間にはコントールが必用であるという、長らく変わっていない仮定が含まれている。進捗を得るためには、後押しが必用。時には、罰や報酬が必用。的確な指示で方向性を制御することが必用…と。

 

A 人間の本来的な性質とは何だろうか。受動的なのか、能動的なのか。企業経営に目を向けると、なぜに、こうも行動理論に基づき科学的アプローチで人を管理する傾向が強いのだろうか。すでに学問分野では自己決定理論(SDT: Self Determination Theory)の重要性が強調され、その有用性が証明されている。このSDTに基づく人の能力開花を実践している企業も存在しているのに。

 

B 行動理論として人間の行動特性(傾向)を中心に捉えるのか。一方、SDTとして、人間の本来の願望を中心に据えるのか。これにより、共に働く人々との対峙の仕方が大きく変わってくる。当然、マネジメントの原理も変わってくる。

 

A SDTでいえば、有能感・自律性・関係性という三つの心理欲求を持つことになる。特に、現在のマネジメントと大きく対立するのは、自律性(autonomy)の項目である。

 

B 従業員の自律性を最大限に尊重し、それに基づきパフォーマンスを最大にさせる仕組みは何か?この捉え方は、従業員の行動をある程度の自由度の中でコントロールしていくという現在のマネジメントとは、大きく乖離する。

 

A SDT前提で考えるというのは、人とは「本来的に、興味を持ち、能動的に、自発的に行動するという性質が備わっている」と考え、これに基づいた組織の運営を考えるということである。指示を出す必要があるとか、報酬でやる気を出す必要があるとかではない。

 

B マネジメントという科学的組織管理の創造物の影響で、企業内で働く従業員からSDTの特性が薄れたと考えることもできるかもしれない。

 

A 20%ルールを導入するもうまく機能しない。これはよく聞く。当然である。従来のマネジメント環境の中に、20%ルールを導入しても管理色がにじんでくるため、自律性を打ち消すこととなり、従業員の創造性は発揮されない。


B 新事業を自由に発案していい場所を設定したが、うまく運用されない。当然である、従来のマネジメント環境の中にいれこんでも、審査や手続きなどの管理色がにじんでくるため、自律性を打ち消すこととなり、従業員の創造性は発揮されない。高いやる気も持続しない。

 

A  繰り返し組織について議論してきているが*1、組織体系を変える必要がある時代に突入しているのは、確かなのかと思われる。

 

B このときに、単に組織の仕組みだけ変えても、失敗するのは言うまでもない。科学管理の「改良」でなく、まったく新し組織体への変異が必要になっている。そのためには、「マネジメントとはなにか?」「従業員とは何か?」「従業員の有する性質をどう定義するか?」といった思い込みで進めている部分に、改めて思考を巡らし、メスを入れる必要がある。 

 


*1 
 「報酬が内発的動機を奪う」から
  https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2019/02/08/073446


  「自己浄化・自己成長する組織」から
   https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2019/01/27/064728

 「ベンチャー大企業病」から
  https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2019/02/02/140916


 「ゴーンとホリエモンと善悪の区別」から
  https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/12/16/070655


 「PDCA→ OODA」から
  https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2019/01/26/064322

 「昭文社の不調」から

  https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/12/20/072950

 

*参照情報
・Drive: The Surprising Truth About What Motivates Us, Daniel H. Pink
・Work Rules!: Insights from Inside Google That Will Transform How You Live and Lead, Laszlo Bock
・Reinventing Organizations: An Illustrated Invitation to Join the Conversation on Next-Stage Organizations, Frederic Laloux

 


/2018.02.10 JK

「葬儀ビジネスの拡大」から

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3点に注目したい。
 1.本人と親族などの関係者に対する、人生の充実化
 2.死生観の変化が起こる
 3.確度の高い未来
代表関連記事 NEWSPOST 2019.02.03 16:00
https://www.news-postseven.com/archives/20190203_854146.html
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A 人口減少については、既に誰もが「知っている」ことだと思うが、これを本当にリアルな危機感として感じている人は、まだまだ少ないように思う。ビジネスに身を置く者としては、確度の高い未来であり、確度の高いビジネスを構築できる機会でもある。

 

B 日本の人口推移を簡単にまとめると、次のようになる*1。

  ◆人口
  2015年 1億2,709万人 (起点)
  2040年 1億1,092万人 (87.3%)
  2053年 9,924万人  (78.1%)
  2065年 8,808万人  (69.3%)

 

A 更に重要なことは、年少人口が減り、老齢人口が増えていくということである*1。

 

B これの意味するのは、あと40年ちょっとで人口が3割減ると同時に、高齢者が溢れかえるという事である。これをご近所さんに当て嵌めてみるといい。人口が三割減るとどうなるか?そして、高齢者が40%近くに到達するとどうなるかを。

 

A 一方で、デジタルテクノロジーにより、従来の医療・医薬領域の進化速度も劇的に改善しており、今後も、その進化の速度は早まると考えられる。健康寿命が延び、死に至るまでの期間が長くなる。

 

B 他の側面では、物質的・サービス的に豊かになっており、満足レベルは高まっている。これにより、満足と幸福の乖離が進んでおり、心的充足度を満たすために、心への訴えかけを重視するようになっている。これは更に、加速する。


A 高齢者本人は当然であるが、そうでなくとも、これらの現象を総合的に捉えれば「死生観」はまず変わるだろう。

 

B 健康でいられる期間が長くなる。高齢者としても働く必要がでてくる。中堅や若者として、高齢者を強固に支える必要がでてくる。自分の人生を心から豊かにするという欲求が強くなる。同時に、相手(人、環境、動物…等)を思いやる気持ちも、今より強まっていく。

 

A このように考えれば、「死」に対するビジネスが伸び行く*2と考えるのは、自然である。現代用語でいえば、葬儀ビジネスであるが、「葬儀」という点ではなく、「死に向かい、死んだあと」を線として捉えるようなビジネス領域である。

 

B 分かりやすい部分でいえば、葬儀というのは自分の死んだ後のイベントであり、自分の子供や親族などに負担を強いるイベントでもある。そして、この葬儀(四十九日なども総合的に含むが、表現上、葬儀とする)とうのは、情報非対称性が非常に強い領域であり、同時に非効率な領域である。

 

A 何にいくらかかるのか。相場感。手続きの順番。参列者への連絡。当日の運営と事後処理…。この情報非対称性は崩せるし、非効率性も簡単に破壊できる。例えば、葬儀関連情報をプラットフォームでクリアにすればいいし、生前から葬儀を本人で考え、参列者等の名前を全てリストアップしておけばよい。そんな総合的なサービスを構築すればいい。

 

B 情報非対称性が改善され、非効率性がなくなっていくというのは、死に行く本人にとっても価値がある。即ち、心的に「楽」になる。「死」に対するビジネス領域が今後急成長すると予想されているが、重要な観点は「心的な効用」である。


A 自分の死んだ後に迷惑をかけたくない。これを解消する。自分が死ぬまでの人生を、しっかりと充実化させたい。これを解消する。


B 後者としては、例えば、早い段階から、お世話になった方々との思い出をまとめたり、家族との向き合い方を改めてみるということができる。仕事仕事で歩み、息子や娘との距離があると感じている現在でも、徐々に死生観が変わる中で、残りの人生を充実化させるために、家族との対峙の仕方を変えていく。このキッカケや過程に対してサービスを導入していく。


A いくらでもサービスは考えられるが、重要なことは、透明性である。本人だけでなく、家族などからみても、信頼できる透明な企業であることを示し続ける必要がある。単なる情報プラットフォームではダメである。


B 人生という流れの中で、本人の人生後期と死後を充実化させ、関連する家族や親族などの負担を減らし人生の充実に貢献する。主眼は、本人と親族などの関係者に対する、人生の充実化である。「死」ビジネスというとダークなイメージや情報非対称性を利用しきるというイメージが強いが、部ブランディングすべきは「明るい透明な」企業である。

 

A 人生の充実化を目指し、終活・葬儀関連の非効率・情報非対称性を破壊し負担を減らす。自分を振り返り、家族や友人たちとの関係を見直し、新しい付き合いや、新しい思い出をドンドン作っていく。予想されている市場規模*2があるが、これの1.5~2倍程度には膨らむのではないだろうか。それくらいのマクロ環境の変化がある。

 

 

*1 国立社会保障・人口問題研究所
  http://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp_zenkoku2017.asp

*2  矢野経済研究所 
  https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/1765

 


/2018.02.09 JK

「弱まるトランプ氏の威勢」から

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3点に注目したい。
 1.ネジレの影響は大きく、内政的派手さはなくなる。
 2.外交、特に中国対応に集中する
 3.確かな点数稼ぎを、中国にテック覇権を獲らせないことへと接続させる。
代表関連記事 NHK NEWS WEB 2月6日公開
https://www3.nhk.or.jp/news/special/45th_president/articles2/special/the-state-of-the-union-address/index.html
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A ド派手に動いていたトランプさんの勢いが弱まっている。強気のオーラ(雰囲気)も弱まって見える。

 

B 一般教書演説が行われたが、その内容は、「拍子抜け」と言わざるを得ない。

 

A ねじれた議会の構造に直面し、2020年の再選を至上命題に据える中で、トランプさんの威勢の良さを封印せざるを得なくなっている。

 

B 一般教書演説に向けた活動の中で、今までとは異なり、下院多数党としての共和党という座を失った影響がもろにでている。例えば、政府機関の閉鎖。民主党ペロシ下院議長の壁を破壊することはできず、2月15日までの閉鎖解除に応じざるをえなかった。

 

A 内政を強引に懐柔するのは非現実であり、再選に向けたアクション(点数稼ぎ)は、外交側に傾いていく。

 

B 重要な外交先は複数ある。中国、北朝鮮、ロシア・・・。

 

A 中国については、習近平が譲歩案を繰り出してくるのが自然である。貿易戦争での体力勝負では中国は勝てない。中国の最大の弱点である「蓋」もはずれようとしている。貿易戦争を激しくすることなく、適度に譲歩して引き下がりながら、民衆へのPRを強化し「蓋」を強固にする。そのうえで、テックと軍事の覇権は別ベクトルで採りに来ると考えるのが妥当だろう。(参考:過去記事*0)

 

B トランプさんとしては、貿易戦争はアメリカ有利な条件を飲ませたという「成果」を確実に引き出せる。それとは別に、一帯一路含めた中国の実効支配に対して、対策を強化していくことになる。

 

A このときに、ロシアが生きてくる。プーチンさんは聡明だ。一方で、嘗ての栄光を取り戻したいという焦りも見え隠れしている。この状況をトランプさんが利用しない手はない。利用を利用できるのがプーチンさんである。

 

B トランプさんが最大のアピールを国内に発し再選するためには、確実な成果が必要になってくる。中国に対する貿易戦争の勝利だけでは不安。そこで、中国のテック・軍事覇権を抑え込むための同胞が必用になる。その役割を担うのは、ロシアであろう。

 

A 私がトランプさんであれば、プーチンさんとの水面下での連携を強化する。いかにして、中国を封じ込めるのかを画策する。ロシアとの間にも多数の問題が存在しているが、表面上は適度に対応(制裁など)を繰り出しておくが、本腰は入れない。ヤルベキは、中国を落とすことである。

 

B 追い込まれる中国はどうするか。同胞(反米国)集めに走るのは間違いないだろう。その過程で、北朝鮮への水面下支援を強化して、北朝鮮の対米圧力(わがまま、傍若無人な行動)を高めていくようにコントロールする可能性はある。

 

A 中国の抱える問題は多い。しかも、どれも巨大な爆弾のような破壊力を持つ。格差問題、不動産価格と空き家問題、蓋、ゾンビ企業、民間債務、テック・モノヅクリバブルの崩壊、人民元安定性。これらは全てトランプさんからみれば、「攻撃していいの?」という弱点であり、アメリカの戦略自由度をあげる要素になっている。

 

B トランプさんは、中国のこのような状況をみながら、的確に複数の攻撃を繰り出し、再選への確かなポイントを稼ぐことができる。そして中長期的に、世界を支配するハイテク覇権(含、軍事覇権)を中国に獲らせないことを実現できる立場に、ある。

 

*0
「米中貿易戦争加速」から
 https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/10/13/091500

「JHICCへの製品輸出制限」から
https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/11/06/063030

「中国膨れる負債総額」から
https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/11/18/075137

「華為製品の不使用を要求」から
https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/11/30/074921


/2018.02.08 JK

「報酬が内発的動機を奪う」から

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3点に注目したい。
 1.人間的な不合理をフル活用する
 2.内発的動機を活かすように、報酬系を組み立てる
 3.経営戦略も組織構造もHRMも、全てが整合する。
代表関連記事 ―――
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A 組織が変化している。これについては、何度か述べた*0。

 

B 組織の変化は必然である。それは、人々の意思や有する世界観が変わってきているため。

 

A モノやサービスが充足している。満足は一定レベルに達し、そこでアンカーをかけている。腐らぬように、新しい満足を追い求める。このような中で、満足感と生きる意味が、解離し出している。人々の心を正しく満たすのは、よくいう「こと」である。

 

B 企業活動でみれば、自動化が進み、人工知能が革命的な成長をとげている。意味するのは、定型型に近似できる仕事は機械代替可能と捉えれ、人がやる意味がうすくなる。つまり、よりクリエイティブな作業が必要で、そこへの欲求も高まる。

 

A 言い換えれば、これも「こと」の追求と言えなくもない。

 

B クリエイティビティや「こと」への欲求が高まり、そこに対峙していくのが、これからの世界であり、いまはその起点にいる。

 

A これを受け、組織が進化するのは自然である。人というものは、組織という大きな仕組を介して、集団としてのバリューを発揮する。組織は、アウトプットを大きく左右する手段である。

 

B 複数の現場にいると気がつくことがある。組織を新しいものへと進化させるように取り組んでいるが、周辺の仕掛けとの整合性がとれていない。

 

A 今までの時代が、科学的で合理的な人間の管理であれば、これからは、予想通りに不合理*1な人間らしさそのものをコントロールしていくことになる。

 

B 外部環境、経営戦略、人事戦略、そしてHRM戦略に組織構造。これらは整合する必要があるが、現実には、チグハグであったり、部分最適なケースが多い。

 

A 最近特に感じるのは、報酬系。最低限の満足を作るための、必要な報酬はある。しかし、報酬はベースラインであり、長期の競争力は生まない。


B 交換条件として提示されるif then型の報酬は、特にクリエイティビティの必要な場面で、ヒトのヤル気を削ぐことが証明されている*2。内発的動機が外部からの報酬により取って代わられてしまう。

 

A 全てが悪いとは言わない。例えば、短期的にギュット成果を作る必要があるのであれば、これを達成したらX円という交換条件を設計するのは効果的である。

 

B 或いは、バラバラのチームをまとめるための刺激材として、チームをグループにわけて、特別報奨をつけて競わせるのは効果的だ。

 

A ただし、目の前に人参をぶら下げる戦法に依存してはいけない。長期的な総戦力が低下する。

 

B ヒトの価値観が外部環境とセットで変わるいま、内面的報酬に焦点をあて、これでパフォーマンスをドライブさせることが、重要。

 

A それは、個人の価値観、社会的意義、自発的目的、自律性、尊重し尊重しあえるチーム関係、或いは成長の実感であったりする。報酬についても、不満足を生まない合理的な額面を個々に設定しベースを作りながら、内面的動機を打ち消さないように、現金以外のコトへと変えていくことも効果的だ*3*1。

 

B 外部環境、経営戦略、人事戦略、そしてHRM戦略に組織構造。これらの整合は本当に重要であるが、部分最適になっていケースが大半ではないだろうか。「今がいい」と言い訳するのは、ゴーイングコンサーンに対する責任放棄でもある。

 

*0 「自己浄化・自己成長する組織」から
   https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2019/01/27/064728

 「ベンチャー大企業病」から
  https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2019/02/02/140916

 「ゴーンとホリエモンと善悪の区別」から
  https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/12/16/070655

 「PDCA→ OODA」から
  https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2019/01/26/064322
 「昭文社の不調」から

  https://jk-tomorrow-maker.hatenablog.com/entry/2018/12/20/072950

*1 Predictably Irrational , Dan Ariely

*2 Drive: The Surprising Truth About What Motivate..., Daniel H. Pink

*3 Work Rules!: Insights from Inside Google That Will Transform How You Live and Lead, Laszlo Bock


/2018.02.08 JK